2016/05/21

盤上のポラリス最終巻発売


5月17日に、盤上のポラリスの最終巻である、第4巻が発売されました。3月の記事でも書いた通り、最後は一兵がライバルの青と決着をつけ、ひめとの再会を果たすという流れで物語は幕を閉じます。是非、皆さんも単行本をお手に取って、中身をチェックしてみてください。私も先日、献本が届いたので、あらためて一冊分を通して読んでみましたが、この棋譜は名古屋にいるときに作ったな、この棋譜は苦労したな、などと思い出が甦り、連載終了時とはまた違った感慨にふけることになりました。

最終巻発売の前の週には、作画の若松さんや編集さんと連載終了の打ち上げの席でお会いし、チェスや作品にかけた想いについて色々と話をすることができました。漫画の世界の裏話なども聞けて、とても面白いかったです。昨年のミュージカルの際にも感じたことですが、作品作りには多くの時間とエネルギー、そして様々な人の協力が必要となります。漫画に限らず、またこうしたチェスを題材にした作品が作られる際は、微力ながら私もお手伝いできればと思っています。今後も、まだチェスを知らない人が、チェスに興味を持つきっかけとなる作品が、日本で生まれ続けることを願っています。

2016/05/15

Weekly Chess Puzzle Vol.24


Kojima, S - Nanjo, R
Tokei Friendship Match 2009
White to move


Kojima, S (FM, JPN, 2290) - Lengyel, B (IM, HUN, 2270)
First Saturday 2012 July IM
White to move

今回はタクティクス2問の出題です。これまでと比べ、簡単な部類だと思いますので、すぐに正解が分かるかもしれません。ただし、2問目は方向性を間違えると、なかなか答えにたどり着かないでしょう。答えはコメント欄にどうぞ。

2016/05/14

Saturday Lecture on May 28th 2016


今年の全日本選手権 Photo by Hasegawa

【日時】 2016年5月28日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Japan Chess Championship 2016
【テーマ詳細】

今年も全日本選手権では、数々の名勝負が生まれました。毎年全日本は日本トップレベルの試合が繰り広げられますが、今年は海外のマスター勢も参加し、特にレベルが高かったと思います。そこで全日本直後の今月のレクチャーでは、全日本選手権のゲームを振り返ろうと思います。入賞者のものだけでなく、面白かったゲームはなんでもピックアップしてご紹介できればと思います。

【参加費】 レクチャー代1200円+飲み物代200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

2016/05/13

Modern Benoni with Nf6-Nh5


Modern Benoni は、特徴的なポーンストラクチャーを持つ面白いオープニングです。黒はd6 に弱いポーンを抱え、e4-e5 のブレイクも気をつけなければいけませんが、e4 やb2 への反撃、クイーンサイドのポーンマジョリティなどでチャンスを作ります。

そんなModern Benoni の中で時々見られるピースのマヌーバリングが、Nf6-Nh5 です。狙いは白のBc1-Bf4 を防ぐことや、すでにf4 にきたビショップの追い返し、f4 のマスへのナイトの侵入、f7-f5 突きなどが挙げられます。昨年末に公開された完全なるチェックメイトでも、Fischer がSpassky に対して、Modern Benoni でNf6-Nh5 と指したゲームが、作品の大きな鍵として扱われています。

Spassky, B - Fischer, B
World Championship 28th (3)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 c5 4. d5 exd5 5. cxd5 d6 6. Nc3 g6 7. Nd2 Nbd7 8. e4 Bg7 9. Be2 O-O 10. O-O Re8 11. Qc2 Nh5!?



Fischer にとってすでに崖っぷちとも言えた、世界チャンピオン決定マッチの3R で出た妙手です。黒はポーンストラクチャーを乱してでも、クイーンとビショップのダイアゴナルを開き、マッチの流れを引き寄せる大きな白星を手にしたのでした。

そんなModern Benoni のNf6-Nh5 について、日本のプレーヤーが指した手がChess.com の最新記事で紹介されています。記事を書いたのは、最近日本に越してきたアメリカのIM Jeremy Silman です。

Chess Patterns Are For Everyone


Mitsuya, N - Fukuya, N
Japan Open 2015(3)

1. d4 Nf6 2. c4 c5 3. d5 e6 4. Nc3 exd5 5. cxd5 d6 6. e4 g6 7. Nge2 Bg7 8. Ng3 O-O 9. Be2 a6 10. a4 Re8 11. O-O Nbd7 12. f3 Nh5!?



