2016/07/18

Saturday Lecture on 30th July 2016


アゼルバイジャン vs. 中国、イスタンブールオリンピアードにて

【日時】 2016年7月30日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Instructive Games in Chess Olympiads
【テーマ詳細】

8月は日程が合わず、レクチャーを開催できない可能性があるため、7月のサタデーレクチャーがオリンピアード前、最後の回になりそうです。そこで7月のテーマは、2年に一度のチェスの祭典、チェスオリンピアードから、私が印象に残っているゲームをご紹介しようと思います。多くの国が世界一の栄冠を目指し、しのぎを削りあうオリンピアードでは、一つのドローがチームの明暗を分けます。普通のオープン大会ではなく、オリンピアードだからこそ指されるような、刺激的なゲームを見ていきましょう。

【参加費】 レクチャー代1200円+飲み物代200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

2016/07/17

Summer Open 2016 Day1 Tournament Report


Yamada, K - Kojima, S
Summer Open 2016(3)
Position After 50. Rg8

今日から2日間、サマーオープンに参加しています。1勝1ドローで迎えた3R、相手はオリンピアードのチームメイト、山田くんになりました。かなり進んだ終盤のこのポジション、g,h ポーンを両方取らせるのは勇気がいりましたが、勝つためにはaポーンを取りに行くしかありません。

50... Bxa3! 51. Rxg6 a4 52. bxa4 bxa4 53. Rxh6 Bb2!


これで白のすべてのポーンを抑えつつ、aポーンを進める準備を整えます。

54. Kd3


私も残り時間がなく、試合中はナイトを取ってドローだと思っていました。しかし、54. Rxc6 Kxc6 55. Kd3 Kb5 56. Kc2 Bf6 57. Kb1 Kc4 58. Ka2 Kb4-+ でも、黒勝ちです。aポーンを進める必要がないのを見落としていました。

54... Nb4+ 55. Kd2 a3 56. Rh5+ Kc4 57. Ra5 a2 58. h4 a1=Q 59. Rxa1 Bxa1



こうしてルークをもらい、ビショップナイトでメイトを目指すことになりました。白のポーンは時間は多少かかるものの、すべて落ちるため問題ではありません。

60. Ke2 Kd5 61. Kf3 Ke5 62. g5 Kf5 63. e4+ Ke6 64. h5 Nc6 65. Kf4 Bb2 66. Kg4 Ne5+ 67. Kh4 Bc1 68. h6 Kf7 69. Kh5 Bb2 70. g6+ Nxg6 71. Kg5 Ne5 72. Kf5 Kg8 73. Kf6 Kh7 74. Kg5 Bc3 75. Kf6 Kxh6 76. Kf5 Kg7 77. Kg5 Nf7+ 78. Kf5 Be5


e4 を取るかどうか迷っており、ここはブロッケードのピースをビショップに切り替えます。

79. Ke6 Kg6 80. Ke7 Ng5 81. Kd7 Kf6 82. Kc6 Ke6 83. Kc5 Nf7 84. Kc4 Kd6 85. Kd3 Kc5 86. Ke3 Ng5 87. Kd3 Kb4 88. Ke2 Kc3 89. Ke3 Ne6 90. Ke2 Kc2 91. Ke3 Nd4 92. Kf2 Kd3 93. Kg2 Ke3 94. Kf1 Nf3 95. Kg2 Ng5 96. Kf1 Nxe4



ポーンを取らずに何かできるか考えていましたが、特に思いつかなかったため、ここで取る決断をします。すでに端まで追いつめているため、ここからさほど難しくないだろうと思っていましたが...

97. Kg2 Ng5 98. Kg1 Bf4 99. Kg2 Ke2 100. Kg1 Kf3 101. Kh1 Be3 102. Kh2 Ne4 103. Kh1 Bf4 104. Kg1 Nf2 105. Kf1 Bh2 106. Ke1 Ne4 107. Kd1 Ke3 108. Kc2 Bd6?!


