2015/04/27

Japan Chess Championship 2015 Tournament Preview


昨年の全日本選手権

今年も全日本選手権まで数日と迫り、各地からの参加者情報も集まってきました。優勝争いに絡む可能性の高い、トップの10名をリスト順に発表しておきます。

1. Timur Seytnazarov (UZB ?, JCA 2465)
2. 小島慎也 (IM, JPN, JCA 2457 FIDE 2403)
3. 馬場雅裕 (CM, JPN, JCA 2286 FIDE 2251)
4. Averbukh A (JPN, JCA 2285 FIDE 2198)
5. 桑田晋 (JPN, JCA 2237 FIDE 2130)
6. 山田弘平 (CM, JPN, JCA 2229 FIDE 2087)
7. 塩見亮 (JPN, JCA 2219 FIDE 2138)
8. 小林厚彦 (JPN, JCA 2189 FIDE 2085)
9. 中村尚広 (JPN, JCA 2146 FIDE 2054)
10. 唐堂 (JPN, JCA 2135 FIDE 2064)

リスト1 のTimur さんはウべキスタンと伺っていますが、調べてもFIDE ID とレイティングがなかったため、一応 ? をつけています。本人の希望によっては、日本のプレーヤーとして登録されることもありえますね。そのTimur さんが数試合の仮レイティングで私を抜いており、私はリスト2となりました。仮レイティングであれば、Timur さんの実力は未知数ですが、今大会で対戦できることを楽しみにしています。

2年ぶりに全日本に参加する馬場さんは、当然、4年ぶりの優勝を狙ってくるでしょう。私も惇多くんと優勝を争っていた2年前の全日本で、楽勝だと思われた馬場さんとのゲームを大逆転で敗れ、惇多くんに差をつけられてしまった苦い思い出があります。このリストトップメンバーの中でも、私が全日本で敗れているのは馬場さんだけですので、最大のライバルと見ています。

他には私と同期で、昨年の全日本から100近くレイティングを上げている桑田くんや、トップ10のうち、唯一の10代である唐堂くんも、注目のプレーヤーでしょう。昨年のチャンピオンである南條くん、ベテランの暁さん、イングランドから参加したAndrew さんが昨年のメンバーから消えたものの、他の日本トップ勢は軒並み揃っています。トップ10に入っていなくても、かつてのオリンピアードメンバーや全日本優勝、入賞経験者、FIDE レイティング2100台のメンバーもいますので、そうしたプレーヤーがどういったプレーをするかにも、注目したいですね。

私自身、JCA、FIDE レイティングともにベストですし、なによりIM のタイトルを獲得して初めての全日本選手権です。南條くんがいない分、優勝しなければいけないというプレッシャーはありますが、それも楽しんでプレーに臨めればと思います。私にとって6回目の優勝が懸かった、12年連続、12回目の全日本選手権は、4日後の5月1日開幕です!

2015/04/23

JAPFA GM Tournament in Jakarta 2015


現在はIM になった、Sean Winshand と

現在、ChessBomb やChess24 で皆さんがチェックしている大会と言えば、アゼルバイジャンで開催中のGashimov Memorial か、アルメニアで開催中のWorld Team Championship でしょう。どちらも世界トップクラスのプレーヤーが火花を散らしており、非常に見ごたえのある試合が毎日続いています。Gashimov Memorial では、平均レイティング2700後半の世界最高峰の戦いが行われていますが、その中でもCarlsen は、頭一つ抜けているように見えますね。

私はこの2大会も当然チェックしていますが、アジアで開催していた面白いトーナメントが終了したので、今夜はそちらをご紹介します。インドネシアの首都、ジャカルタでは、インドネシアの若いプレーヤーたちと海外のGM たち12人による、11R のGM Tournament が行われていました。GM 勢はオランダ代表のTiviakov Sergei、フィリピン代表のAntonio Rogelio Jr、インドのGopal ら。それを迎え撃つインドネシア勢は、私とハンガリーで一緒だったSean Winshand、インドネシアの若き女帝、Sukandar Irine Kharisma、日本のテレビ番組で、屋台でうまれた“チェス王子”として紹介された、Farid Firman Syah たちです。彼らは全員、IM のタイトルをすでに獲得しており、インドネシアで他のプレーヤーを率いる存在となっています。