詳しいゲームの流れは記事内で見てもらうことにしますが、このタイミングでのNf6-Nh5 は、黒マスビショップをd4 に置き、白が弱めてしまったg1-a7 のダイアゴナルも利用できるので、非常に上手い手になっていると思います。私もMisha に習ったことですが、一般的に弱点となることでも、相手に付け込まれる心配が無ければ問題ないという考え方があります。ここでは、黒はキング前のポーンストラクチャーを乱しても、その代わりにピースをアクティブにし、早く攻撃することで、白に攻める隙を与えなければ大丈夫なわけですね。

Jeremy Silman はこれからオリンピアードに向け、日本の女子チームをサポートしてくれるそうです。今後、彼の協力の元で、女子だけでなく日本のプレーヤー全体のレベルが上がったり、日本のプレーヤーがもっと注目されるようになると良いですね。

2016/05/08

Opening Repertoire: The Caro-Kann


Opening Repertoire: The Caro-Kann written by IM Jovanka Houska

今夜は久々に本の紹介です。こちらは2005年に、EVERYMAN CHES から出版されたCaro-Kann の本で、イングランドのNo.1 女子プレーヤー、Jovanka Houska によって執筆されました。彼女は2007年にもCaro-Kann の本を執筆しており、その内容を一新、パワーアップしたバージョンとなっています。私が2011年から愛用している、Caro-Kann Classical の13. Kb1 Qb6!? ラインについても、詳しく解説がされています。

そしてつい先日、この本にパラパラと目を通していたところ、私のゲームが掲載されていることに気が付きました。Exchange Variation の章に、カペルでかつて指した試合の変化が、黒十分と出ています。これには私も驚きました。


せっかくですので、こちらの試合を最後まで簡単にご紹介しておきます。

Groz, J (FRA, 2093) - Kojima, S (FM, JPN, 2329)
27th Cappelle (2)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. exd5 cxd5 4. Bd3 Nc6 5. c3 Qc7 6. Ne2 Bg4 7. Qb3 Bxe2 8. Bxe2 Nxd4



現在では当たり前のように指すこの手も、初めて知った当時は驚いたものです。センターを完全に解消してしまえば、白にアドバンテージはありません。

9. Qxd5 Rd8 10. Bb5+ Nxb5 11. Qxb5+ Rd7 12. Be3 a6 13. Qa4 Nf6 14. Nd2 Nd5


GM Schandorff の本には14... e6= と掲載されていますが、私は早くナイトが跳び、ビショップをアタックする手を好みました。

15. Qe4?! Nxe3 16. Qxe3 e6 17. O-O Bc5 18. Qe2 O-O=/+



ビショップナイトを交換し、f2 を綺麗に攻撃できている黒は、すでにアドバンテージがあると考えられるでしょう。

19. Nb3 Ba7 20. Rad1 Rfd8 21. Rxd7 Qxd7 22. h3 g6 23. Rc1 Qa4


どこにもプレッシャーをかけられていない黒は、細かくピースを振り、揺さぶりをかけていきます。

24. Ra1 Qf4 25. Rc1 h5 26. Rc2? Bxf2+!



このタクティクスで駒得となり、後は丁寧に指すだけです。

27. Kh1 Be3 28. Qf3 h4 29. Nd4 Qxf3 30. Nxf3 Rd1+ 31. Kh2 Bf4+ 32. g3 Bxg3+ 33. Kg2 e5 34. Ng5 f5 35. c4 e4 36. Re2 Be5 37. b3 Rd3 38. Ne6 Rg3+ 39. Kf1 Rxh3 40. Nc5 Rh1+ 41. Kf2 Rh2+ 42. Kf1 Rxe2 43. Kxe2 h3 0-1


2011年のカペルでは、たいして目立った活躍はできませんでしたが、こうして下に取りこぼすことなくポイントが取れたのは、良い点だったと思っています。それにしても、一部でも自分の試合が本に取り上げられているというのは嬉しいものですね! 今後もこうしたゲームをたくさんできるよう、頑張ってプレーしていきたいですね。

2016/05/06

Japan Chess Championship 2016 Day6


6日間続いた全日本選手権も、とうとう最終日を迎えました。大事な5日目に連勝し、単独トップに立ったTuさんは、最終戦も勝って優勝を決めました。東京オープンや百傑戦のように、余裕の独走とはいきませんでしたが、それでもこのメンバーでの単独優勝は素晴らしく、とても勝ちのあるものだと思います。Tuさん、おめでとうございます!

