2014/07/30

Tromso Olympiad Tournament Schedule


いよいよトロムソへの出発前日となりました。明日の午前中の便でコペンハーゲン、オスロを経由し、現地の夜に到着予定です。いまさらですが、今回のオリンピアードのスケジュールを確認しておきましょう。

7/31 11:40 成田発、現地時間 21:45 トロムソ着
8/01 19:00 オープニングセレモニー
8/02 15:00 R1
8/03 14:00 R2
8/04 14:00 R3
8/05 14:00 R4
8/06 14:00 R5
8/07 Rest Day
8/08 14:00 R6
8/09 14:00 R7
8/10 14:00 R8
8/11 14:00 R9
8/12 14:00 R10
8/13 Rest Day
8/14 11:00 R11 19:00 クロージングセレモニー
8/15 06:30 トロムソ発
8/16 09:05 成田着

以前、ヨーロッパのトーナメントスケジュールを書いた際にも思いましたが、こうして見ると長いですね! 日本とノルウェーの時差は現在7時間ですので、R1 の中継は日本時間の22時、R2 からは21時のスタートとなります。日本のチェスファンにとっては、割と見やすい時間でしょうかね。それでは明日から17日間、よろしくお願い致します。各国代表たちとの再会、および対戦を楽しみに行ってきます!

トロムソオリンピアード公式HP

2014/07/28

Nagoya Open 2014 Tournament Information


前回の名古屋遠征は、ほぼ3年前です。

オリンピアード直前ですが、来月の国内大会の告知を出しておきます。ハンガリーに留学していたため、2012年、2013年の2年間は足を伸ばせなかった名古屋ですが、今年は行くつもりです。今年の名古屋オープンは8月最終週の週末、30日31日の開催となります。

日程: 2014年8月30日(土)、31日(日)
会場: 東桜会館
形式: 60分+1手30秒、6R スイス式
参加費: 10000円(18歳未満8000円、早期振込み割引有り)
大会詳細: 名古屋チェスクラブ

かつては初日が2試合で、合計5Rだった名古屋オープンは、知らぬ間に6Rに増加されたようですね。今年はジャパンリーグに参加できないため、もう1つの大きな賞金トーナメントである名古屋に行くわけですが、朝から60フィッシャーを3試合ずつ、2日間というのはきついスケジュールになりそうですね。

2011年には、名古屋オープンと中部快速の2つの大会を優勝した私にとって、名古屋は相性の良い地です。9月2日には山梨に行く可能性があるので、名古屋でゆっくりできるかは分かりませんが、久々に中部、関西圏のプレーヤーと交流できる機会を楽しみにしています。関東からの参加を検討している皆さんも、よろしくお願い致します。

2014/07/26

Junior Championship 2014 Day1


今日は午前中にMisha とのトレーニングをこなし、蒲田でジュニア選手権の見学、そして渋谷でレッスンの仕事というスケジュールでした。Misha にはサマーオープンの試合をチェックしてもらい、色々と鋭い指摘を貰っています。私も結構しっかり指すようになってきたと思っていましたが、Misha に比べるとまだまだですね(笑)

年に一度、日本のジュニアチャンピオンを決める全日本ジュニア選手権は、今日と明日2日間の開催です。リストトップで、レイティングをリスト2位と大きく離している唐堂くんは、日程を間違えて1R で不戦敗という、大変よろしくないスタート。しかし彼の悲劇は2R にこそありました。


初日3連勝の福住くん(左)

初の公式戦で、まだUR ですが、日吉のトレーニングでは高い評価を受けていた福住くんが、唐堂くんを2R で破り、3R も勝って3連勝です。私も2R の後半と3R の前半を見ましたが、初公式戦の高校1年生とは思えない、落ち着いた指しまわしでした。海外勢ではなく、日本にいながらネットで腕を磨いたそうで、日本にも若いダークホースが隠れているものだと感心させられました。


3R2B は相馬 - 大多和というペアリングでした。

関西の中学生としてはおそらくNo.1 の実力を持ち、今年は全日本でも最年少選手としてプレーした大多和くんは、2勝1ドローで初日を終えています。3R のドローは久々に姿を見る相馬アーディくんで、彼も2勝1ドロー。2R では1B で、リスト2 のヒーバートケンジくんを破っています。リスト1、リスト2 が初日の前半で陥落した今年のジュニア選手権、2日目も多少荒れそうな予感がしますね。


