2015/04/01

Japan Chess Championship 2015


昨年の全日本選手権

今年も4月になり、全日本選手権が近づいてきました。全日本への参加権利を賭けた各地の地方予選も、先週で全て終わっています。全ての結果に目を通しましたが、ベテランから学生、女子プレーヤーまで、幅広く活躍したと思います。北海道は地方予選最大規模の20名を超えるプレーヤーが集まる中、杉本さんが若手をきっちりと退けて全勝優勝。東北は地元東北大のエース、多賀くんがやはり全勝優勝。大阪は10代の学生対決で、平尾くんに軍配が上がったようですね。

また、ハワイと開催日程がかぶったために参加を断念した百傑戦は、塩見さんが単独優勝となりました。2位タイの面子には久々の公式戦出場となる馬場さんや、カペルで好成績を残した唐堂くんらが並びましたが、2000を超える男子プレーヤーたちに混じり、5勝1敗で入賞した内田さんは、女子の中では1歩実力が抜けているように思えます。百傑と地方予選の上位入賞者のうち、誰が全日本に出るのかはまだ分かりませんが、参加する皆さんは、よろしくお願い致します。

FIDE レイティングはハワイの分が集計され、私は変動なしです。そのため、FIDE 2403、JCA 2453 と、どちらのレイティングも過去最高の数字、さらにはIM になって初めての全日本選手権参加となります。その分のプレッシャーもありますが、過去2年は池田くん、南條くんと、ともにIM になった2人に1歩届かずに優勝を逃していますので、今年こそはという思いがあります。もちろん、そんな私にストップをかけることを目標とするプレーヤーも参加してくると思いますので、それも楽しみにプレーしたいですね。あと1ヶ月、各地でトレーニングを積み、5月に蒲田でお会いしましょう! 全日本選手権は例年通り、GW の5/1-6 の開催です。

2015/03/28

IM 取得記念イベント at 松戸チェスクラブ Event Report


Photo by Hasegawa

今日は予定通り、松戸チェスクラブの主催で同時対局を行ってきました。3つの地方予選、そしていくつか他団体のイベントとも重なったため、参加者は8人とやや少なめでした。しかしその分、同時対局後のレクチャーは全員分の棋譜を振り返ることができました。試合自体は私の8戦全勝ですが、危ないゲームもちらほら。最も勉強に使えそうな、長谷川さんとのゲームをご紹介しておきます。

Kojima, S (IM, JPN) - Hasegawa, E (WCM, JPN)
Kitasenju Simultaneous

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 dxc4!? 5. e4 Bb4 6. Bxc4 c5?! 7. O-O cxd4 8. Nxd4 e5 9. Ndb5 Qxd1 10. Rxd1 Na6 11. Nd6+ Bxd6 12. Rxd6 O-O?



昨日、私が記事にしたVienna Variation を早速使ってくるとは、長谷川さんも好奇心旺盛です! しかし、e4 のポーンを取りにこなかったこと、12... Ke7 と上がらずにキャスリングしてしまったことで、白はダブルビショップとピースの展開の早さを生かしたプレーができるようになります。

13. Bg5 Nd7 14. Rad1 Nb6 15. Bb3


ここは試合中に迷いましたが、15. Be7! Bg4 (15... Re8? 16. Bb5+-, 15... Nxc4 16. Rd8! Bd7 17. Rxf8+ Rxf8 18. Bxf8+-) 16. Bxa6 Bxd1 17. Bxb7 Rab8 18. Bxf8 Kxf8 19. Rxd1 Rxb7 20. Kf1+/- と進み、1ポーンアップの優勢でした。c4 を取られる変化が読み切れなかったのは、まだまだ読みの力が不足している証拠です。

15... Bg4 16. f3 Bh5 17. Nd5 Nc8 18. Ne7+ Nxe7 19. Bxe7 Rfc8



このポジションでは、b7、e5 のどちらのポーンを狙っても勝勢ですが、もう1つ、白から分かりやすく駒得するタクティクスがあり、それでゲームオーバーでしょう。

20. g4! Bg6 21. h4 1-0


白は次にh4-h5 がピース取りのスレットになっていますが、hポーンを突くと、g6 のビショップを取られてしまいます。ここで大きな駒損が確定した黒は、潔くリザインしました。丁寧なポジショナルプレーによってアドバンテージを積み重ねていけば、ちょっとしたタクティクスで勝てる可能性があるということを示す、好例だと思います。


同時対局後の振り返りは全員分行いました。皆さんのレベルは様々でしたが、ポーン、ナイト、ビショップ、ルークといったそれぞれのピースは、どうすれば最大限の力を発揮できるのか。そう言った点を中心に、ゲームをチェックしていきました。参加してくださった皆さんが、また明日から自分のチェスを見直す、ちょっとしたきっかけにしていただければと思います。