1st Place Tran Thanh Tu (CM, VIE, 2290)
2nd Place Nanjo Ryosuke (IM, JPN, 2330)
3rd Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2400)
4th Place Lewis Andrew (FM, ENG, 2267)


入賞したメンバーは私も含め、最終戦をきっちりと勝ちました。その他の入賞者の皆さんもお疲れ様です。私は昨年のチャンピオン、馬場さんに白を持ち、昨年のリベンジマッチとなりました。今年のベストゲームと言える内容です。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Baba, M (CM, JPN, 2232)
Japan Chess Championship 2016 (11)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 a6 5. g3!?



逆転優勝のため、黒でも勝つしかない馬場さんのチョイスは、十八番のGrunfeld ではなく、a6 Slav でした。いつもであればソリッドな変化を好む私ですが、馬場さん同様に勝ちが欲しい私は、思い切ってギャンビットラインを指してみることにします。

5... dxc4 6. Bg2 g6!?


実を言えば、今回はSemi-Slav に対して、5. g3!? と指すラインを試してみようかと考えていました。この試合でもg3 セットアップを採用したのは、どこかで黒はe7-e6 を指してきて、研究している形に手順前後すると思ったのです。そのため、このフィアンケットのセットアップは少し驚きであると同時に、Grunfeld プレーヤーの馬場さんらしいチョイスだと感じました。

7. O-O Bg7 8. h3!?N



私はこの試合、あくまでc4 は取り返しにいかず(少なくとも、早い段階では)、ギャンビットにこだわって指すつもりでした。そのため、メインの8. a4 は頭から捨て、e7-e6 のセットアップと何が違うかを考えます。1つのポイントとしては、黒の白マスビショップはg4 辺りに展開できるチャンスがあるため、まずはこれを防ごうとしました。

8... O-O 9. e4 b5 10. Qe2 Bb7 11. Bf4 Ne8


白はポーンをギャンビットした分、センタポーンの厚みで勝負します。それに対して黒は、ここでナイトを退いておかなければ、e4-e5-e6 というポーンの押し込みを常に気にしていなければいけないでしょう。

12. Rad1 Qa5 13. a3



このような端ポーンの手に1手かけるのであれば、もっとアクティブな手を指すべきだろうという考え方もあるでしょうが、私はb5-b4 を防いでおき、c3 にしばらくナイトが残れる状態のほうが、白が落ち着いてプランを立てやすいと考えました。

13... Nd7 14. Bg5!?


ここで白から細かく仕掛けてみることにします。e7 を守るうまい方法が無い黒は、f7-f6 と突くしかありませんが、そのポーン突きはe6 のマスと、将来的なキングの守りを薄くします。

14... f6 15. Be3 e6 16. h4!



黒キングの守りを弱めたのであれば、さらにそれを利用しない手はありません。hポーンの前進からポーン交換を目指すことで、さらにキングの守りを弱体化させることを狙いつつ、Bg2-Bh3 というビショップの切り替えもにらんでいます。

16... Nc7 17. Bh3 Rad8 18. h5 Rfe8 19. hxg6 hxg6 20. Nh4


ここは十分なのか少し早いか、しっかりとした判断はできませんでしたが、相手キングに仕掛けてみることにします。狙うはもちろん、g6 のポーンです。

20... Nf8 21. Qg4 e5?



ここで馬場さんが長い時間を使っていたので、21... Kf7 以外の何を読んでいるのか、私にはよく分かっていませんでした。21... Kf7 22. e5 f5 23. Qg5 と進めば、白は次のg3-g4 も視野に入れ、攻勢でゲームを続けられそうです。

馬場さんが指してきた本譜は、b7 の使いづらいビショップをc8 に退き、白のクイーンとビショップを同時にアタックするというアイディアです。私は指された直後は、まずい手を許してしまったかと思いましたが、丁寧に丁寧に読んでいくうちに、非常に面白いアイディアが成立すことに気が付きました。

22. dxe5! Bc8 23. Qf3 Bxh3 24. exf6


黒は狙い通りにh3 のビショップを取りましたが、代わりにf6 に白ポーンの侵入を許したことで、g7 のビショップ取りと、f6-f7 からのルーク取りが両方スレットになっています。どちらも同時に守ることはできないため、黒はf1 のルークを取りますが...