注目の3R1B は、柏原くんが黒で勝ち星を収めました。

1B で行われた、麻布と高槻のエース対決、堀 - 柏原戦は、黒がKing's Indian で押し切ったようです。初の全日本では苦戦を強いられた柏原くんですが、その経験がこの大会で生きると良いですね。柏原くんとは空き時間にブリッツをしましたが、レイティング以上の実力がありますし、関西ではトップのジュニアであることは間違いないと思います。

ジュニア選手権は2日目の明日も、午後の早い時間に見学に行くつもりです。2日目も皆さん、頑張って下さい! IVL メンバーの唐堂くんも、残り3試合しっかり!(笑)


夕方からはこんな感じでした。(デザートはレッスン終了後です。) 私のメインの仕事については、オリンピアード後に機会を見て記事を書こうと思います。

2014/07/24

Tromso Olympiad Team Lists


オリンピアードの出発まで1週間と迫り、ようやく女子チームも含めた全チームのリストとメンバーが公開されました。情報を真っ先に伝えてくださった長谷川さん、ありがとうございます! ロシアの女子チームがエントリーの遅れで出場が危ぶまれるなどの話題もありましたが、無事にエントリーできているようです。公式HP ではなく、Chess Results のリンクを貼っておきます。


以前の記事では、アルメニアやオーストラリアのボード順が妙だと伝えましたが、あれは単にアルファベット順に並べられていただけで、きちんとAronian やSmerdon が1番ボードに修正されていました。ただし、アゼルバイジャンはGuseinov がトップボードを務め、ランキング1位のMamedyarov は2番でプレーするようです。こうした、ちょっとしたボードの入れ替えは、国ごとの作戦でしょうね。(それにしても、アゼルバイジャンのことを考えると、Gashimov が生きていたらと思わずにはいられません...)

しかし、問題は日本チームにありました。日本の女子チームは、1番ボードから、橋本、星野、雨宮、長谷川、若林の順にすると、チーム内の話し合いで決めており、国内レイティング順でボードを決めると発表した渡井さんを、私が説得したはずでした。(快速選手権の試合結果を反映したレイティングを、オリンピアードのボード順に採用するのはどう考えても変です。) しかし、今日の発表を見ると、3番ボードと4番ボードの雨宮さん、長谷川さんの順番が逆になっています。一体どうしてこうなったのでしょうか、現在こんな気分です→ (-_-;)


JCA にはボード順の申請をどのようにしたのか、確認したうえで、可能ならば修正するようメールしておいたので、現在連絡待ちです。資金繰りでの開催自体や、ロシア女子の参加が危ぶまれるなど、開催までにトラブルの話題が何かと絶えないトロムソオリンピアードですが、なんとか安心して現地入りを果たしたいところですね。出発日の異なるメンバーもいますが、基本的に日本チームがトロムソに経つのは、31日午前の便です。

2014/07/23

Susumu Kuwata's Chess Blog


8th IVL より, Photo by Hasegawa

13年前、麻布学園チェス部の部室に、ひょっこりと1人の小柄な少年が現れました。私は数日前に入部したことで謎の先輩風を吹かせ、その子にチェス教えてあげることにしました。しかし、彼は将棋の経験があったうえ、チェスのセンスもピカイチで、私は何事もなく敗れました(笑) それが14年目の付き合いになる、私と桑田くんとの出会いです。

そんなACC の同期であり、現KUCC の設立メンバーでもある桑田くんが、チェスのブログを始めたようですので、今夜はそちらをご紹介しておきます。タイトルはひねりがないですが、そこがまた桑田くんらしくて良いですね。


そして最初の記事には、かなり驚かされました。彼の2010年以降の棋譜が200試合以上、text ファイルで公開されており、pgn 形式でダウンロードすれば、チェスベースで開くことも容易になっています。私も自分のゲームをかなりオープンにする人間だと思いますが、まさかいきなりサマーオープンまでの全棋譜を出してくるとは... 白番での1.e4 と、黒でのCaro-Kann、Slav Defence をチェックしたい人にとって、彼のゲームは必見だと思いますが、日本のプレーヤーは、彼のプレーからそれ以上のことを学べると思います。