そんな大会を制したのは、ハンガリーで私と共にIM のタイトルを目指していた、Sean でした! 彼は初戦でGM Gopal 相手に劣勢のゲームをひっくり返して勝利をおさめ、最終的には4勝7ドローという戦績でのフィニッシュです。レイティングも20以上稼ぎ、いくつ目かは分かりませんが、GM ノームも獲得しています。かつてのライバルが、現在でもこうして活躍しているというニュースを聞くというのは、とても嬉しいものですね。インドネシアランキング3位のSean は、順当にいけばオリンピアードにも参加してくるでしょう。私ももう一回り成長し、再会できることを楽しみにしています。

Purnama, T (IM, INA, 2393) - Sean, W (IM, INA, 2428)
JAPFA GM Tournament in Jakarta 2015 (6)

1. Nf3 Nf6 2. d4 g6 3. c4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d6 6. Nc3 Nc6 7. O-O a6 8. h3 Bf5 9. Re1 Ne4 10. Nd5 Bd7 11. Be3 e6 12. Nf4 f5 13. d5 e5 14. Nd3 Ne7 15. Qc1 b5 16. b3 c5 17. dxc6 Bxc6 18. Rd1 Qb8 19. Nb4 Bb7 20. Ng5 Rc8 21. Nxe4 fxe4 22. Bg5 Nf5 23. Nd5 Nd4 24. Rxd4 exd4 25. Ne7+ Kh8 26. Nxc8 Qxc8 27. cxb5 axb5 28. Qf4 Qe6 29. Rc1 Rf8 30. Qh4 Qf7 31. g4 d3 32. exd3 exd3 33. Bxb7 Qxb7 34. Qg3 Qd5 35. Be3 d2 36. Rd1 Bc3 37. Qg2 Qd3 38. Qf1 Qd5 39. Qe2 Qe4 40. Qxb5 Qf3 41. Qf1


41... h5! 42. g5 Rf5 43. a3 d5 44. Rxd2 Bxd2 45. Bxd2 Qxb3 46. Qa1+ Kh7 47. Be3 Rf7 48. Qe5 Qb1+ 49. Kh2 Qe4 50. Qd6 Qf5 51. a4 Rd7 52. Qg3 d4 53. Bf4 Rf7 0-1




2015/04/21

Weekly Chess Puzzle Vol.3


Kojima, S (FM, JPN, 2323) - Le Dinh (VIE)
Zone 3.3 (1), 2009
White to move and win


Noguchi, K - Kojima, S
7th IVL (3), 2014
Black to move and win

今週もタクティクスとエンドゲームの2問出題です。解答はコメント欄へ。お待ちしています。

2015/04/19

13th IVL Tournament Report


告知はしていませんでしたが、昨日は私にとって久々となる、IV League でした。参加者は以下の6名で、5R のラピッド、ラウンドロビンです。ラウンドロビンはリスト上位が白の多い有利なペアリングになるため、リストはレイティング順ではなく、くじによって決めています。

1. 山田弘平 (2087)
2. 野口恒治 (2082)
3. 桑田晋 (2130)
4. 塩見亮 (2138)
5. 小島慎也 (2403)
6. 汐口達也 (1974)


私は野口さん、桑田くん、塩見さん、汐口くん、山田くんの順に対戦して5連勝し、全勝優勝となりました。今回はどの試合を乗せるか迷いましたが、IVL で初対戦となる、汐口くんとのゲームにしようと思います。

Shioguchi, T (JPN, 1974) - Kojima, S (IM, JPN, 2403)
13th IVL (4)

1. c4 e5 2. Nc3 Nf6 3. Nf3 Nc6 4. g3 Nd4!?