24... Bxf1 25. f7+ Kh7 26. Nxg6!!



この手を見つけることができたのはたまたまで、22手目の時点から読んでいたわけではありません。しかし、25... Kh8 だった場合に、g6 を取ってからのQf3-Qh5 がメイトになることに気づき、もしかすると25... Kh7 に対しても、同じことができるのではないかと考えたのです。26... Kxg6 27. Qf5#、26... Nxg6 27. Qh5+ Bh6 28. Qxh6# どちらも簡単にメイトであるため、黒はg6 に跳びこんできたナイトを、すぐには取ることができません。

26... Be2 27. Nxf8+!


黒の26... Be2 はなかなか嫌なアイディアで、Qf3-Qh5+ を止めているのはもちろんのこと、クイーンをf5 への利きからそらしてしまえば、Qf3-Qf5 も消せるのがポイントです。ここは少し迷いましたが、本譜のでストレートに勝ちまで読み切ることができました。

27... Bxf8 28. Qf5+ Kg7 29. fxe8=N+!



このチェックになるアンダープロモーションを見つけられたことで、勝ちを確信しました。

29... Rxe8


29... Nxe8 30. Qg5++- ルークを取れれば、完全に白の駒得ですし、黒キングは風前の灯火です。

30. Bd4+ Kh6 31. Qf6+ Kh7 32. Qf7+ 1-0



途中で連敗もあり、優勝こそ逃してしまいましたが、こうしたゲームで強敵、馬場さんに勝てたことは、次の大会やオリンピアードに向けての、良いステップになるでしょう。誰に見せても恥ずかしくないゲームだったと自負できます。

全日本選手権、およびゴールデンオープンに参加した皆さん、運営とアルゼンチン大使館の皆さん、本当にお疲れ様でした! 今年はフレッシュな顔ぶれも多く、盛り上がるペアリングとゲーム内容も豊富だったと思います。現段階では、まだ8,9R までの棋譜しか手に入れられていませんが、これらも明日から並べてみて、自分になりに今年の全日本選手権を振り返ってみようと思います。それでは皆さん、また次の大会でお会いしましょう!

2016/05/05

Japan Chess Championship 2016 Day5


全日本選手権もいよいよ大詰め。9R,10R が行われる5日目を迎えました。この日の午前中は、上位3ボードが優勝に関わる重要なペアリングとなり、白熱の試合が行われました。私はトップを走る、南條くんとの対戦です。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Nanjo, R( IM, JPN, 2330)
Japan Chess Championship 2016 (9)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 c6 6. O-O d5



前日の権田さんとの試合に続き、またもやGrunfeld です!

7. Qb3 Qb6 8. Nc3 Rd8 9. Qa3 dxc4 10. Qxe7 Re8 11. Qa3 Na6 12. Bf4!?


ここは12. Qa4 Qb4 13. Qd1 と退く実戦例がありますが、d1 に戻ったクイーンをこの後どうすれば良いのかは少し疑問です。

12... Qb4 13. Qxb4 Nxb4 14. Be5 Nbd5 15. Rfc1 Bh6 16. e3 Be6 17. Nd2 Nd7 18. Nxc4 Nxc3 19. Rxc3 Bxc4 20. Rxc4 Nxe5 21. dxe5 Rxe5



ここでドローオファーされましたが、どちらを持ちたいかと言えば、オープンファイルを取れる白です。勝ちを望む状況である以上、プレーを続けるのは当然です。

22. Rb4 Re7 23. Rd1 Bg7 24. a4 Kf8 25. h4 h5 26. Rd3


bファイルにルークを回すアイディアを見せておきます。白にとって難しいのは、残っているビショップが異色であるため、ポーンを取れてもルークを完全に消してしまえば、ドローになる可能性が高いことでしょう。なんとかルークを残しつつ、ポーンを掠め取れる状況を模索します。

26... Rc8 27. a5 a6 28. Bh3 Rcc7 29. f4 Re8 30. Kf2 c5 31. Rb6 c4 32. Rd7 Re7 33. Rd8+ Re8 34. Rd7 Re7 35. Rd8+ Re8 36. Rxe8+ Kxe8 37. f5!?