5月の全日本選手権でも彼や汐口くんと話をしましたが、桑田くんのプレーは「足ることを知る」とでも言えば良いでしょうか。白番であれば、わずかな優位(ピースの展開のリード、スペースアドバンテージ、そしてそれらがもたらすアタックのチャンスなど) で十分に戦えること、一方で黒番であれば、多少の不満(展開の遅れ、スペースの狭さ、ダブルビショップの放棄など) があっても戦えることを、高いレベルで理解しています。欲を出して、無茶なアタックを仕掛けたり、楽な勝ちを求めたプレーをすることは、結局勝つためには遠回りでしかなく、不確実な方法であることを、よく分かっていると思います。

6年前に彼が慶應義塾大学に入学してきて、チェスサークルを設立をしたことが、今日の私や彼のチェスつながっています。今後も友人として、ライバルとして付き合いは長いと思いますので、彼のプレーを見守り、勉強させてもらうつもりです。ブログの更新は大変だと思いますが、今後の記事も楽しみにしています。

2014/07/22

Summer Open 2014 Day2


Open Class 入賞者たち

オリンピアード前、最後の公式戦であるサマーオープンが終わりました。結果は私が6連勝で優勝です。6試合以上の大会で、全勝優勝は久々ですね。2000以上のリスト2-4 の3人とも、面白い試合ができたので満足です。

1st Place Shinya Kojima (FM, 2434) 6/6
2nd Place Ichiro Ishii (1906) 4.5/6
3rd Place Susumu Kuwata (2181) 4/6


4P は桑田くん、三ツ矢さん、角谷くん、汐口くんの4人が並びましたが、タイブレークで最も高かったのは桑田くんでした。今日の棋譜は、彼との最終戦を載せておきます。

Kuwata, S (JPN, 2181) - Kojima, S (FM, JPN, 2434)
Summer Open 2014 (2)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nf3 e6 5. Be2 c5!?



去年まではこの手がメインの準備でしたが、ヨーロッパ遠征最後の地、スペインで痛い負けを喫したので、半年以上封印していました。とは言え、しっかり研究し直したわけではなく、桑田くんに指したのは何となくです。

6. Be3 Qb6 7. c4 Qxb2 8. Nbd2 Ne7 9. O-O Nbc6 10. Nb3 dxc4 11. Bxc4 O-O-O 12. Nxc5 Nd5


Caro-Kann Advanced Variation では非常にポピュラーなアイディア、d5 のアウトポストにナイトを運んで、黒マスビショップのダイアゴナルを開いておきます。

13. Bg5 Bxc5! 14. Bxd8 Nxd4 15. Bxd5?



この手は直感でダメだと感じていました。白は15. Ba5! と指してダブルビショップをキープすべきで、そうしていた場合のほうが、黒がエクスチェンジの代償をどこに求めるか、多少難しくなっていたでしょう。

15... Rxd8! 16. Bc4 b5!


これで白マスビショップをシンプルにアタックすると、白はマテリアルをキープし続けることができません。

17. Nxd4 Bxd4 18. Rc1 bxc4 19. Rxc4+ Kb8 20. Qa4 Bb6



これでダブルビショップ vs. ルークのマテリアルとなり、キングへのアタックも防いで黒勝勢です。この後は自画自賛ですが、鮮やかに決まったと思っています。

21. Rfc1 Qxf2+ 22. Kh1 Bh3!


23. Rc8+ からルークを捨てても、パペチュアルチェックが入らないことを確認して、黒からメイティングアタックを仕掛けます。

23. Qc6 Qe2! 24. gxh3 Rd1+ 25. Rxd1 Qxd1+ 26. Kg2 Qe2+ 27. Kg3 Qf2+ 28. Kg4 h5+ 0-1



最後はエクスチェンジダウンながら、29. Kxh5 Qf5+ 30. Kh4 Bf2# となります。試合後に話を聞いたところ、桑田くんも黒番で5... c5!? がメインの用意だったようで、そんな彼とシャープなゲームができたことは、オリンピアード前の良い刺激になりました。

今大会、久々の30秒増加の持ち時間だったためか、私の初日の試合以外にも、エンドゲームまでもつれるゲームが多く見られました。閉会式でも述べましたが、まだ日本のプレーヤーは全体的に、エンドゲームが未熟であるように思えます。オープニングの研究とタクティクスばかりでなく、ポーンエンディングの基本や、ルークエンディングにおけるルークの働かせ方など、基礎からで良いので、少しずつエンドゲームへの理解を深めてもらえればと思います。