108... Nd2! こうしてb3、c4 の白マスを抑えるアイディアが重要であることがわからず、ここで手数をかけてしまいます。ここから20手後、盤の反対側で同じポジションが現れます。

109. Kb3 Kd3 110. Ka4 Kc4 111. Ka5 Bc5 112. Ka6 Nd6 113. Ka5 Nc8 114. Ka6 Kd5 115. Kb7 Nd6+ 116. Kc7 Bd4 117. Kb8 Kc6 118. Ka8 Nb5 119. Kb8 Nd6 120. Ka8 Be3 121. Kb8 Bc5 122. Ka8 Nb5 123. Kb8 Nc7 124. Kc8 Ba7 125. Kd8 Nd5 126. Ke8 Kd6 127. Kf7 Ne7!-+



今度は反転した形で、このアイディアを見つけました。後はh8 に向け、白キングを追い詰めていきます。

128. Kf6 Be3 129. Kf7 Bd2 130. Kf6 Be3 131. Kf7 Bg5 132. Ke8 Ke6 133. Kd8 Bf4 134. Ke8 Bc7 135. Kf8 Nf5


このナイトが5段目と7段目を往復しながら、相手キングを白コーナーに戻さないようにするアイディアを、この試合を通してようやく理解しました。

136. Ke8 Ng7+ 137. Kf8 Kf6 138. Kg8 Bd6 139. Kh7 Nf5 140. Kg8 Kg6 141. Kh8 Be7 142. Kg8 Nh6+ 143. Kh8 Bf6# 0-1



あと数手で50手ルールにひっかかるところでしたが、なんとかメイトに。途中でナイトのキームーブを逃したり、時間を増やそうと無意味なビショップの往復をしたのがダメでしたね... それでもなんとか価値ある白星を挙げ、明日の2日目に臨みます!

1B では、GM Misha が貫禄の3連勝。すべてのゲームが非常に丁寧に指さされており、GM とIM の差を感じています。明日残り1日で、少しでもMisha のプレーから勉強させてもらおうと思います!

明日はMisha が入江さん、私が唐堂くんとの対戦です。チームメイト対決が続きますが、ここもなんとか勝って、上位を狙いたいと思います。皆さん、2日目もよろしくお願い致します。


試合後は、とんかつを食べながらの検討戦でした。

2016/07/12

Chess Lesson from GM Misha


今日は都内で、GM Mihajlo Stojanovic さんからレッスンを受けてきました。Misha は、今月末にスロバキアで開催される、U16 オリンピアードの日本代表にチームコーチとして同行するため、大会直前に来日しています。9月に開催されるオリンピアードの日本代表メンバーも、この機会にMisha からレッスンを受けています。今日は私と福谷さんの2人が参加しました。


White to move

Misha からは今日、Kasparov - Kramnik のマッチの1ゲームと、タクティクス、エンドゲームのポジションをいくつか見せてもらいました。中でも面白かったのは、上のポジションです。1手目、2手目も面白いですが、黒が負けないようにする最善手と、それに対して白が勝てる唯一の手の連続が、どちらもうまくできていて、良い問題になっていると思いました。ポジションが正しいことを確認するため、Rybka で解析もしましたが、このレベルのエンジンでも正解はすぐに出てきません。白黒の手をセットでの完答は難しいと思いますが、興味のある方はチャレンジしてみてください。

Misha のレッスンは、16日にも開催が予定されています。プレーヤーとしても、コーチとしても、再び勉強させてもらってこようと思います。Misha は17日、18日に開催されるサマーオープンにも、フルではないかもしれませんが、今のところ参加が予定されていますので、こちらも楽しみですね。


2016/07/10

Weekly Chess Puzzle Vol.27


Kojima, S (FM, JPN, 2300) - Ravry, K (JPN, 1786)
Malaysia Open 2011(1)
White to move