単にb7 を取りにいくだけでは、キングサイドに4対3のポーンが残るルークエンディングか異色ビショップエンディングにしかならず、それらはどちらもドローです。ルークエンディングになった際、h5 が孤立していれば勝つチャンスがあると思い、ここでのブレイクを仕掛けました。しかし実際には、37. Bg2 c3 38. bxc3 Bxc3 39. Bxb7 Bxa5 40. Bc6+! Ke7 41. Rxa6+/= こちらのほうがチャンスがあったかもしれません。40. Bc6+ が見えておらず、ビショップは消しあうしかないと思っていました。

37... gxf5 38. Bg2 Rc5!


上記の変化にあるような、38... c3 ばかりを考えていました。ルークエンディングではなく、異色ビショップエンディングを目指すのは、黒として正しい方針です。

39. Bxb7 Rxa5 40. Bxa6 Ra2 41. Bb5+ Ke7 42. Rb7+ Kd6 43. Bxc4 Rxb2+ 44. Rxb2 Bxb2 45. Bxf7 Bg7 46. Bxh5



41. Bb5+ を見つけられたため、こうして2つのポーンを掠め取ることができました。それでも、この異色は勝つことができません。

46... Ke5 47. Bg6 Kf6 48. Bh7 Bf8 49. Kf3 Bg7 50. Bxf5!?


ここでビショップを消し、3ポーンvs. ビショップの勝負にします。代わりに、eポーンとfポーンを交換すれば、黒はビショップでg5 にきたポーンを取ってドロー(h8 が黒マスで、白に残るビショップは白マスであるため)、gポーンとfポーンを交換すれば、ビショップでeポーンを取ってドロー(理由は同じく、h8 が黒マスであるため)となります。

50... Kxf5 51. g4+ Ke5 52. g5 Kf5 53. e4+ Ke6 54. Kg4 Bd4 55. h5 Bc3 56. h6 Bd4 57. Kh5 Kf7 58. g6+ Ke6



正直に言えば、この辺りまでは白に勝つチャンスがあるのではないかと勘違いしていました。黒のビショップはしっかり、a1-h8 のダイアゴナルで白の3ポーンを抑えているため、ドローにしかなりません。

59. Kg4 Kf6 60. Kh5 Ke6 61. Kg4 Kf6 62. g7 Kf7 63. Kh5 Bc3 64. Kg4 Bd2 65. Kh5 Bf4 66. g8=Q+ Kxg8 67. Kg6 Kh8 68. h7 1/2-1/2


こうして今大会3回目となる異色ビショップエンディングは、ビショップを捨ててみたもののドローに終わりました。色々と勉強になるゲームでした。

この日、トップを入っていたAndrew は悲劇の連敗で上位から陥落。代わりにTu さんが連勝で、単独トップに立っています。この重要なラウンドで連勝できるとは、彼の力強さを感じますね!

8P Tu
7.5P 南條、馬場
7P 小島、塩見


現在の上位はこのようになっています。塩見さんが連勝で上がってきており、明日は逆転優勝をかけてTuさんに挑みます!

塩見-Tu
小島-馬場
南條-Simon


最終戦のペアリングはこのようになりました。泣いても笑っても最後の一戦、悔いの無いようにプレーしてきたいと思います!


2016/05/03

Japan Chess Championship 2016 Day4


全日本選手権4日目の今日は、昨日と打って変わって2連勝。もやもやを吹き飛ばし、再び上位に迫れる位置まで戻ってきました。午後の権田さんとの試合では、終始しっかりとしたチェスが指せたと思います。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Gonda, G (JPN, 2048)
Japan Chess Championship 2016 (8)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. g3 Bg7 4. Bg2 O-O 5. d4 c6 6. O-O d5