イベント後は、北千住の中華料理屋での打ち上げに参加しました。今日のイベント、および打ち上げに参加してくださった皆さん、お疲れ様でした。そして、IM タイトルの獲得祝いをあらためてしていただき、心から感謝しています! 今回のイベントは、ハンガリーからの帰国前、1月から田畑さんと相談をし、企画を進めてきました。帰国してからあっというまに3月末となり、こうしてイベントを無事に終えることができたこと、とても嬉しく思います。

数日後には新しい年度になり、環境の変わる人や、新しい出会いも増えていくでしょう。私もチェスを始めて15年目を迎えることになりますので、皆さん、また4月以降も、よろしくお願い致します。

2015/03/27

Introduction of the QGD Vienna Variation


あまり関係無いですが、ウィーンの街並み

今夜は最近私が調べている、Queen's Gambit Vienna Variation について記事を書こうと思います。私の白番のレパートリーでは指される可能性があるものの、これまで実戦では遭遇することがありませんでした。日本の試合でも、古い全日本の三阪 - 権田戦(記憶が正しければです。) で見たことがあるくらいです。それでも、世界的な流行を見せているために、黒番で指しても良いかなと思って研究はしていました。そんな中、先日のハワイのGM Samuel Shankland とのブリッツ最終戦で、このオープニングが登場したのです。

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 dxc4



この辺りの手順はRagozin と前後しても良いのですが、Nc3, Nf3 とナイトが揃ったのを確認したうえで、c4 のポーンを取るのがVienna Variation の基本的なアイディアです。

5. Bg5


最近の流行としては、5. e4 Bb4 6. Bxc4!? と指して、e4 のポーンを捨てる変化も指されています。この変化は今のところ、白の勝率が良く、ポーンの代償も十分にあると考えられそうです。私も勝負にいく白番であればこれを指してみたいと思いますが、今夜のところはクラシカルなメインラインをご紹介します。

5... Bb4 6. e4



私がかつて指していた(今でも指せますが) Ragozin Variation からも、1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Bb4 5. Bg5 dxc4 (私は、5... h6 を指していました。) と進んで、この形は現れます。ここからVienna Variation 独自の変化に入っていきます。

6... c5 7. Bxc4 cxd4 8. Nxd4


白はテンポ良く白マスビショップを展開してポーンを取り返しますが、一方で黒も、早い段階で互いのc,d ポーンを交換し、白のセンターを崩すのはロジカルなアイディアと言えるでしょう。

8... Bxc3+



今日、メインでご紹介する変化では、早めに黒がc3 を取って白のポーンストラクチャーを乱します。私が黒であれば、8... Qa5!? 9. Bd2 Qc5 10. Bb5+ Bd7 この変化を指してみたいと思います。黒は問題となるc8 の白マスビショップを捌いてしまえば、大きなオープニングの問題はないと考えられそうです。実際にこちらの変化は、昨年のトロムソオリンピアードで、Vallejo Pons がKramnik を黒で破っています。

9. bxc3 Qa5 10. Bxf6!?


f6 を取られてポーンストラクチャーを乱されることを恐れないのも、Vienna Variation の特徴です。一方で白は、c3 のポーンを捨てても、アクティブなピースでダイナミックなプレーを続けます。10. Bb5+ Bd7 (10... Nbd7!?) 11. Bxd7+ Nbxd7 12. O-O a6 ちなみにこちらが、Vienna のメインラインと考えられている変化で、私ももう少し研究してから指してみたいと思っています。

10... Qxc3+ 11. Kf1 gxf6



私が初めてこのポジションに遭遇した中学生の頃、なぜ黒はc4 のビショップを取らないのだろうと疑問を持ちましたが、それはRa1-Rc1 からc8 のビショップを取り返せるからです。Shankland とのブリッツでは、11... Qxc4+ 12. Kg1 0-0 と進みましたが、この変化は黒にとってリスクが高く、白の勝ちまでほぼ研究されているようです。

12. Rc1 Qa5 13. Bb5+!?


ここまで前置きが長くなりましたが、今夜紹介しておこうと思った変化は、ここからが本番です。この先はお互いがしっかり研究していればドローになるので、白が勝負にいきたければ、13. h4, 13. Nb5 といった変化を試してみると良いでしょう。

13... Ke7



黒はチェックに対する手が、これしかありません。13... Bd7?? 14. Rc8+ はもちろんダメ。13... Nd7?? 14. Rxc8+! Rxc8 15. Bxd7+ Kxd7? 16. Nb3++- もクイーンが落ちるので、すぐに白の勝勢です。

14. e5 fxe5 15. Qh5


黒がクイーンしか動かしていないのに対し、白はビショップ、ナイト、ルーク、クイーンを動かしているので、その点だけ見れば有利に試合を進められそうですが、意外と決定的なアタックは作れないものです。

15... Nd7!