この変化は10年ほど前に見つけていましたが、指すのはこの試合が初めてです! 黒はナイトを1組捌き、あらためてc7-c6 を突けるようにしておきます。4. Nxe5 Qe7 と進んだ変化では、白はf3 にもd3 にもナイトを退くことができません。

5. Bg2 Nxf3+ 6. Bxf3 Bb4 7. O-O O-O 8. Qc2!? c6 9. a3 Bxc3


ここは黒としては難しい決断ですが、ビショップナイトの交換をしても、ピースの展開のスピードが早いこと、そしてセンターにポーンを伸ばしていることで勝負をします。

10. Qxc3 e4 11. Bg2 d5 12. cxd5 cxd5 13. Qd4 Bf5 14. b4 Qd7 15. Bb2 a5!?



白は全くセンターポーンを使わず、黒マスビショップとクイーンの利きで黒キングにプレッシャーをかけて勝負をします。a7 のポーンがアタックされていることも黒にとっては少し厄介なので、クイーンサイドの崩しを見せておきながら、反撃のチャンスを待ちます。

16. bxa5?! Rxa5 17. Bc3?!


ここでの白の連続の2手は、私にとって意外なものでした。私と汐口くんの2人の頭には、f2-f3 からfファイルを開き、f6 のナイトをルークで取ってしまうサクリファイスが頭にありました。しかし、それを実行するためとは言え、aファイルのルークをアクティブにするチャンスを黒に与えてしまうのは不自然です。

17... Ra6!



このルークは、6段目でのキングサイドへの振りを見せておくことで、f6 のナイトを守って前述のサクリファイスを防ぎ、将来的なキングサイドへのアタックのチャンスも見越しています。

18. f3 Rc8!


この手は長い時間を使い、自信を持って指すことができました。最初は18... Re8 のつもりでしたが、それではgポーンが伸びてきた際に、e8 にナイトを退けずに困ります。ならば、ルークは白クイーンをアタックするように使うほうが、うまくe4 をサポートできるでしょう。

19. fxe4 Rc4 20. Qe5 Bxe4 21. d3 Bxg2!?



この手でも優勢ですが、ツールーククイーンにしても、ここで確実にポーンを掠め取っておく手もありました。21... Re6 22. dxc4 Rxe5 23. Bxe5 Bxg2 24. Kxg2 Ng4 25. Bf4 dxc4-/+

22. dxc4 Bxf1 23. Rxf1 dxc4 24. Qb8+ Ne8 25. Rf4 Re6!


黒はすぐさまピンになっているナイトを守りつつ、e2 のポーンをアタックします。攻撃と防御を兼ねるアイディアが、基本的には柔軟で強力です!

26. Rd4 Qc6 27. Rd8


27. Kf2 Qh1-+ これでも勝負は決していますが、本譜はいきなりメイトです。

27... Rxe2 0-1



まあ不安もある1. c4 e5 ですが、この試合はしっかりルークの力を引き出して勝てたと思います。どんなオープニングを選ぼうと、こうしてピースを働かせられるゲームをしていきたいですね。

1st Place 小島慎也 (2403) 5/5
2nd Place 野口恒治 (2082) 3.5/5
3rd and 4th Place 桑田晋 (2130)、汐口達也 (1974) 2.5/5
5th Place 山田弘平 (2087) 1/5
6th Place 塩見亮 (2138) 0.5/5


最終順位はこのようになっています。私も全日本直前のIVL でこうした良い結果を残すことができ、満足しています。参加者の皆さん、お疲れ様でした! また全日本後の第14回 IVL でも、よろしくお願い致します。

2015/04/16

Hungarian Historical Caro-Kann


Hungarian GM Peter Prohaszka, scacchierando より

私がチェスの留学先として選んでいたハンガリーには、Caro-Kann を好んで指す文化が存在します。Mega Database のCaro-Kann のゲーム解説に登場するPeter Lucas は、60歳を超えるハンガリーのベテランGM ですし、その研究は現在の代表である、Leko、Rapport、Berkes らに受け継がれています。2004年のWorld Championship Match の最終戦で、ハンガリーのLeko がCaro-Kann を使い、Kramnik に敗れたのは、私にとって思い出深い出来事です。

ハンガリーでは私が争ってきたジュニアたち(全員、IM になっています!)もCaro-Kann を使いますし、それに応じて発展してきた、Caro-Kann 対策も豊富に存在します。私自身、ハンガリーのGM トーナメントで、3人のGM、SaxVargaGroszpeter、らにCaro-Kann を指してポイントを取ってきたことは、大きな経験になっています。

そして今夜は、ハンガリーの若いGM をご紹介します。Peter Prohaszka は、1992年生まれの23歳で、黒番では1. e4 対策にほとんどCaro-Kann を使います。2012年途中から、Caro-Kann での負けゲームは1つもなく、先日終わったDubai Open でも、4試合Caro-Kann を指して3勝1ドローという結果を残しています。(この大会で、勝った試合は全てCaro-Kann!)