また私自身、最近はイベントの主催者やコーチとしての活動が多少忙しく(言い訳ですw)、目立った戦績は残していませんでしたが、このサマーオープンで良い戦績を残せたことは、オリンピアードへの良い弾みとなりそうです。他の代表の皆さんも、お疲れ様でした! 次は7月最終日に、成田でお会いしましょう。

2014/07/20

Summer Open 2014 Day1 - Endgame Day -


Photo by Honma

この2日間は蒲田でサマーオープンです。初日の今日、私は1番ボードで3連勝でしたが、全て60手前後のエンドゲームで、合計180手を超えるハードな内容でした。勝田くん、前田さんとの試合はかなり誤魔化した感じがしますが、3R 汐口くんとのゲームは非常に面白い内容だったので、こちらをご紹介しておきます。

Kojima, S (FM, JPN, 2434) - Shioguchi, T (JPN, 2010)
Summer Open 2014 (3)

1. Nf3 d5 2. d4 c6 3. c4 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O O-O 9. Qe2 Nbd7 10. e4 Bg6 11. Bd3 a5!?



最近、白でも黒でもClassical Slav の6. Ne5 ばかり指していたので、久々に気分を変えて6. e3 を指してみることにしました。汐口くんの11... a5!? は未知の手だったため、ここから考え始めます。

12. h3 Qc7 13. e5 Nd5 14. Bxg6 hxg6 15. Bd2 N7b6 16. Rfc1 Be7 17. Ne4 Nb4 18. Neg5!


少しイマイチな流れだった気がしていましたが、この力強い1手で白がチャンスを取り戻します。一般的にf7, g7, g6 のポーンストラクチャーは堅いものですが、g5 にナイトを固定されてしまうと、Qe2-Qe4-Qh4 のメイトスレットに対応しなければいけません。

18... Rfd8 19. Qe4! Nd7 20. Qf4!



これでf7 をアタックし、黒マスビショップをいただいておきます。

20... Bxg5 21. Nxg5 Nf8 22. Ra3!?


白は、ここからd3 のマスをカバーしてルークをセンターに回すため、この手をチョイスしますが、黒マスビショップを返しても、d5 のアウトポストにナイトを戻させないのも、有効な作戦だったでしょう。22. Bxb4 axb4 23. Ne4+/-

22... Nd5 23. Qf3 Rd7 24. Ne4 Ne7 25. Rd3 Nf5 26. Bc3 Qd8 27. Nc5 Rc7 28. g4 Ne7 29. Bd2 Nd5 30. Ne4 Nb4 31. Bxb4 axb4 32. b3 Nd7 33. Rc4



私はb4 でビショップナイトの交換になるのは、白にとってありがたいと考えていましたが、汐口くんは1ポーンを捨ててでも、ルークの利きを開こうと考えたそうです。この辺りの考え方は難しいですね。

33... Nb6 34. Rxb4 Nd5 35. Rc4 b5 36. axb5 cxb5 37. Rc5!


ここは時間のない中、勝負の1手です。単にルークを交換しては面白くないと思った私は、ポーンをばらしてもパスポーンを作り、d6 にナイトを跳びこませてf7 を狙うチャンスを残します。この後のサクリファイスは、すでにこの段階で構想にありました。

37... Rxc5 38. dxc5 Qc7 39. Nd6 Ra1+ 40. Kg2 g5 41. Rxd5!



ここはエクスチェンジサクリファイスをして、黒の強力なナイトを取り除いておきます。試合後、これで白良しと読んでいたのかと、汐口くんに尋ねられました。私はcファイルのパスポーンと、e5-e6 のブレイクを両方を防がなくてはいけない黒の負担は、軽くないと判断します。

41... exd5 42. Qxd5 Re1 43. b4 Qe7 44. Ne4 Kh7 45. c6 Rc1


この辺りで私の持ち時間が増えないトラブルがありましたが、時計を交換してゲーム再開。直前のオファーを蹴り、決着をつけにいきます。

46. Qd6 Qe8 47. Nxg5+ Kg8 48. c7 Qa8+



私は48手目を指した後、これはまずいかもしれないと思っていたので、本譜のこの手を見て少し安心しました。試合後に代案として、汐口くんが見ていなかったもう1つの手を指摘しましたが、それで黒が助かるというのは、私の勘違いでした。とは言え、とても面白い変化なので、ご紹介しておきます。

48... Qc6+ 49. Qxc6 Rxc6 (試合中、これでcポーンが落ちたらまずいのではないかと読んでいました。ところが...) 50. e6!