15... exd4? 16. Qg5+ f6 17. Qc5+ Kf7 18. Be8+ Rxe8 19. Qxa5+- こうしてクイーンを取れば白勝ちであるため、黒はナイトでキングをサポートします。

16. Qg5+ Kf8 17. Rxc8+!


これは巧みなタクティクスで白が優位に立ったように見えますが、黒にもうまいディフェンスがあります。

17... Rxc8 18. Bxd7 Qd8!



少し見えづらい1手です。こうなると白は勝ちを目指すことができず、パペチュアルチェックで我慢するしかありません。

19. Nxe6+!


こうした白からのサクリファイスも、なかなか盤上で思いつくのが簡単ではないと思います。

18... fxe6 20. Qh6+ Kf7 21. Qxe6+ Kf8 22. Qh6+ Kf7=



この変化はこうしてドローになることが研究済みで、それを知らなかったり、嫌って黒が外そうとすると、白に勝ちのチャンスが出てきます。白で勝ちにいく変化は私もいくつか調べてはいますが、ひとまずこうしたドローのラインを知っておくことは、損にならないでしょう。この変化の中で登場するいくつかのアイディアは、Vienna の他の変化でも生かすことができそうです。

ひとまず、今夜はVienna Variation のご紹介として、これぐらいにしておきます。白でも黒でも、機会があれば実戦で指してみたいですね。

2015/03/26

IM 取得記念イベント at 松戸チェスクラブ (再掲載)


久留米での同時対局の様子

ハワイから帰国したばかりですが、北千住での同時対局イベントが、明後日、28日の土曜日に開催されます。すでに2月に告知記事を掲載していますが、直前の今夜、再掲載しておきます。松戸チェスクラブのHP では、24日の締め切りとありますが、席に余裕があるので、当日まで申し込みを受け付けるとのことです。また、参加の申し込みは私に直接、その旨を伝えてくださっても問題ありません。以下、同時対局イベントの詳細です。

日程: 2015年3月28日(土) 14:00 スタート
会場: 北千住東京芸術センター(最寄り駅、北千住駅)
イベント内容: 同時対局 + レクチャー
参加費: 一般1000円、20歳未満500円
主催: 松戸チェスクラブ

私との対局をご希望の方は、どなたでも是非、北千住まで足を運んでみてください。イベントは見学だけでも、もちろんOK です! 皆さんのお越しをお待ちしています。それでは、よろしくお願い致します。

2015/03/25

Hawaii Chess Festival Final Report


一週間のハワイ遠征を終え、日本に帰国しました。最終日のGM Challenge の結果やゲーム、そしてお伝えし忘れていた現地の様子をご報告して、ハワイのレポートの締めくくりとしようと思います。私が参加したGM Challenge のクラスは以下のような4人のメンバーで、20/10 のクイック、5/2 のブリッツをそれぞれダブルラウンドロビン、計12試合を行いました。

Hou Yifan (GM, CHN, 2686)
Shankland Samuel (GM, USA, 2661)
Gareev Timur (GM, USA, 2604)
Kojima Shinya (IM, JPN, 2403)

各プレーヤーたちとの試合の結果は、以下の通りです。

Quick R1 Hou Y (GM, CHN, 2686) - Kojima S (IM, JPN, 2403)/ Caro-Kann 2. d3/ 1-0
Quick R2 Gareev T (GM, USA, 2604) - Kojima S (IM, JPN, 2403) / Slav Defence/ 1-0
Quick R3 Kojima S (IM, JPN, 2403) - Shankland S (GM, USA, 2661)/ Semi-Slav Anti-Meran/ 1/2-1/2
Blitz R1 Kojima S (IM, JPN, 2403) - Hou Y (GM, CHN, 2686)/ Maroczy Bind/ 0-1
Blitz R2 Kojima S (IM, JPN, 2403) - Gareev T (GM, USA, 2604)/ Queen's Pawn Game/ 0-1
Blitz R3 Shankland S (GM, USA, 2661) - Kojima S (IM, JPN, 2403)/ Slav Defence/ 1-0
Quick R4 Kojima S (IM, JPN, 2403) - Hou Y (GM, CHN, 2686)/ Dutch Defence/ 0-1
Quick R5 Kojima S (IM, JPN, 2403) - Gareev T (GM, USA, 2604)/ English Opening/ 1/2-1/2
Quick R6 Shankland S (GM, USA, 2661) - Kojima S (IM, JPN, 2403)/ Slav Defence/ 0-1
Blitz R4 Hou Y (GM, CHN, 2686) - Kojima S (IM, JPN, 2403)/ Caro-Kann Panov Botvinnik/ 1-0
Blitz R5 Gareev T (GM, USA, 2604) - Kojima S (IM, JPN, 2403)/ Grob's Attack/ 1-0
Blitz R6 Kojima S (IM, JPN, 2403) - Shankland S (GM, USA, 2661)/ Queen's Gambit Vienna/ 1-0