まさかの4試合連続、白番でのKing's Indian かと焦りましたが、この日はGrunfeld でした。

7. Qb3 dxc4 8. Qxc4 Nbd7 9. Nc3 Nb6 10. Qd3 Be6 11. Rd1 Qc8 12. b3!?


黒マスビショップをどこで使うか悩みましたが、クイーンがe7 の守りを離れたのを見て、a3-f8 のダイアゴナルを思いつきました。b3 に動かしたポーンがc4 を、ビショップがc5 を抑えられるのもポイントです。

12... Bh3 13. Ba3 Bxg2 14. Kxg2 Qd7 15. Rac1



黒はスペースの狭さの問題を解決するため、白マスビショップを交換しますが、それでも白が優位に試合を進めることができるでしょう。センターをさらにポーンで抑える、c5 にどちらかのナイトを向かわせるなど、白のプランは豊富です。

15... Rad8 16. e4 Rfe8 17. Qe2 Bh6 18. Rc2 Qe6 19. h3!?


頭のあった構想を焦らず、まずはQe6-Qg4 などを抑えておきます。

19... Kh8 20. Bb2 Kg8 21. d5!



私が実行したかったのはこのアイディアです。ポーンを一時的に捨てますが、a1-h8 のダイアゴナルとcファイルを開き、さらにb5、d4 というナイトの絶好のマスを得ます。

21... cxd5 22. e5! Ne4 23. Nb5! Rc8


すぐにエクスチェンジを諦める変化は単純に白が良いため、あまり真剣には読んでいませんでした。23... Rf8 24. Nfd4! Qxe5 25. Nc6 Qe6 26. Nxd8 Rxd8 27. a4+/- このように2つ目のポーンを捨てても、白はエクスチェンジを取れれば優勢でしょう。

24. Nc7 Qd7 25. Nxe8 Rxe8



ルークを取る前に、25. e6!? と指してビショップのダイアゴナルを開くアイディアも考えました。しかし、しっかりとは読み切れなかったため、確実に有利だと思える本譜を選びます。

26. Nh2 Ng5 27. Qg4 Ne6 28. Nf3 Bg7 29. a4 h5 30. Qb4 Bh6 31. a5 Nc8 32. Bc1!


c1 のマスを奪い返し、ルークをcファイルに重ねられるようになれば勝負ありです。

32... Bxc1 33. Rdxc1 a6 34. Nd4 Na7 35. Nxe6 Qxe6 36. Qxb7 Nb5 37. Rc8 1-0



最後はルークとクイーンを交換し、勝ちのエンドゲームに持ち込んで試合終了です。昨日は苦しい2連敗だっただけに、今日の白星はとても嬉しかったですね。

今日は、馬場さんがTuさんに勝ち、南條くんが馬場さんに勝ちと、トップが入れ替わる展開が続き、非常に面白い争いが続いています。現在は、Alex と馬場さんに連勝した南條くんと、小林くん、青嶋くんに勝ったAndrew がトップで並んでいます。

6.5P 南條、Andrew
6P Tu、馬場
5.5P 小島、青嶋、Alex


そして明日のペアリングですが、優勝の行方が決まる、大切な直接対決になりそうです!

Andrew-馬場
小島-南條
Tu-青嶋
Alex-Simon


Andrew と南條くんは、ともに上位勢にほぼ当たっているため、ここで馬場さんと私が止めなければ、もうストップはかからないかもしれません。私も逆転優勝への望みを託すため、この大事な9R、良い結果を出せるように頑張ってこようと思います!


初日にも行った韓国料理屋で、今夜は好物のチャプチェにしました。

Japan Chess Championship 2016 Day3


今日はショックの連敗でした... 簡単に5R のTu さんのゲームだけ振り返ります。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Tran Thanh Tu (CM, VIE, 2290)
Japan Chess Championship 2016 (5)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. g3 Bg7 4. Bg2 O-O 5. d4 d6 6. O-O Nc6 7. Nc3 a6 8. Bf4 Rb8 9. Rc1 Bd7 10. Qd2 Re8 11. Rfd1 b5 12. Nd5 bxc4 13. Nxf6+ exf6 14. Rxc4 Ne7 15. e4 g5 16. Be3 d5 17. exd5 Nxd5 18. Ne1 Bb5 19. Rc5 Nxe3 20. fxe3 Bf8 21. Rc2 Qe7 22. e4 Rbd8 23. Qc3 c5 24. d5 c4 25. Rf2 Bg7 26. Qf3 Qc5 27. Bh3 f5 28.Bxf5 Bd4