Kojima, S (FM, JPN, 2312) - Farago, S (IM, HUN, 2256)
First Saturday IM March 2010(7)
White to move

一つ目は懐かしい、マレーシアでのチームメイト対決から。黒が26... Bxc3 とビショップでナイトを取ったところです。ここでの対応を間違えたため、ゲームはドローとなりました。白でのベストムーブを考えてみてください。2つ目は私のFS 初挑戦の時のゲームです。すでに白は駒得ですが、ここで勝負を決定づける1手があります。答えが分かった方はいつも通り、コメント欄へどうぞ。

2016/07/02

北千住例会 7/2

今日は5か月ぶりに松戸チェスクラブの例会に参加するため、北千住に足を運んできました。2試合とも難しいゲームでしたが、なんとかどちらも勝ち切ることができました。後半のラウンドで指した、東野さんとのゲームをご紹介します。

Kojima, S (IM, JPN, 2461) - Higashino, T (JPN, 2013)
Kitasenju (2)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. d4 b6 4. g3 Bb7 5. Bg2 Be7 6. O-O O-O 7. d5 exd5 8. Nh4 Re8 9. cxd5 d6 10. Nf5 Bf8 11. Nc3 Nbd7 12. Bg5 h6 13. Bf4 a6!?



Queen's Indian d5 Gambit で、黒がポーンを取らないラインは、かつてマレーシアで1試合指したことがあります。その際は13... a5 から、Nd7-Nc5 と進みましたが、この試合では黒はb6-b5 を目指します。いずれにせよ、スペースの広さとcファイルのコントロールにより、白が優勢でゲームを進めることができるでしょう。

14. Rc1 b5 15. Qd4 Qb8!?


スペースの狭い黒は、クイーンの置くマスを工夫します。ここではQd8-b8-Qa7 とクイーンをぶつける作戦で、a8 のルークの活用を図ります。

16. Rfe1 Qa7 17. Qd2 Rac8 18. e4 Ne5 19. b3 Qb8 20. h3 Ng6 21. Be3!



正直に言えば、Ne5-Ng6 を見落としており、e4 を取られて白の優位は消えてしまうものと最初は考えました。しかし、よくよく読んでみると、2つのポーンとクイーンの交換後、白はアクティブなピースと形の良いポーンストラクチャーを持つことがわかり、それでもアドバンテージがあると考え直しました。もう一つの候補手だったのはクイーンが上がる手ですが、21. Qd4?! Nxf4 22. gxf4 c5! 23. dxc6 Rxc6= と進めば黒は満足でしょう。

21... b4 22. Na4 Nxe4 23. Qxb4 Bxd5


ここは駒交換を進めてくると思いましたが、23... Nf6 24. Nc3+/= と進める変化もありそうです。

24. Qxb8 Rxb8 25. Rxc7 Nf6 26. Rd1 Bxg2 27. Kxg2 d5 28. Bd4!?



d4 をブロックし、d5 の孤立ポーンを攻撃できるようにすれば、白は満足なエンドゲームになります。ここからもきっちりと指せたと思っていましたが、一つミスがありました。

28... Ne5 29. Nb6 Re6 30. Re1?


ここは難しい手ですが、30. Nc8 から、e7 のマスを狙うのが良かったようです。時間のない中、自信無く指したRd1-Re1 には、黒の上手い返し手があります。

30... Rbe8?


30... Ne8! 31. Rc8 (31. Rc2 Nd3! 32. Ree2 Ne1+ 33. Rxe1 Rxe1 34. Nxd5 Rd8=/+; 31. Ra7 Nc6!-+) 31... Rxc8 32. Nxc8 Nc6= このようにc7 のルークをアタックし、ピースを捌いてしまえば、黒は危機を脱することができました。このワンチャンスを黒が逃したことで、勝負は決まりです。

31. Ne3!+-



こうしてd5 を2つ目のナイトでアタックしてしまえば、黒には満足なディフェンスがありません。

31... Bb4 32. Rd1 Ba5 33. Nbxd5


一瞬ひやりとしましたが、ナイトフォークでエクスチェンジを取り返せるため、黒マスビショップの攻撃を恐れる必要はありません。

33... Nxd5 34. Nxd5 Rd8 35. Rc5!