結果は3/12 で4位。レイティング差を考えれば、4人中最下位は全く不思議ではないですが、アメリカ代表のGM Shankland を相手に2勝1敗1ドローと勝ち越せたことは、とても嬉しかったです。前半戦のブリッツで負けたラインを改善し、後半戦のクイックに臨んだのは大正解でした。

Shankland S (GM, USA, 2661) - Kojima S (IM, JPN, 2403)
Hawaii Chess Festival GM Challenge Quick(6)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. Nf3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Ne5 Nbd7 7. Nxc4 Nb6 8. Ne5 a5 9. e3 Nbd7!?



私が長年愛用する6... Nbd7 のラインは、中国のGM たちによって研究されてきた歴史があります。ブリッツではShankland 相手に9... h6 と指して何もできずに負けたため、研究中だった9... Nbd7 で勝負を挑みます。

10. Nc4 Qc7!? 11. Bd3 Bxd3 12. Qxd3 e5


少し悩みましたが、ここは思い切ってポーンをぶつけることにします。白の4段目のポーンを削ることは、基本的に黒にとって良いはずです。

13. O-O Be7 14. e4 exd4 15. Qxd4 Bc5 16. Qd1 O-O 17. Qf3 Ne5



ここも考えた末にナイトでe5 をブロックします。この手を指さなければ、次の18. Bf4 でクイーンを下げる場所がありません。e5 のナイトはピンにされて本当に問題がないのか、数分考えた末での実行です。

18. Qg3 Rfe8 19. Bf4 Bd4 20. Qh3 Qe7 21. Ne3?!


これはやりすぎで、すでに白にアドバンテージが無いことを承知のうえ、e5 でのピース交換に応じたほうが良かったでしょう。私はチャンスだと思い、ポーンを取りにいきます。

21... Bxc3 22. Nf5 Qe6 23. bxc3 Nxe4 24. Rae1 Ng6



f5 に跳びこんできたナイトはすぐに消すことができますし、eファイルのピンも脅威ではありません。ならば、1ポーンを取ったうえで、c3 をさらなるターゲットにできる黒に十分なアドバンテージがあるでしょう。

25. Be3 Ne7 26. Nxe7+ Rxe7 27. Qh4 Nxc3


ここも思い切って2つ目のポーンを取りにいきます。e2 でのチェックがあり、そのナイトも後ろからサポートできるので、大きな危険はないでしょう。

28. Bd2 Ne2+ 29. Kh1 Qe4 30. Qh3 Rae8!



ここは私のスタイルが出ます。黒は急いでa4 のポーンを取るよりも、使えていない最後のピースであるa8 のルークを展開し、e2 のナイトの負担を軽減します。a5 とa4 を交換し、黒にクイーンサイドに2コネクテッドパスポーンができる展開は、黒の望むものでしょう。

31. Qa3 b6 32. h3 c5 33. Qb3 Re6


b6 を守るだけでなく、ルークをキングサイドに振って決定的なアタックを作る準備をします。

34. Qb5 h6 35. Be3? Rg6!-+



慎重に読み抜けが無いかを確認しつつ、この手を指して勝ちを確信しました。e3 に置いたビショップは、黒のナイトとクイーンをカットする役割を果たさず、f2-f3 を突いた際に浮いたターゲットのピースとなります。

36. Qxe8+ Qxe8 37. Rxe2 Qxa4 38. Rb2 Qe4 0-1


メイトを防ぐために大きな駒損が防げない白は、すぐにリザインとなります。20分の早指しとは言え、トロムソでのアメリカ躍進の原動力となったShankland を黒で敗ったことは、自分がさらに上のステップに進めるという自信になりました。女子チャンピオンのHou Yifan には歯が立たずに4連敗でしたが、Gareev にもクイックでドロー、Shankland にはブリッツの白番でも勝ちと、さらに良い結果を続けることもできました。今回、幸運なことにGM Challenge に参加できるチャンスが私に訪れ、参加を決断したこと、さらにはハワイ行きを決めたことは、本当に良かったと思っています! Shankland 戦の棋譜、およびドイツのGM Huschenbeth たちの後半戦の実況の様子は、chess24 にて確認することができます。