黒はようやく黒マスビショップを活用させ、エクスチェンジを取りにいきます。しかし、キングの守りは薄く、白は攻撃のチャンスが続きます。

29. Bxh7+!?


時間の無い中、この手はうまくいくだろうと楽観視しすぎました。実際、成立するサクリファイスですが、もう少し慎重に読まなければいけません。29. Rxd4! Qxd4 30. Qh5 Qg7 31. Ng2!+/- であれば、白はキングの危険が無く、駒損してはいるものの攻勢です。

29... Kxh7 30. Qh5+ Kg7 31. Qxf7+ Kh6?



Tu さんは迷わず勝負に行きますが、このキングに逃げる方向は不正確です。31... Kh8 32. Qh5+ Kg7 33. Qxg5+ Kh8= ならば、パペチュアルチェックでドローです。

32. Kg2?


検討戦で話をしたのは、ルークもサクリファイスするアイディアです。32. Rxd4!! Qxd4 33. Nf3 (33. Nc2 Qb6 34. h4 gxh4 35. Qf4+= これでドローというのが検討での結論です。) 33... Qb6 (33... Qxe4 34. h4 gxh4 35. Nxh4+-) 34. h4 gxh4 35. Nxh4 Bd7 36. d6+- なんと、Ne1-Nf3 からのh2-h4 で黒キングは追い詰められていました。これは時間がない中、見つけるのは難しかったです。

32... Rf8 33. Qe6+ Kg7 34. Rxf8 Rxf8 35. Nf3 Bxb2 36. d6?



最後の間違いです。36. Qg4 Be8=/+ ならば、まだ勝負は分からなかったでしょう。

36... Qe3 37. Qe7+ Rf7 38. Qxg5+ Qxg5 39. Nxg5 Rd7 40. Ne6+ Kf6 41. Nc5 c3 0-1


最後はルークを取っても、cポーンを止めることができずにリザイン。痛い黒星でした。

この後、Andrew 相手にも、黒で必勝になりながら、一番大事な手が見えずに逆転負け。苦しい1日となりました。それでもようやく半分が終わったところですので、気を取り直してまた明日から頑張ります。

5P 馬場、Tu
4.5P 南條、青嶋、Alex、Andrew、中村


まだまだ上位は混戦です。残り5試合、ますますヒートアップするでしょう。私もなんとか食らいついて、再び浮上したいところです。

馬場-Tu
南條-Alex
中村-青嶋
小林-Andrew


明日のペアリングはこのようになっています。私はガクッとボードが下がり、7B で山田くんとの試合です。昨年負けた相手ですので、是非ともリベンジしたいですね。


2016/05/02

Japan Chess Championship 2016 Day2


全日本選手権2日目の今日は、Simon、Alex と厳しい相手との連戦です。3R のSimon 戦は、相手のミスで駒得をし、異色ビショップながらもエンドゲームを勝ち切りました。3連勝で臨んだ4R のAlex 戦は、奇しくも再び異色ビショップエンディングとなります。

Averbukh, A (JPN, 2191) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Japan Chess Championship 2016 (4)

1. e4 c6 2. b3 d5 3. Bb2 dxe4 4. Nc3 Nf6 5. Nge2 Bf5 6. Ng3 e6 7. Qe2 Be7 8. Ncxe4 Nxe4 9. Nxe4 O-O



ここでは9... Bxe4 10. Qxe4 Bf6 11. Ba3 Be7 も考えましたが、ここは短い手数ドローの可能性を捨て、長期戦を覚悟してゲームに臨みます。

10. g4 Bxe4 11. Qxe4 Qd5 12. Bd3 Qxe4+ 13. Bxe4 Nd7 14. O-O-O Nf6 15. Bf3 Nd5 16. h4 a5 17. a4 Rfd8 18. c4 Nb4 19. d4 Rd7 20. Be4 Rad8 21. g5 Bd6 22. Kb1


ここはあっさりd4 のポーンをくれたので、黒が有利になりました。22. Rhe1 であれば、d1 のルークは守られたままで、Bd6-Bf4-Be5 も使えないため、本譜の手筋はありませんでした。

22... Bc5!