少し迷いましたが、ピースを捌いてa6 が落ちるところまで読めたので、このように単純に進めることにしました。

35... Nc6 36. Be3 Kh7 37. Rdc1 Re5 38. Rxc6 Rdxd5 39. Rxa6 Bd2 40. Rd1 1-0


クイーンサイドに2コネクテッドパスポーンを持つルークエンディングでは、白の勝ちは明らかです。黒番でも試したいオープニングができたので、久々に北千住まで足を運んだ甲斐がありました。また日程があえば、松戸チェスクラブの例会には顔を出したいと思います。

2016/06/29

Weekly Chess Puzzle Vol.26


Habu, Y - Kojima, S
Training 2016
White to move


Habu, Y - Kojima, S
Training 2016
Black to move

先週の羽生さんとのトレーニングは、ゲーム解説の記事を書く時間が取れなかったため、こうしてパズルでの出題とします。上のポジションで白が勝ちを逃し、下のポジションまで進んで、黒の勝ちとなりました。どちらも手番で、勝ちになる手を探してみてください。答えはいつも通り、コメント欄へどうぞ。

2016/06/18

Saturday Lecture on June 25th 2016


Winter - Capablanca / 1919
Black to Play

【日時】 2016年6月25日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Out of Play
【テーマ詳細】

駒の数はゲームにおいて重要な形勢判断の要素ですが、同様に重要な要素として、駒の働きが挙げられます。相手よりも多く駒を持っていても、それらが働いていなかったり、相手の駒のほうが良い働きをしていれば、形勢は悪くなってしまいます。働きの悪いピースには様々な種類が考えられますが、特にゲームに参加できていないようなものを、Out of Play と呼びます。今回のレクチャーでは、Out of Play について解説をしながら、チェスの駒の働きを考えてみましょう。

【参加費】 レクチャー代1200円+飲み物代200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満


2016/06/14

Japan Rapid Chess Championship 2016 Day2


更新が2日遅くなりましたが、週末の大会結果報告です。快速選手権2日目、私は3勝1敗で、トータル6勝1敗1ドローの6.5P となりました。7R で私に勝ったAlex が、7勝1敗での優勝です。オープンクラスの順位は、以下のようになっています。

1st Place Averbukh Alex 7/8
2nd Place Kojima Shinya 6.5/8
3rd Place Katsuta Yuki 6/8


3位入賞を果たしたのは、KUCC の後輩、勝田くんです。私とAlex の上位2名にこそ敗れたものの、他6試合をきっちりと勝ちました。特に7R の青嶋くんとのゲームは、完璧に近い内容だったと思います。私の記憶にある限り、このレベルの大会でのオープン入賞は初めてでしょうかね。勝田くん、おめでとう!

私のゲームからは、最終戦の権田さんとの試合を載せておきます。久々に指したCatalan でしたが、良い内容のゲームが指せたと思っています。

Kojima, S - Gonda, G
Japan Rapid Chess Championship 2016 (8)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. g3 d5 4. d4 Be7 5. Bg2 O-O 6. O-O c6 7. Qc2 Nbd7 8. Nbd2 b6 9. e4 Bb7



Catalan Closed の一変化です。これまで、9... dxe49... Ba6 しか指されたことはなく、こちらの変化も実戦で試したいと思っていました。

10. e5 Ne8 11. cxd5 cxd5 12. Re1 Rc8 13. Qa4!


一旦a7 のポーンをアタックしておくことでテンポを稼ぎ、キングサイドアタックの準備を進めます。

13... a6 14. Bf1!?