オープンクラスは、私も南條くんも揃って最終戦を勝ち、ともに4/6 でのフィニッシュ。私が6位、7位という最終順位でした。しかしこれは、GM Gareev、GM Shabalov らが成績不振によりリタイアしたせいで、大体スタート順位と同じ戦績です。南條くんは最終戦で、私が負けたアメリカのNational Master に勝ち、私は最終戦で、南條くんがドローになったカナダのジュニアに勝ちと、それぞれがポイントを落とした相手を破っています。


今大会で面白いサービスだと思ったのは、オープンの最終戦で勝ったプレーヤーに、Hawaii Chess Festival のオリジナルチェスマットがプレゼントされたことです。私もありがたく、一つ貰ってお土産にしました。多くのプレーヤーに大会のロゴが入ったチェスマットが渡ることは、宣伝の面で主催者側にも大きなメリットがあるでしょう。来年も開催するそうですので、今後も継続して開催でき、参加者が増えていくと良いですね。


オープン最終戦と、GM Challenge の行われた日の夜は、会場となったHilton Waikiki Beach の37階にて、ディナーパーティーが開催されました。こちらはオープニングバンケット比べて出席者を限定した小規模なもので、GM や運営陣を中心に、20人少しでの食事会でした。今回の遠征では、ワイキキを満喫する時間は取れませんでしたが、最後にワイキキの夜景が楽しめたことは、小さな喜びでした。


翌朝の朝食はエッグベネディクトをゲットすることができました。今回は観光はさほどできませんでしたが、ブログでお伝えしてきたとおり、ポキ丼、パンケーキ、アサイボールなど、日本にも進出してきている人気のハワイアンフードを満喫でき、食事の面では大満足です。


最後にハワイを去るまで快晴が続き、ハワイ滞在中に大きく天気が崩れることは、ほとんどありませんでした。Good Bye Hawaii! また来年、スケジュールが合えば、大会の参加を検討します。次回は観光もできるスケジュールを組みたいですね。

今大会、日本から参加した皆さん、そして日本から応援してくださった皆さん、お疲れ様でした & ありがとうございました! アメリカのGM Alejandro Ramirez がChess News に投稿している、Hawaii Chess Festival の記事も、併せてチェックしてみてください。

Grandmasters in Hawaii
Hawaii GM Challenge (Part 1/2)


2015/03/23

Hawaii Chess Festival Day5


Hawaii Chess Festival GM Challenge 参加者とオーガナイザー

ハワイの大会も、今日が最終日です。私はオープンの最終戦でカナダのジュニア(初戦の相手の兄) に勝ち、GM Challenge でも、GM Samuel Shankland にクイックとブリッツの両方で勝ちと、調子の良い1日でした。早速、オープンの棋譜から見ていこうと思います。

Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Doknjas, J (CM, CAN, 2115)
Hawaii Chess Festival Open (6)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Qb6 5. Nc2



弟との試合ではオープニングに失敗したため、ここはきっちり改善していきます。c2 の位置にナイトを退いておけば、白はb2-b3 から黒マスビショップを組む準備を見せつつ、c4 を守ることができます。

5... Nf6 6. g3 e6 7. Bg2 Be7 8. Nc3 a6 9. O-O d6 10. b3 O-O 11. Bb2


典型的なHedgehog ポジションになりますが、ここから黒の組み方は不自然でした。クイーンをc7 に退いて、b7-b6 とするのが自然だと思いますが、それならば私は、Ra1-Rc1 からの、Nc3-Nd5 を狙ったでしょう。

11... Rd8 12. e4 Rb8 13. Qe2 Bd7 14. Kh1 Be8 15. f4 Qa5 16. Rfd1



d5 にナイトを跳びこませるアイディアは常に頭にあり、どのタイミングで仕掛けるべきか、探りつつゲームを進めます。コンピュータの提案は、ここで16. Nd5! exd5 17. exd5 Bf8 18. dxc6 bxc6+/- とすることで、確かにこれでも綺麗にダブルビショップの利きが開いた白が優勢なのは間違いありません。

16... Rdc8 17. Ne3 b5


Ra8-Rb8 から予期していた手ではありますが、私の得意のアイディアが、満を持して登場します。

18. Ncd5!!



d5 にナイトが跳びこむアイディアは、Tal のSicilian の試合でも見られます。English では、cファイルを開くことを狙いとすることが多いですが、ここでのメインは、eファイルを開き、f5 のマスを使えるようにすることです。