Analysis Diagram

まさかのこの1手で白勝ちです。50... f6 51. e7!+- も、50... Rxc7 51. exf7++- も、50... fxe6 51. Nxe6+- (黒キングはf7 に上がることができず、白はf2-f4-f5 から、キングをクイーンサイドに寄せて勝ち。) も、全て白の勝ちです。全日本でのAndrew戦でも痛感しましたが、ルーク vs ナイト+パスポーンは大変難しいですね!

49. Kg3! Rc3+ 50. Kh4 Qf8 51. Qd8+-


こうしてd8 のマスにさえ飛び込めれば、これでゲームセットです。黒はクイーンをf8 にキープすることができません。

51... g6 52. e6 fxe6 53. Nxe6 1-0



非常に複雑なゲームでしたが、これを制して3連勝! 隣のボードでは、私の生徒である三ツ矢さんが、桑田くんを下して先に3連勝を決めていたので、私も気合が入りました。3連勝が2人のみであることから、4R1B は三ツ矢-小島のオリンピアード代表対決が確定したので、明日の試合も楽しみですね。


試合後、豪雨によってだいぶ会場で足止めを食らいましたが、なんとか区民センターを脱出し、友人との再会を果たしました。ポール飯沼さんは、普段はハワイに住んでいますが、今回は久々の来日で、束の間の日本を楽しんでいるようです。2009年の全日本選手権では、南條くんを最終戦で下して4位入賞、名古屋では暁さんに勝ちなど、1年間の日本留学生活の中で、印象に残る戦績を残していました。ポールとは明日の夕方に再び合流する予定ですので、彼と縁があったプレーヤーは是非、明日、蒲田まで足を運んでみてください!

2014/07/19

Saturday Lecture and A Farewell Party for Pablo


今日のレクチャーの様子, Photo by Kawanaka

3連休の初日の今日、池上でのレクチャー、日吉のトレーニングへの顔出し、Pablo のお別れパーティーへの出席と、チェスイベントに奔走していました。月に1回のサタデーレクチャーは、先月に引き続き、ポーンエンディングがテーマです。お互いに自分から入ってはいけない、Mined Squares の考えかたは皆さん理解できたようですが、以下のポジションはやはり難しかったようですね。


White to move and win.

このポジションは私が6年前、北京に行く前に勉強して感銘を受けたものです。ポーンが計3つしかないポジションでも、白は勝つために様々なアイディアを使わなければならず、ポーンエンディングの奥深さを知ることができます。ロジックで解く方法を知っていれば試合でも正確に指すことができるでしょうが、時間に追われる実戦で行き当りばったりでは、なかなか勝ちを引き寄せるのは難しいかもしれませんね。

レクチャー後の予定は少し迷いながらも、日吉で行われていた小林くん主催のトレーニングへ。1時間という短い時間で数局だけ指してから、蒔田くんを連れて千葉へ向かうことに。この1ヶ月、日本に滞在していたPablo と別れを告げるため、Yumi さんの家で行われたパーティーへと足を運びます。


パーティーでは食事やお喋りのほか、チェスももちろん行われました。男子3名と女子3名の2分ブリッツ、負けた側は酒を一杯飲むとことにしようとPablo が言い出したときは、さすがに男子の圧勝で終わると思っていましたが、男子側は神の見えざる手によって、ルークやナイトがゲーム中に消滅(笑) レクリエーションとして、なかなか楽しませてくれます。他にもバグハウスやリレーチェスなどで、Pablo との最後の交流の時間を過ごしました。


Pablo からは、チェスだけでなくスペイン語のレッスンも。どういう流れで、ajo (にんにく) という単語が出てきたのか(笑)

パーティーは予定を1時間ほど過ぎた21時に完全にお開きとなり、皆、彼との最後の挨拶を済ませて家路につきました。Pablo、IVL や同時対局イベントを含め、1か月近くの長い間、日本でお世話になりました! また来月、ノルウェーでの再会を楽しみにしています。彼はノルウェーには、アルゼンチンの女子代表チームのコーチとして、参加予定です。

そして明日からの2日間は、蒲田でサマーオープンが開催され、私も参加予定です。今回は海外から私の友人が来日し、2年半ぶりの再会となりますので、それがメインの楽しみです! もちろんオリンピアード前、最後の公式戦としも良い調整になればと思っていますので、参加者の皆さんは、よろしくお願い致します。