King's Indian Attack のイメージが強いプレーヤーは、Nd2-Nf1-Nh2-Ng4 というマヌーバリングを考えるでしょう。もちろんそれも良いと思いますが、私は先に白マスビショップを、黒キングに向くd3 のマスに切り替えておきます。私が初めてCatalan を勉強した際、GM Avrukh の本で学んだアイディアです。

14... b5 15. Qd1 Nb6 16. Bd3 Nc7 17. Nf1 f5


この手を入れなければ、黒は白のキングサイドアタックに対抗できないでしょう。白からは、Nf1-Nh2-Ng4、h2-h4、Nf3-Ng5 といった直接的な攻撃があり、黒はディフェンスが厳しくなります。しかし、fポーンを突けば、黒にはe6 のバックワードポーンとe5 のアウトポストができるため、白はそれを利用してゆっくりとチャンスを作ることができます。

18. exf6 Bxf6 19. Bf4 Qe7 20. Rc1 Nc4 21. Qe2



Bd3-Bb1 から、クイーンをb1-h7 のダイアゴナルで重ねるアイディアも考えましたが、ここでは焦らずに、b2 を守りながらe6 へのプレッシャーを増やしておきます。

21... Rfe8 22. h4 Nd6 23. N1d2


黒マスビショップを出した後は、ナイトはd2 に戻ることにします。黒からのNd6-Ne4 という反撃を防ぎつつ、チャンスがあればNd2-Nb3-Nc5(or Na5) というナイトの侵入を狙います。

23... Ba8 24. Ne5 Nc4 25. Ndf3 Bb7 26. b3! Nd6 27. Nc6! Qd7 28. Nfe5+-



ここは最後まで読み切って指すことができました。c6 とe5 という絶好のマスにナイトが侵入した白は、黒のディフェンスの要である黒マスビショップを貰っておき、いよいよ黒キングへの決定的な攻撃を作り出します。

28... Bxe5 29. Nxe5 Qe7 30. Bg5 1-0


ここで黒の時間が落ち、白の勝ちになりました。本譜の代わりに、30. Bxh7+! Kxh7 31. Qh5+ Kg8 32. Ng6 Qf6 33. Be5 Qd8 34. Qh8+ Kf7 35. Qxg7# でも勝ちですが、私が読んでいたのは、30... Qf8 31. Bxh7+! Kxh7 32. Qh5+ Kg8 33. Ng6 Qf5 (33... Qf7 34. Qh8#) 34. g4! Qd3 35. Qh8+ Kf7 36. Ne5#


このような手順と形です。いずれにせよ、h7 を取る手が決定的になりますね。このラインを初めて試せたのは、良い経験になりました。

次回は7月のサマーオープンに参加する予定です。自分の試合だけでなく、生徒たちの試合も7月は多いので、そちらも楽しみにしています。皆さん、また次の大会でお会いしましょう!

2016/06/11

Japan Rapid Chess Championship 2016 Day1


この週末は蒲田で開催されている、快速選手権に参加しています。初日の今日は3連勝の後、昨年この大会で優勝している青嶋くんとの試合になりました。青嶋くんとはこの1年間、IVL でも同じタイムコントロールで試合をしています。

Kojima, S - Aoshima, M
Japan Rapid Chess Championship (4)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e6 6. Ndb5!? a6?!