18... exd5 19. exd5 Na7 20. Nf5 Bf8


20... Bd8 21. Nxd6 Bd7 22. Nxc8 Rxc8 23. Bd4+/- これならば、白はセンターの2コネクテッドパスポーンで、大きなアドバンテージを掴みます。本譜でもそうですが、a7 のナイトがすぐに使えないこともポイントです。

21. Bxf6 gxf6 22. Qg4+ Kh8 23. Qh4?



ここは重要なポジションであることは理解していましたが、最低でもドローになるように指そうとする悪い癖が出てしまいました。ここはもっと厳しく攻めるべきです! 23. Qh5! (Qh4 との違いは、f5 にクイーンを利かせておくことで、黒のBe8-Bd7-Bxf5 に対してクイーンで取れるようにし、Bg2-Be4 との組み合わせで、すぐにh7 のメイトスレットを作れるようにすることです。) 23... Rc7 24. Be4 Bd7 25. Nxd6 f5 26. Nxf7+ Kg8 27. d6! Rcb7 28. Bxb7 Rxb7 29. Ne5+- 途中までは読みましたが、これで勝ちになるの確信が持てず、弱気に指してしまいました。ここまで進めば、白の勝勢は明らかです。

23... Bd7 24. Qxf6+ Kg8 25. Qg5+ Kh8 26. Be4!


相手からはドローオファーがきましたが、選ぶ権利を持つ白は、早々にドローにするはずがありません。このようなオファーは、この先を指し続ける自信がないということを相手に伝えてしまうため、しないほうが良いでしょう。

26... Re8 27. Bd3 bxc4 28. bxc4 Qd8?



これはパペチュアルチェックこそ防ぎますが、白が勝つラインです。実際のところ、次のQg5-Qh5 にどう対応するべきか(f6 など取らずに、最初からh5 に行けという話ではあるのですが...) 黒が正確に読むのは難しいものです。28... Qc3! 29. Rac1 Qb2 30. Rc2 Qa3 31. Qh5?! (31. Kg2!?+/=) 31... Re1+! 32. Kg2 Rxd1 33. Qxf7 Qxd3 34. Qf6+ Kg8 35. Qg5+ Kf7 36. Qh5+ Kf6 37. Qg5+ Kf7 38. Qh5+= こういった変化を読むのは難しいですが、パペチュアルチェックの筋がずっとある白は、色々と勝負に行くアイディアを捻ることができるでしょう。

29. Qh5! Kg8?


キングを生かすためには、29... Qf6 ですが、それでも白はd6 を取ってマテリアルを取り返し、大きく優勢です。

30. Ne7+ Kg7 31. Qxh7+ Kf6 32. Qh8+


32. Ng8# 悲しいことに、1手メイトが見えません! それでも、本譜のメイト形も美しいと思います。

32... Kxe7 33. Qh4+ 1-0



ハワイのオープン最終戦をこうして良いゲームで締めくくることができ、とても満足です。この後、GM Challenge の後半戦でクイック3試合、ブリッツ3試合を指しましたが、平均2650 のGM と6試合指し、2勝3敗1ドローと非常に良い戦績を残すことができました。こちらの棋譜については、また後日公開します。

2015/03/22

Hawaii Chess Festival Day4


ハワイの3.5R は、このパンケーキ。テーブルに置かれてサイズを見て、もう笑うしかありません。私の顔より大きいパンケーキが3枚重ねです。当然食べきることはできず、持ち帰りとなりました。明日のおやつになりますかね。

さて、この日はGM Challenge がないため、私もbye を入れずに2試合を指します。今度こそ下に勝って完全浮上... といきたいところでしたが、4R はハワイのNational Master に何もできずに負け。FIDE レイティングの無い相手に完敗したのは、2008年の韓国以来かもしれません。南條くんも昨日のポール戦に引き続き、2100台の若者にドローで、日本勢はイマイチピリッとしない戦績です。その代わり、夜の5R はIM らしいテクニカルなチェスが指せたと思います。

Wenz, W (USA, 1950(USCF)) - Kojima, S (IM, JPN, 2403)
Hawaii Chess Festival Open (5)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Bd3 Bxd3 5. Qxd3 e6 6. f4



Caro-Kann Advanced Variation において、Classical と同じように白マスビショップを交換してしまうことは、あまり白にとって良くないと考えられています。それは、残ったビショップに色が黒であるため、e5, d4 のポーンストラクチャーと相性が悪いためです。ここではさらにf2-f4 を突いているので、白は黒マスビショップの働きをさらに弱めています。

6... Nh6 7. Nf3 c5!? 8. Qb5+ Nd7!?