2014/07/13

日中女子交流会 - A Magic of Endgame Analysis -


新潟滞在2日目は、午前中に日本女子と中国女子の同時対局イベントが開催されました。本来であれば、Shen Yang, Wang Jue の2人が、石塚、雨宮、橋本、荒井の4名を相手に、2面ずつ指す予定でしたが、前日から体調不良だったWang Jue が欠席となり、Shen Yang の4面クロックサイマルへと変更されました。


私と弘平くんは、先に車で会場へと向かった女性陣に合流すべく、電車で黒埼南部公民館へと向かいました。到着してすぐに目撃したのは、Wen Yang が南條くん、堀さんとクロックサイマル、Lu Shanglei が石井さん、太田くんとクロックサイマルをしている姿でした。自分たちももう少し早く着いていれば... と思いつつ、予定通り女性陣のゲームを見学します。ちなみに南條くんがDutch Defence でWen Yang からドローを取り、彼の日本での全勝をストップさせたのでした。Good Job!


Shen Yang による90分指し切りでの4面指しは、日本側の4敗に終わりました。(Shen Yang からは、昨日も1ドローしか取れていないので、この結果は仕方がありません。) しかし内容をチェックすると、雨宮さんは終始うまく指して、ゲームを作ったとShen Yang から高評価を貰っています。このゲームの検討戦には、南條くんや私だけでなく、Lu Shanglei とWen Yang も加わり、複雑なエンドゲームでアイディアを出し合いました。この写真のポジションの形勢はよく分からないままでしたが、私が気になって解析をしてみたところ、非常に面白く、美しいエンドゲームが出現しました。本人の許可も取れたので、今夜の記事はこちらメインに取り上げます。


Shen Yang - Amamiya, A (Analysis)
Position After 46. c6

黒は1ポーンダウンですが、2つの離れたパスポーンは十分に進んでおり、何かしらのチャンスを作ることを予感させます。本譜では46... g2? 47. c7 g1=Q 48. c8=Q とクイーンを作り合った直後、黒の時間が落ちて決着がつきましたが、この1ポーンダウンのクイーン+マイナーピースのエンドゲームは、十分に白が勝てそうです。それでは黒には何か望みがあるのかと考えて色々とコンピュータの解析をチェックしたところ、このポジションは黒勝ちであるとの結論が出ました。

47... Ng7!


ポーンを進めてクイーンを作り合う本譜ではなく、ナイトでcポーンを取りにいくのが正解です。48. c7? Ne8 49. c8=Q Nd6+ 50. Kb8 Nxc8 51. Kxc8 g2-+ は黒のプロモーションが止まらないため、当然白は何か対策を考える必要があります。

48. Ba5


白は黒のプロモーションを止めるべく、ビショップをg1 のマスに利かせるほかありません。48. Bb4? Ne6! 49. Ba5 (c5 のマスを抑えられ、このビショップを退かざるを得ない1テンポロスが、大きな痛手です。) 49... g2 50. Bb6 Kf3 51. a4 e4 52. a5 e3 -+ は黒の勝ちであることが明らかです。

48... Ne8!



黒はc8 でのプロモーションにNe8-Nd6+-Nxc8 を準備しておきつつ、キングがチェックのマスから避けた際でも、c7 に進めたポーンを取れるようにしておきます。この位置のナイトは、後々非常に重要になります。

49. Bb6


キングでナイトを攻撃しに行く手は少し気になりますが、49. Kc8 Nf6! 50. Bb6 Kf3-+ とキングの接近に対処し、e,g ファイルのパスポーンを進めれば、黒の勝ちです。白はキングがc8 に行ってしまったせいで、プロモーションの最終マスをブロックしてしまったことが痛手となります。

49... Kd3! 50. a4 e4 51. a5 e3



ここが面白い変化に分かれるクリティカルポジションなので、2つのラインを分けてチェックしていきます。

変化手順(1) 52. a6


白はポーンを突き合えば、同時にクイーンを作れるので問題がないように見えます。ところが...

52... Nd6+!



このアイディアは重要です。このナイトは次にNd6-Nb5 で、a7,c7 両方のマスを抑えられるため、白キングはどちらのポーンも進めた際に邪魔にならない、b8 のマスに逃げざるをえません。

53. Kb8 e2 54. a7 e1=Q 55. a8=Q


白も1手遅れてクイーンを作りましたが、a8 のマスは盤の端で、クイーンの位置としては最悪です。

55... Qe8+ 56. Ka7 Qc8!!