このポジションで、青嶋くんはセオリーを知らなかったようです。6... d5 7. Bf4 e5 8. cxd5 exf4 9. dxc6 bxc6 10. Qxd8+ Kxd8 ならばイコールだと思いますが、多くのGM の実戦例もあり、一度試してみたいポジションです。 

7. Nd6+ Bxd6 8. Qxd6 Qe7 9. Bf4 O-O 10. Qxe7 Nxe7 11. Bd6 Re8 12. e4


黒マスビショップを貰い、d6 を抑え込んで、オープニングは完全に白が大きくリードを取りました。さらにこの後、固定したd7 のポーンを攻めたり、b6、d6 のマスを利用することで駒得できることも容易だと考えました。

12... b6 13. e5



青嶋くんからは試合後、13. Na4! Nxe4 14. Nxb6 Nxd6 15. Nxa8+- ならば、すでに白の駒得は十分なものでないかと指摘されました。本譜も悪くないですが、確かにこちらがシンプルで良さそうです。

13... Nf5 14. Bc7 Ra7 15. Bxb6 Rb7 16. c5 Nd5 17. Nxd5 exd5 18. O-O-O


b6 のポーンを取った白は、遅れ気味だったギャンスリングも済ませ、全てのピースを使える状態にします。e5 のポーンを返す間に、白マスビショップとルークを素早く使い、黒のピースが連携を取れていない間に速攻を決めようと考えました。

18... Rxe5 19. f4



f4 のポーンを取らせている間にeファイルを抑えるのが私のアイディアでした。しかしここでは、さらに確実に白勝ちを決める手がありました。19. Bxa6! Rxb6 20. cxb6 Bxa6 21. Rhe1 Re6 22. Rxe6 dxe6 23. Rd3+- b6 にできた強力なパスポーンは、白に十分なアドバンテージをもたらします。

19... Re4 20. Bd3 Rxf4 21. Rhe1 Kf8 22. Re2


ここでも、22. g3 Rf3 23. Bxa6! Rxb6 24. cxb6 Bxa6 25. Rxd5+- のアイディアが使えました。

22... Nd6 23. Rde1?



試合中に迷っていた、もう一つの手が正解でした。23. Bd8! Ne4 24. Bxa6 Rb8 25. Bc7 Bxa6 26. Bxb8 Bxe2 27. Bxf4 Bxd1 28. Kxd1+- このように進めば、白が確実に価値のエンドゲームでしょう。

23... Ne4 24. g3 Rf6 25. Bxe4 dxe4 26. Rxe4 Re6


ポーンを返してしまっても、ルークを交換してしまえば、異色ビショップで安全にドローの取れそうなポジションになります。この先は白にチャンスは無かったでしょう。

27. b4 d6 28. Kd2 dxc5 29. Bxc5+ Ke8 30. Rxe6+ Bxe6 31. Kc3 Kd7 32. Rd1+ Kc6 33. Rd6+ Kb5 34. a4+ Kxa4 35. Rxa6+ Kb5 36. Rd6 h5 37. h4 g6 38. Kd4 Rd7 1/2-1/2



悔しいドローですが、まだ前半が終わっただけです。明日は唯一4連勝のヒーバートくんとの試合になるので、ここで勝って逆転トップに立ちたいですね。4R後のブリッツ大会も4.5/5 で優勝できたので、手はきちんと見えているはずです。明日の残り4試合も頑張ってきます!

2016/06/10

The Highest Level Training in Japan on 8th June 2016


一昨日の水曜日、羽生さんと久々にチェスのトレーニングをしてきました。持ち時間は25分+1手30秒で、通常のラピッドよりも長めのゲームを白黒1局ずつ指します。今回は午前中に指した、黒番のゲームをご紹介します。

Habu, Y (FM, JPN, 2399) - Kojima, S (IM, JPN, 2394)
Training (1)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c6 3. g3 d5 4. Bg2 dxc4 5. O-O Nbd7 6. Qc2 Nb6 7. Na3 Qd5!?



2009年に参加したベトナムのゾーン選手権で指して以来、久々にこの変化を使ってみました。クイーンを早々に何度も動かす手は普段あまり指しませんが、このポジションではc4 を簡単に取り返させてしまうと、白はセンターポーンの厚みで優勢になるため、黒は何らかの工夫が必要です。ちなみにこの数年で、7... Be67... b5 も指しています。

8. Ne1


English Opening のエキスパートであるGM Mihail Marin であれば、ポーンのギャンビットを推奨するでしょう。8. b3!? cxb3 9. axb3 と進んだ場合、白はポーンを捨てていますが、センターポーンの厚みとクイーンサイドへのプレッシャーで代償を取れそうです。

8... Qd4 9. e3 Qg4 10. f4 Qf5! 11. e4 Qc5+ 12. Kh1 e5!