クイーンを交換する展開も黒にとっては問題ありませんが、ここでは1ポーンを捨て、ピースの展開の早さを生かすことにします。

9. Qxb7 cxd4! 10. Nxd4 Bc5 11. Nb3 Bb6 12. Bd2 a5!?



黒はg1-a7 のダイアゴナルをビショップで抑えることで、白のキャスリングを妨害し、1ポーンの代償を得ています。さらにはクイーンサイドからも早めのアクションを見せておくことで、クイーンサイドキャスリングも牽制しておきます。

13. c3 O-O 14. Na3 a4 15. Nd4 Nc5 16. Qc6 Nd3+?!


ここは本譜のようにポーンを取り返す展開と、もう1つの変化で迷いましたが、切り捨てた変化のほうがベターだったようです。16... Ne4! 17. Be3 Ng4! 18. Ke2 Bxd4! 19. Bxd4 Qh4 20. g3 Qh5-+ d4 のナイトを取るアイディアはいくつかのポジションで考えていましたが、このタイミングで取って、クイーンが跳びこむ変化は読んでいませんでした。確かに、5段目のナイト2つが協力しているのであれば、黒のアタックは決定的です。

17. Ke2 Nxb2 18. Rab1?!



18. Nxe6! Qh4! (18... fxe6 19. Rab1 Qe7 20. Rxb2 Ba5 21. Nb5 Rfc8 22. Qd6 Qf7=) 19. Qxb6 Qg4+ 20. Kf1 Rab8 21. Qa6 fxe6=/+ これならば、黒は再び1ポーンダウンですが、白キングの不安定さをついて勝負することができるでしょう。

18... Bxd4! 19. cxd4 Nf5 20. Qc3 Nc4 21. Nxc4 dxc4


ここもナイトをポーンとルーク、どちらで取るか迷いましたが、シンプルにd5 のマスを使うアイディアを選びました。これはFrench Defence Advanced Variation で登場するアイディアで、黒はd5 のアウトポストとh1-a8 のダイアゴナルを抑えられるのであれば、ポーンを捨てていても、十分に代償があるでしょう。21... Rc8 22. Rb4 Rxc4 23. Rxc4 dxc4 24. Qxc4 Qh4=/+ も面白い変化です。

22. Be3 Qd5!-/+



典型的なバッドビショップ vs. グッドナイトの構図になりました。French, Caro-Kann, Sicilian で起こりうる、黒の理想的なポジションです。

23. Kf2 Rab8 24. g3 h5!


4R は、こうした端からの攻撃を軽視して敗れました。ここでは安全にバックランクを外しておきながら、h5-h4 を狙います。白がh2-h4 と止めるようであれば、Nf5-Nh6-Ng4 が強力です。

25. Rhc1 Qe4 26. Ra1? Nxe3 27. Qxe3 Rb2+ 0-1



最後は相手のミスによってあっけなく終わりましたが、調子の立て直しのためには、良いゲームだったと思います。明日は午前中に最終戦、そして午後にはGM Challenge の後半戦が行われますので、ビシッと締めてハワイを後にしたいと思います。GM Challenge は、日本時間午前10時からのスタートで、chess24 にて中継される予定です。


5R のトップボードは、4連勝同士のアルメニアのGM Hovhannes Gabuzyan とアメリカのGM Alejandro Ramirez の直接対決です。私が会場を去ったときは黒優勢でしたが、果たしてどうなったでしょうか。泣いても笑っても、明日の最終戦の結果次第で、最終順位が決まります。

2015/03/21

Hawaii Chess Festival Day3


ハワイの到着して3日目の今日は、Open と並行してGM Challenge が始まります。そんな日のハワイの朝は、ポールの案内で、Island Vintage Coffee へと足をを運びます。。半分以上のお客さんが日本人観光客で、皆さんのお目当ては、この店の名物であるアサイボールでした。日本ではまだ珍しいアサイのスムージーに、グラノーラ、バナナ、イチゴ、ブルーベリーが乗せられています。私は8時35分の集合に間に合わせるために持ち帰りにしましたが、お店のオリジナルカップに入れて店内で食べるのも素敵でしたね。


そして9時過ぎから、いよいよGM Challenge が始まります。4人でくじを引いてペアリングを決めると、最初はHou Yifan に黒! マウイ市長の初手で、ゲームが開始されます。

Hou, Y (GM, CHN, 2686) - Kojima, S (IM, JPN, 2403)
Hawaii Chess Festival GM Challenge Quick (1)

1. e4 c6 2. d3 d5 3. Nd2 e5 4. Ngf3 Bd6 5. d4 exd4 6. exd5 Nf6 7. dxc6 Nxc6 8. Be2 O-O 9. O-O Qc7 10. Nb3 Bf5 11. h3 Rfd8 12. Bg5 Rac8 13. Bxf6 gxf6 14. Nh4 Bg6 15. Bg4 Rb8 16. Bf5 Kh8 17. a3 a5 18. Kh1 Bf8 19. Nc1 Qf4 20. g3 Qg5 21. Qf3 Ne5 22. Qe4 Nc4 23. Bxg6 hxg6 24. Nf3 Qh5 25. Nd3 Qxh3+ 26. Kg1 Bh6 27. Rfe1 Kg7 28. Rad1 Be3?!