本日、最も目を疑った手の1つです。次にNd6-Nb5 がメイトスレットになっており、白にはうまい受けがありません。

57. Qxc8


57. Qb8 Nb5+ 58. Ka8 Qa6+ 59. Ba7 Qxc6+ 60. Qb7 Qxb7+ 61. Kxb7 Nxa7 62. Kxa7 g2-+ c6 のポーンを取ってしまえば、クイーンを交換し合って黒勝ちのポーンエンディングです。

57... Nxc8+ 58. Kb7 Nxb6 59. Kxb6 g2 60. c7 g1=Q+



7段目のパスポーンとクイーンのエンドゲームは、ポーンエンディングの中でも、ポーンレースに分類される必修テーマです。一般的にc7 までポーンが進めていれば、白キングはa8 まで逃げてドローですが、b2 にポーンが残っていることが、白にとって大きなマイナスになります。

61. Kb7 Qg7 62. Kb8 Qe5 63. Kb7 Qb5+ 64. Ka7 Qc6 65. Kb8 Qb6+ 66. Kc8


ここでb2 にポーンがなければ、66. Ka8 Qxc7 でステールメイトの形であることを、確認しておくべきでしょう。

66... Kc4 67. b4 Kd5 68. b5 Kd6 69. Kd8 Qxc7+ 70. Ke8 Qe7#



ステールメイトのアイディアが使えない白は、ゆっくりと黒キングに寄られてメイトになります。クイーンを作り合った後、クイーンを交換してクイーンを作り直す(しかも、そこでも単純なポーンレースではない!) という点が、このエンドゲームを難解、かつ美しいものにしています。続いてもう1つの変化へ。

変化手順(2) 52. Bxe3



52手目に戻り、e3 まで進んだポーンを早々にビショップで切ってしまうのが、もう1つのアイディアです。こちらも同時にクイーンができるのでなんとかなるように見えますが、黒はナイトとクイーンによって、芸術的なコンビネーションを見せます。

52... Kxe3 53. a6 g2


この辺りは互いに他の変化は考えられず、ただポーンを突き進めるのみです。

54. a7 g1=Q 55. a8=Q Qg7+



1手先にクイーンを作った黒は、クイーンを白キングへと寄せていきます。ここで注目すべきポイントは、白キングはQc7# を避けるために、b8,c8 のマスには逃げることができず、加えてNe8-Nc7+ のナイトフォークを避けるために、a6 のマスに逃げることができないことです。そうなれば、白キングの逃げられるマスはほとんど残っていません。

56. Kb6 Qxb2+ 57. Ka7 Qa1+!


さらに黒クイーンは黒マスを移動しながら、じりじりと白キングへの距離を詰めていきます。

58. Kb8 Qe5+ 59. Kb7 Qe7+ 60. Kb6 Qb4+



ようやくゴールが見えてきました。白キングの逃げ場は、さらに限定されていきます。

61. Ka7 Qa5+ 62. Kb7 Nd6+


ここでナイトがようやく参加し、勝負を決定づけます。

63. Kb8 Qb6+ 64. Qb7 Nxb7 65. cxb7 Kd4-+



この解析で2回目の7段目のポーン vs クイーンですが、今度はaポーンでも、cポーンでもなく、bポーンになっているので黒勝ちです! a8 にキングがもぐり込んで、ステールメイトを狙うアイディアを使うことができない白は、黒キングに寄られてメイトにされてしまいます。白は最初、a-c ファイルにポーンがあったにもかかわらず、最後に残ったのは最も都合の悪いbポーン(しかも、これはc6 から移動してきた!) であるところが面白いですね。今年、多くのエンドゲームの研究をしてきた私でも、ここまで美しいプロブレムのような例は、初めて見ました。


イベント終了後、輪投げに興じるWen Yang(笑) この2日間で、彼らからは実に多くのことを勉強させてもらいました。また次回はどこか、アジアのトーナメントでお会いしましょう! 今後の活躍にも期待しています。


中国のマスターたちを見送った後は、新潟駅周辺に戻り、弘平くんとお昼ご飯にします。新潟は意外と知られていないラーメン王国。その中でも人気店の、東横へと足を運びます。味噌が濃すぎるために、割りスープで薄めて食べる味噌ラーメンは、私たち2人にとって初体験で、とても新鮮でした。