Rathnakaran, K (IM, IND, 2422) - Prohaszka, P (GM, HUN, 2601)
Dubai Chess Open 2015 (9)

1. e4 c6 2. d3 d5



Caro-Kann の2. d3 Variation は、昨年の全日本で2試合、先日のHawaii ではHou Yifan に1試合指されるなど、私にも馴染みのある変化です。

3. Nd2 e5 4. Ngf3 Bd6 5. g3 Nf6 6. Bg2 O-O 7. O-O Re8 8. b3 a5 9. a3 Qc7 10. Bb2 Bg4 11. h3 Bh5 12. Qe2 Nbd7 13. Rae1 dxe4 14. dxe4


オーソドックスですが、King's Indian Attack の...Bg4 の変化にトランスポーズしています。黒はナイトとビショップの組換えがここからのカギとなりますが、Prohaszka は見事な指しまわしを見せます。

14... Nc5! 15. Qd1 b5 16. Qc1 Nfd7 17. Nh4 Ne6



d4 にナイトを運ぶのは、スタンダードなマヌーバリングです。d4 に跳びこむタイミングと、もう1つのナイトとの行方にも要注目です。

18. Nf5 Bf8 19. Nf3 f6!


e5 を守るだけでなく、f7 にマスを作ることで白マスビショップを退けるようにします。

20. N3h4 a4! 21. b4 Nb6!



これで5段目に2つのナイトが跳びこむ準備ができました。先に黒陣に侵入している白のナイトはさほど脅威ではなく、ここまでくれば私も迷わず黒を持ちたいポジションです。

22. Ne3 Bf7 23. Nhf5 Rad8 24. Ng4 Nc4 25. Bc3 Nd4 26. f4 Nxf5 27. exf5 h5 28. Nf2 exf4 29. gxf4


白のナイトを捌いてしまい、ポーンストラクチャーも乱してしまいます。これで白のキングサイドを弱めると同時に、2つのビショップとナイトで、さらにクイーンサイドにプレッシャーをかけます。

29... Qb6 30. Be4 c5! 31. Kh2 cxb4 32. axb4 a3 33. Re2 a2



いまだにマテリアルはイコールですが、白はどうしようもないポジションです。こうした丁寧なプレーができるのであれば、大きなリスクを取ることなく、Caro-Kann でも大きく勝ち星を稼ぐことができるでしょう。

34. Rg1 Kh8 35. Nd3 Nd6 36. Ne5 fxe5 37. Bf3 Nxf5 38. fxe5 Nd4 39. Rf2 Qc7 40. Ba1 Qxe5+ 41. Kh1 Bd5 42. Bxd5 Qxd5+ 43. Rgg2 Qe6 44. Qf4 Qxh3+ 0-1


Prohaszka はDubai Open ではレイティングを下げたものの、現在ハンガリーの国内ランキング8位に食い込む強豪で、これからの活躍次第では、ハンガリーの代表入りも十分にありえます。今のところチェックしているのは、Caro-Kann の試合が中心ですが、今後は他のゲームも見ながら、応援を続けていきたいですね。

2015/04/14

Weekly Chess Puzzle Vol.2

先週から始めたパズルですが、初回は概ね好評だったようで一安心です。前回の第2問は、ピースがある程度残っていたために、エンドゲームの問題だと気づかずに苦戦した人も多かったかと思います。(もちろん、エンドゲームの問題だと明記しなかったのはわざとです。) そこで今回からは、タクティクスかメイティングの問題が1問、エンドゲームの問題が1問だと明記しておきましょう。それでは、今週の問題です。


Kojima, S - Irie, Y
JUCC 2008 (6)
White to move and win


Alavi, S (IM, IRI, 2461) - Kojima, S (JPN, 2205)
10th WCh-University(1) Analysis
Black to move and draw