ここはライブを見ていた友人たちからも指摘がありました。28... Ne3! 29. fxe3 Qxg3+ 30. Kf1 Re8-+ ならば黒の勝ちです。ビショップとナイト、どちらが跳びこむべきなのか、正確に読み切ることができませんでした。

29. Qh4 Qxh4 30. Nxh4 Bg5 31. Nf3 Rd7 32. Re4 Rbd8 33. a4 f5 34. Re2 Bf6 35. Kg2 Nb6 36. Ra1 Rc7 37. Nfe1 Nd5 38. Ra3 Rdd7


試合後に自分で考えていて、38... Rc4! となぜ指さなかったのか悔やみました... これでa4 をアタックされると、白は困っています。

39. Rb3 Re7? 40. Rxe7 Rxe7?




ここはビショップで取り返しておけば、黒はまだアドバンテージを保つことができました。40... Bxe7 41. Rb5 Nb4 42. Rxa5 Nxc2 43. Nxc2 Rxc2=/+

41. Rb5 Nb4 42. Rxa5 Nxd3 43. Nxd3 Rc7 44. Rc5 Re7 45. Kf3


こうなると白は全てのポーンを守りきり、クイーンサイドのポーンを伸ばして勝つことができます。この先は全くノーチャンスでした。

45... Bg5 46. Rc4 Bf6 47. b4 g5 48. a5 g4+ 49. Kg2 Re2 50. Kf1 Re7 51. Rc5 Kg6 52. Nf4+ Kg5 53. Nd5 Re5 54. Nxf6 Kxf6 55. Rxe5 Kxe5 56. b5 Kd5 57. Ke2 Kc5
58. a6 bxa6 59. bxa6 1-0



逆転負けは悔しいですが、女子の世界チャンピオン相手でもしっかり勝負ができることが分かり、良い勉強になりました。次のGareev に黒番は全くダメでしたが、Shankland にはドロー。全敗はなくなったと胸をなでおろしましたが... ブリッツは3敗です。日曜日の後半戦では、ポイントを取れるように頑張ってきます。


午後の試合は私はbye 休憩を取り、他のプレーヤーの試合を見守ります。南條くんはエジプトのGM Samy Shoker を相手に白を持ちましたが、残念ながら負け。アフリカ最強、エジプト代表メンバーは、ハワイでも実力を発揮しています。


3R 前の夕飯は、やはりハワイ名物のガーリックシュリンプにしました。ビーチ傍の屋台で売られていたこちらは、チキンも入れたセットは14$ です。


夕飯はワイキキのサンセットを見ながら。この時期、ハワイの日の入りは午後6時40分頃です。この夕陽を見るために、ビーチには多くの観光客が集まってきます。

そして長かった3日目の夜、午後7時半からは3R が始まります。私はイングランドのWIM が相手で、あまりピリッとしない内容でした。

Chevannes, S (WIM, ENG, 2172) - Kojima, S (IM, JPN, 2403)
Hawaii Chess Festival Open (2)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 g6 5. Nc3 Bg7 6. Be2 O-O 7. O-O a6 8. a4 a5 9. Qb3 e6 10. Bd2 Ne4 11. Be1 Nd6 12. c5 Nf5 13. Rd1 Nd7 (13... Na6) 14. e4
dxe4 15. Nxe4 Nf6 16. Nxf6+ Bxf6 17. Bc3 Bg7 18. Rfe1 Qc7 19. Bc4 Rd8 20. Ne5 Bd7 21. Bd3 Ne7 22. Nc4 Nd5 23. g3 Be8 24. Bf1 Bf6 25. Bg2 Bg7 26. Bf3 1/2-1/2



時間がないので解説は割愛しますが、終始押され気味でした。最後は相手からのオファーをありがたく受けましたが、続けていたらb6 やa5 が負担で苦しかったと思います。検討ではもう少し早く、b7-b6 のタイミングを探るべきだったと反省点が挙げられました。彼女はGM Challenge のコメンテーターもやっていましたが、レイティング以上の実力があると思います。

さて、明日は午前中が空きで、午後は同じ2試合のスケジュールです。ワイキキをゆっくり見ることのできる唯一の日ですので、楽しんでこようと思います。日本の皆さんも、百傑の2日目、頑張ってください!

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