昼食後、早めの新幹線で東京へと帰っていった弘平くんと別れ、私は別の目的地へ。古町にひっそりとたたずむ、NIWATORI CAFE へ足を運ぶことは、私の2日目のひそかな楽しみでした(笑)


カフェを出た後は、古町通を市役所方面へ。多くの野球漫画で有名な水島新司は新潟県の出身で、古町通には彼の生み出したキャラクターたちの銅像が並んでいます。写真を撮ったのは、悪球打ちで知られるドカベンの岩鬼正美で、水島ファンには40年以上愛される人気キャラクターです。


古町通を抜け、たどり着いたのはこの日のもう1つの目的地、新潟県の総鎮守、白山神社です。この期間は白山神社の夏祭り期間でしたが、最も盛り上がると期待された日曜日の今日は、あいにくの雨で人も少なく、とても残念でした。


それでも目的のものを手に入れることができました。白山神社の厄除けお守りには、来月ノルウェーとポーランドに向かう17名のプレーヤーたちが、無事にプレーし、帰国できることを願いました。勝ち守りでも良かったのですが、試合での勝利は、各々の努力でつかみ取るということにしましょう(笑) 病気や事故など、本人の力だけでは避けられない災難をなくし、全員が実力を発揮できることを期待しています。

白山神社からは、新潟駅へと徒歩で戻り、蒔田くんと合流して新幹線に乗ることにしました。さらば、新潟! また来年以降、来られる機会を楽しみにしています。

2014/07/12

新潟国際親善チェス大会 Tournament Report


今年はGM Wen Yang, GM Lu Shanglei, IM Shen Yang, WGM Wang Jue の来日です。Photo by Kawanaka

この土日、私は新潟でチェスをしています。10回目を数える今年の新潟国際親善チェス大会は、中国からGM 2人を含む4名のゲストが招かれています。私は彼らとの対抗する特Aクラスに入り、日中の対抗戦を行いました。今夜は時間がさほどないので、ゲームは後日に回して写真と結果の報告にとどめておきます。


中国のマスター勢に対するのは、私、南條くん、山田くん、小林くんの4名です。

日本勢と中国勢は、平均レイティングが300ほど離れています。予想通り苦戦を強いられた私たちは、中国勢の中ではレイティングが最も下の、Wang Jue から私と南條くんが白星を挙げ、中国女子代表のShen Yang から小林くんがドローを取りましたが、残りは13敗。2人のGM Wen Yang, Lu Shanglei の壁は厚く、2人に4連勝を許してしまいました。(私は初戦、Wen Yang にルークただ取りを見逃す恥ずかしいミス...)


日中対抗戦以外は、例年通り、A~Cクラスでのトーナメントです。Aクラスの優勝は、リストトップで全勝の馬場さんでした。3R でAlex - 権田がドローとなり、その2人が当たらなかったことは、馬場さんを多少楽にしてしまいましたかね。それでも最終戦、馬場さんと同じく唯一の3連勝で、トップボードに上がってきた東北大のエース、多賀くんは非常に素晴らしいゲームを見せてくれました!


Bクラス優勝は、3.5P を獲得した石塚さんです。優勝賞品の大理石チェスセットはとても価値の高い物ですが、個人では持て余すもの。東北大学チェスサークルへの寄贈となりましたので、ホワイトナイツの皆さん、大事に使ってくださいね。学園祭などでは、人目を集めることでしょう。


そしてB,Cクラスの表彰式のさなか、Aクラスの上位入賞者には中国代表たちと試合をする権利が、ボーナスとして与えられました。ペアリングは、馬場 - GM Wen Yang, Alex - IM Shen Yang, 権田 - Lu Shanglei, 多賀 - Wang Jue で、日本勢が全員白を持ちます。


この特別ステージでは、権田さんがLu Shanglei からドローを取り、彼の日本での連勝を4でストップさせました。しかし、他3人はいずれも負け。今日5連勝のWen Yang は、馬場さんを圧倒した最終戦で、特に鬼神のような強さを見せました。

本日、新潟国際親善チェス大会に参加された皆さん、そして運営を務めた新潟チェスクラブと朝霞チェスクラブの皆さん、お疲れ様でした! 普段は会えない地方のプレーヤーたちとも、久々に会うことができて嬉しかったです。私は今夜は新潟市のホテルに1泊し、明日の日中女子の交流イベントに顔を出してから、神奈川に帰る予定です。

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