2つ目の異色ビショップエンディングは、少し難しいでしょう。私は7年前、実戦では正解が分からずに敗れました。先週同様、正解が分かった方は自由にコメント欄に書きこんでみてください。

2015/04/11

Saturday Lecture on April 25th 2015


Capablanca - Fonaroff / New York 1918

【日時】 2015年4月25日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Various Knight Maneuver
【テーマ詳細】

新年度最初のレクチャーは、これまでとは少し変わったテーマにしようと思います。独特の動きをするナイトは、初心者にとっては満足に働かせるのが難しいピースかもしれません。しかし、その働きをきちんと理解し、良いポジションを求めることができれば、他のピースとの組み合わせで相手に大きなプレッシャーをかけることができるでしょう。4月のレクチャーでは、ナイトのマヌーバリングに焦点を当て、ナイトについてあらためて理解を深めてみましょう。

【参加費】 一律1200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

2015/04/07

Weekly Chess Puzzle Vol.1

新しい企画で、私のブログ上でも定期的にチェスの問題を投稿しようと思います。ひとまず、週に1回、私の試合からの出題のつもりですが、ネタがなくなったら他のゲームも扱うかもしれません。解答は週末か、コメントへの投稿で正解が出そろったタイミングで発表にしましょう。


Kojima, S - Kurihara, T
Nagoya Open 2006
White to move and win


Kojima, S (FM, JPN, 2327) - Takeuchi, E (GER, 1869)
Japan League 2010
White to move and win

2つ目は私がよくレクチャーに使っているので、見たことのある人も多いかもしれません。答えの分かった方は、自由にコメント欄にどうぞ。

2015/04/06

GM Emil Sutovsky Simultaneous Event Report


昨日は上智大学で開催された、GM Emil Sutovsky のイベントに、午後の同時対局だけ顔を出してきました。ちょうど私が着いた頃に、最終的な参加メンバーが決まったところで、私の同時対局のちょうど倍、16名の参加者がいました。全て1. e4 で始まった16ボードを順に眺めながら、私はかつてミーシャから教わった、「なるべく大きなミスをして自ら崩れてしまうことのないよう、ソリッドに指そう」 という言葉を思い出していました。そんな例が分かりやすい2ゲームがあったので、今夜はそれをご紹介しておきます。

Sutovsky, E (GM, ISR) - Hasegawa, E (WCM, JPN)
GM Emil Sutovsky Simultaneous

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. Nf3 Nd7 7. Bd3 Bxd3 8. Qxd3 Ngf6 9. O-O e6 10. Bf4 Be7 11. c4 O-O 12. Rfe1 Re8 13. Rad1 Qa5 14. a3 Rad8 15. Qc2



ここまでCaro-Kann Classical の互いにキングサイドキャスリングをする変化で、黒は満足に指していると思います。(私であれば、白マスビショップはg6 で取らせてもOK だと考えますが) ここで黒がどのように仕掛けるかですが...

15... c5?


白にセンターのブレイクを許してしまうだけで、黒に何もプラスの無いアイディアです。ここは15... b5! と指して、c4 のポーンを崩すことで、d5 にアウトポストを作るのがスタンダードなプランでしょう。

16. d5! exd5 17. cxd5 Qb6 18. d6 Bf8 19. Nf5+/-



白は黒のポーンをe6 から消したことで、f5 のマスを活用できるようになりました。こうなれば、g3 に5手目で退いたナイトを非常にアクティブに使うことができます。長谷川さんは、この後わずかなチャンスがあったようですが、こうしたポジションをGM 相手に耐え切るのは簡単ではありません。いずれにしろ、黒は間違ったブレイクの判断で、自ら崩れてしまったと言えます。

Sutovsky, E (GM, ISR) - Hori, S (JPN)
GM Emil Sutovsky Simultaneous

1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nd2 c5 4. exd5 Qxd5 5. Ngf3 cxd4 6. Bc4 Qd6 7. O-O Nf6 8. Nb3 Nc6 9. Nbxd4 Nxd4 10. Nxd4 a6 11. c3 Qc7 12. Bd3 Be7 13. Re1 O-O 14. Qf3 Nd5 15. Qh5 Nf6 16. Qh4 Qc5 17. Bf4 Qh5 18. Qg3 Qg4