序盤、このように進んで黒は満足です。黒マスビショップのダイアゴナルを開きつつ、白のセンターを崩しにいきます。

13. fxe5 Ng4 14. d4 cxd3!?


検討戦では、d4 を取るのは危なく、人間的な判断ではないだろうとの結論になっています。しかし、14... Qxd4 15. Nf3 Qd3 16. h3 h5!? このようになれば黒良しだとコンピュータは指摘します。私としては、欲張って駒得を広げようとするよりも、g4 のナイトをプレーに戻すことや、ピースの展開の遅れを取り戻したいところです。

15. Nxd3 Qxc2 16. Nxc2 Be6 17. b3 O-O-O 18. Nce1?!



この手は私にとって意外でした。18. Nf4 からe6 のビショップを狙い、Bg2-Bh3 も含めてポーンを取り返すアイディアのほうが良いと思います。

18... Nd7 19. Bf4 h6 20. h3 g5


ここから局面は大きく特徴を変えます。ピース交換を進め、黒が満足なエンドゲームに突入します。

21. hxg4 gxf4 22. gxf4 Bxg4 23. Bf3 Bxf3+ 24. Nxf3 Nc5 25. Nf2 Nd3 26. Nxd3 Rxd3 27. e6?!



このポーンサクリファイスは予想していなかったわけではなかったですが、それでも成立するか自信はなく、あまり深く読んではいませんでした。これ以外の選択肢であれば、ルークを交換するアイディアを考えますが、27. Rad1 Rxd1 28. Rxd1 Rg8 29. Rg1 Rxg1+ 30. Kxg1 b5 となった場合、クイーンサイドポーンマジョリティとビショップを持つ黒にとって、楽な展開であることは間違いないでしょう。

27... fxe6 28. Ne5 Rg3 29. Rg1 Rh3+ 30. Kg2 Rc3 31. Kh2 Bd6 32. Ng6 Rd8 33. Rg2 Re3


ここは細かい差ですが、33... Rf3! のほうが後々相手キングをfファイルでカットオフしている分、本譜よりも良かったかもしれません。

34. e5 Ba3 35. Rag1 Rdd3 36. Rg3 b5!?



27手目の時点では、クイーンサイドポーンマジョリティとビショップを持っているならば、ルークを2つ交換して勝ちのチャンスがあるエンドゲームだと考えていました。しかし、ここでは白がキングの位置を改善していることもあり、勝てるという自信が揺らぎました。そこでルーク交換は1つにしておき、bポーンを進めておいて様子を見ることにします。

37. Rxe3 Rxe3 38. Rg2 Kb7 39. Rd2 Kb6 40. Kg2 Bb4 41. Rf2 c5?


この試合で初めて、黒に悪手らしい悪手が出ました。41... Bc5 からf2 を抑え、ゆっくりとクイーンサイドを進めておくのが良かったでしょう。時間がなかったこともあり、白の次の手は指されるまで全く気付きませんでした。白はe6 のポーンを奪い、2コネクテッドパスポーンを作って反撃します。

42. Nf8! c4 43. Nxe6 Be1?



お互いに検討戦でも気づいていませんでしたが、この2つ目の悪手で形勢は逆転しています。ビショップはもぐり込んでいたほうが、パスポーンのサポートをしやすいと思ったのが完全に勘違いでした。43... c3 44. Rc2 Bc5-/+ としておけば、まだまだ黒が優勢です。