これでポーンアップになりますが、ここから黒が勝つのは簡単ではありません。

23. Rd2 Bxd4 24. Rhd1 c5 25. f4 g6 26. Bf3 b6 27. h5 Kf8 28. Be4 Ke7 29. Bc1 Bc3 30. Rxd7+ Rxd7 31. Rxd7+ Kxd7


黒はピンにされたd4 のビショップを解放するため、このように2ルークの交換に応じなければいけません。ここからどこで進展を作るか、頭を悩ませます。

32. hxg6 hxg6 33. Be3 Bd4 34. Bd2 Na6 35. Kc2 Nc7 36. Kd3 Ne8 37. Bf3 Nd6 38. Bg4 Ba1 39. Bh3 Ke7 40. Bg4 Kf8 41. Bh3 Nf5 42. Bg4 Nd4



ナイトがd4 へ行く形は良いと考えました。これで一時的に白マスビショップを守りに退かせておき、次に手を作るポイントを絞ります。

43. Bd1 Bb2 44. Ke4 Ke7 45. Be3 Kd6 46. Bd2 Nf5 47. Bg4 Bd4 48. Bh3 Bg1 49. Bg4 Nd4 50. Bd1 Bh2 51. Be3 e5


ここでポーンをぶつけ、g5 を孤立させます。Nd4-Ne6 もg5 を狙う形になっているため、これはチャンスがあるだろうとこの時点では考えていました。

52. fxe5+ Bxe5 53. Bd2 Bg3 54. Be3 Ne6 55. Bg4 Be1 56. Bc1 Bc3 57. Be3 Bg7 58. Bd2 Bf8



苦労しながら、黒マスビショップをe7 まで組換えるマヌーバリングで、g5 のポーンを狙うことができることに気づきました。しかし、白にはうまい手順でドローに持ち込む方法があります。

59. Bf4+! Nxf4


59... Kc6 60. Bxe6 fxe6 61. Bc1 を試すべきだったかもしれませんが、おそらくドローでしょう。本譜は異色ビショップでも、b3 を取りに行けるため、2ポーンアップで勝てると思いこんでしまいました。しかし実際には...

60. Kxf4 Bg7 61. Bf3 Bb2 62. Bd5 Bc1+ 63. Kg4 Ke7 64. Bc6 f6 65. gxf6+ Kxf6 66. Bd7 Ke5 67. Be8 g5 68. Bd7 Kd4 69. Be8 Kc3 70. Bd7 Kxb3



取りにいく前の段階で気づいていましたが、これは2ポーンアップでも、ドローにしかならない局面です。白はgポーンをキングでブロックし、b5 のマスをビショップで抑え続ければ安全です。

71. Bb5 Bd2 72. Kf3 Bf4 73. Kg4 Be3 74. Kf3 Bc1 75. Kg4 Kc3 76. Kf3 Kd4 77. Kg4 Bf4 78. Kf3 Bc7 79. Kg4 Bd8 80. Kf3 Kd3 81. Kg4 Ke3 82. Bc6 Kd4 83. Bb5 1/2-1/2


どこかでb6-b5 のブレイクができないかと考えましたが、もちろんビショップで取られてダメです。短手数ドローにせず、しっかり試合をして良かったとは思いますが、これで4連勝の馬場さんに一歩差をつけられ、2位グループに後退です。

今日は上位ボードで、青嶋-馬場、Andrew-Tu、山田-南條など、面白いペアリングが組まれ、いずれも決着がつきました。4R を終えた現在の上位は以下の通りです。

4P 馬場
3.5P 小島、Tu、南條、Alex


この中で当たっているのは、私とAlex だけなので、まだまだ上位勢の直接対決で、大きくポイントと順位は動きそうです。しかし、明日は平日で申請bye が多いため、ペアリングは以下のようになっています。

小島(3.5)-Tu(3.5)
南條(3.5)-青嶋(3)
権田(3)-中村(3)
三ツ矢(3)-高橋(3)


単独トップの馬場さんは、ここで2試合bye となり、1P を落とします。これは後半で順位に影響を与えるかもしれません。私は宿敵、Tuさんとの対決です。これまで黒で2敗していますが、白でも負けるわけにはいきません。しっかりポイントを取って、再びトップに立ちたいと思います! それでは皆さん、3日目もよろしくお願い致します。

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