対して、同時対局参加者16人中、レイティングトップの堀さんは、フレンチでこのようなポジションを迎えました。黒はg4 でクイーンをぶつけたところですが、白にはクイーン交換を避ける方法がありません。冷静に考えれば、黒は白マスビショップの使いづらさという問題がまだ解決できていないので、クイーンを消しても白は優勢でしょう。しかし、同時対局でこうしたクイーンレスミドルゲームを持ち、アドバンテージを保ちながら丁寧に指すのは、なかなか難しいものです。(私は、Nd4-Nf5 を考えていましたが、これはあまり良くないようです。)

白マスビショップの展開を無視し、クイーンを追いかけた黒の判断に対する評価は難しいです。しかし、大きなミスではないですし、Sutovsky からすれば面倒なゲーム展開になったと感じたのではないでしょうか。この試合のここからの展開はわかりませんが、堀さんはこのゲームでドローを取ったようです。

最終的に16面同時対局は、堀さんと内田さんのみドロー、他は14敗だそうです。皆さん、負けたゲームはどこを間違えたかだけでなく、どうして間違えてしまったのかをよく振り返り、勉強の材料にしていただければと思います。白側から見て、Sutovsky の指しまわしが、どのようなものだったのかに注目するのも良いでしょうね。同時対局に参加した16名の皆さん、お疲れ様でした!

最後に今回のイベントとは関係の無いことですが、今日の朝、「日刊スゴい人!」というメルマガにて、私の紹介記事が掲載されたことを告知させていただきます。ハワイでのプレー中に森内さんから紹介していただき、こうして記事にしていただいたこと、とても光栄に思っています。こうした記事をきっかけに、チェスに興味を持ってくれる人が少しでも増えてくれると嬉しいですね。過去の出演者をチェックすると、森内さんや羽生さんを始め、私とこれまで関わりの合った人たちを見つけることができるのも興味深いです。今後も、どういったかたが出演されるか、チェックさせていただこうと思います。

【小島 慎也】日本で唯一チェスのプロプレーヤーとして活躍するスゴい人!

2015/04/03

Simultaneous Event by GM Emil Sutovsky


GM Emil Sutovsky, Wikipedia より

直前の記事ですので、宣伝というよりも、簡単なお知らせです。明後日の日曜日、上智大学にて、イスラエルのGM Emil Sutovsky のレクチャーと同時対局イベントが開催されます。私は参加しませんが、仕事のめどがつけば顔を出すつもりですので、参加予定の皆さんはよろしくお願い致します。詳しいイベントのスケジュールなどは、詳細のリンク先をご参照ください。

【日時】 2015年4月5日(土) 11:00~16:30
【会場】 上智大学4-195教室(最寄駅:四ツ谷駅)
【形式】 レクチャー+同時対局
【参加費】 一般: レクチャー 2000円、同時対局 3000円 
学生: レクチャー 2000円、同時対局 2000円
【詳細】 GM Sutovskyイベントご案内

Emil Sutovsky はイスラエルの元代表で、非常に力強いプレーが印象的です。Kramnik をルイロペスで破った試合が有名ですが、私が好きなのは以下のゲーム。高校生で初めて並べたときの衝撃は、今もよく覚えています。

Sutovsky, E (GM, ISR, 2657) - Smirin, I (GM, ISR, 2683)
Israeli Championship 2002

1. e4 c5 2. Nc3 Nc6 3. Nf3 e5 4. Bc4 d6 5. d3 Be7 6. O-O Nf6 7. Ng5 O-O 8. f4 exf4 9. Bxf4 h6 10. Nf3 Be6 11. Nd5 Bxd5 12. exd5 Na5 13. Nh4 b5 14. Nf5 bxc4
15. Bxh6 gxh6 16. Nxh6+ Kh7 17. Nf5 cxd3 18. Qxd3 Kh8 19. Rae1 Qb6 20. Qh3+ Nh7 21. Rxe7 c4+ 22. Kh1 Qxb2 23. Re4 Rg8 24. Qxh7+ 1-0



クイーンをサクリファイスした後、5手でチェックメイトです!

それでは皆さん、週末は強豪GM との交流を楽しんできてください! イベント成功を願っています。

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