44. Rf3 Rxf3 45. Kxf3 c3 46. Nd4 Kc5 47. Nc2?


しかし、羽生さんもここでは時間がなく、不正確な手が出てしまいます。47. Ke4! Bf2 48. e6! (48. f5? Bxd4 49. f6 Bxe5 50. Kxe5 c2 51. f7 c1=Q 52. f8=Q+ Kb6-/+ では黒優勢です。) 48... Kd6 49. Nxb5+ Kxe6 50. Nxc3+/- なんと白は黒のポーンを2つ奪えてしまいます。検討戦では、47. Ke4 のほうがベターであることは気づいていましたが、fポーンではなくeポーンから進めるべきであることを、お互いに見落としていました。

47... Bh4?



ここはミスの応酬が続きます。2コネクテッドパスポーンを止めるためには、h4-d8 のダイアゴナルを抑えるべきだと判断しましたが、虎の子のc3 を落としてしまっては、再び白優勢に転じてしまいます。47... Bd2! 48. Kg4 Kd5 49. Kf5 Kc5 50. Ke4 h5 51. Kf5 h4 52. e6! (52. Kg4? Kd5 53. Nb4+ Ke6 54. Nc2 h3 55. Kxh3 Bxf4 56. Kg4 Kxe5-+) 52... h3 53. e7 h2 54. e8=Q h1=Q= このようにクイーンを作り合ってイコールであるというのは、なかなか読めない難しい変化です。

48. Kg4?


試合の結果を決める最後の悪手は、白を持つ羽生さんから飛び出しました。hポーンではなく、cポーンを狙いにいけば白の勝勢です。48. Ke4! Kc6 49. f5 Kd7 50. Kd3+-

48... Bd8-/+ 49. Kh5 Kd5 50. Kxh6 Ke4 51. Kg6 Kxf4 52. e6 Ke4



お互いにポーンを取り合いますが、ナイトでパスポーンをブロックしている白のほうが厳しい状況です。ここからはもう少しスムーズに勝てると思いましたが、時間がなくなかなか正確な手をすぐには見つけられませんでした。

53. Kf7 Kd3 54. Nb4+ Kd2 55. Nc6 Bh4 56. Nd4 c2


ビショップを取られても、先にクイーンを作れば勝つチャンスはあるでしょう。もちろん、確実に黒だけがプロモーションできるアイディアを見つけられれば良かったのですが、ナイトとキングに追い立てられたビショップに逃げ場は無く、黒の選択肢はポーンを進める以外にありません。

57. Nf3+ Kd3 58. Nxh4 c1=Q 59. e7 Qf4+



試合中はまだ結果が読めず、チェックを続けながら勝つ方法を模索します。黒はキングがクイーンサイドに近いため、ナイトを取ってからクイーンを交換し、勝ちのポーンエンディングに持ち込めるチャンスがあるはずだと信じます。

60. Kg7 Qe5+ 61. Kf7 Qf4+ 62. Kg7 Qe5+ 63. Kf7 Qd5+ 64. Kf8 Qd6 65. Kf7 Qd7 66. Kf8 Qd6 67. Kf7 Qd5+ 68. Kg7 Qd4+!


62手目でもできた、このチェックで勝てることを読み切りました。

69. Kf7 Qxh4 70. e8=Q Qh5+



これでポーンエンディングに持ち込みます。白キングの動きは2通り考えられますが、どちらも黒が勝てるでしょう。

71. Ke7 Qxe8+ 72. Kxe8 b4 73. Kd7 Kc3 74. Kc6 Kb2 75. Kc5


75. Kb5 Ka3 76. Ka5 a6!-+ 白キングの寄るマスがすぐにb5 ならば、これでツークツワンクとなり、黒の勝ちです。

75... a5 0-1



最後はこの手以外は白の勝ちとなります。改めてエンドゲームの難しさを体験しました。今月はもう1回、羽生さんとトレーニングをする機会があるかもしれませんので、そちらも良いゲームができるように頑張ってこようと思います。



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