2014/11/26

Former World Champion Garry Kasparov vs. Yoshiharu Habu


今日は、来年4月に開催される電王戦 Final の記者発表会に出席するため、六本木のニコファーレに塩見さんと足を運んできました。電王戦が5対5の団体戦形式になって3回目となる今回、連敗中のプロ棋士側はなんとしても白星を挙げたいでしょうが、コンピュータ側も強豪ソフトが揃っています。


マイクを持っている平岡さんは、今回の先鋒を務めるApery の開発者です。平岡さんはHEROZ のメンバーであり、CHESS HEROZ の開発にも携わっています。先週金曜日には、一緒に三田祭に足を運び、チェスと将棋の出展に顔を出してきました。第24回世界コンピュータ将棋選手権の優勝ソフトであるApery に対するプロ棋士は、斉藤慎太郎五段です。


電王戦ではすっかりお馴染みとなった、Ponanza 開発者の山本さんとは今年の4月に知り合い、4日前のニコ生でもお世話になりました。副将のPonanza に対するのは、村山慈明七段です。他の開発者とプロ棋士が頭を下げ合う中、ファイティングポーズを取り合ったのは、粋な演出でしたね。

そして5人ずつのプロ棋士と開発者による、組み合わせ発表と挨拶が終わると、次はどちらが先手を多く持つか決める振り駒です。前回は安倍晋三首相が登場したということで、一体今回は誰が振り駒を行うのかに注目が集まる中、壇上に現れたのは...


Garry Kasparov です!


Kasparov と言えば、チェスファンならば知らぬ人はいない、伝説的な強さを持つ元世界チャンピオンです。Kramnik に敗れるまで、15年世界チャンピオンの座に君臨し、2005年に世界ランキング1位を保ったまま、現役引退を表明しました。その後は政治家としての活動を続けながら、各国で時々、エキシビジョンの対局や同時対局を行ってきました。

そしてなにより、Kasparov は、IBM の開発したチェスプログラム、Deep Blue に敗れたことで、一般の人にも知られているのではないでしょうか。それだけ20世紀末に、チェスのチャンピオンがコンピュータに敗れたことは、チェスファンにとどまらず、多くの人に衝撃を与えた出来事だったと思います。そんな経験を持つKasparov だからこそ、プロ棋士が将棋プログラムに押されつつある電王戦に関わる意義があるでしょう。今後、人間と将棋がコンピュータを介し、どのように繋がっていくべきかを伝える役割として、ぴったりの人選です。


振り駒の結果は、歩が3枚でプロ棋士側が先手を多く持つこととなりました。団体戦になって3回目の電王戦ですが、ここまでは全てプロ棋士側が多く先手を持っています。振り駒後はKasparov から「今回のイベントでの人間の勝利とは、5試合で1勝でもすることだ。なぜならば、それは人間の全力中の全力が、まだコンピュータを上回ることの証明になるからだ」とコメントしました。これを将棋ファンがどのように受け止めるかは、皆さんの判断にお任せしますが、私はそう言う考え方もあるかと納得しています。


そしてKasparov の来日目的は、当然のことながら、電王戦の振り駒だけではありません。この気になるテロップと...


この見覚えのありそうな手の映像の後に登場するのは...


羽生さんです! このKasparov と羽生さんの対局こそ、今年の日本で行われる最大のビッグチェスイベントです。後で将棋連盟の谷川会長もおっしゃっていましたが、このイベント発表時が最も盛り上がったように感じます。それだけ、羽生さんに人気は絶大ですね。

当たり前ですが、このイベントについては私も知っていましたが、ドワンゴから関係者以外、内密にと念を押されていましたので黙っていました。もっと早く知りたかった!と思ってらっしゃる日本のチェスファン、将棋ファンの皆さんには、申し訳ないです。今夜は情報解禁ということで、詳細について語りましょう。

イベント内容: Garry Kasparov vs. 羽生善治
日時: 2014年11月28日、10時~13時
ゲーム形式: 25分+1手10秒 × 2試合(色を交代して白黒1局ずつ)
解説: 塩見亮(2003全日本チャンピオン)、小島慎也(2005-2008,2010全日本チャンピオン)
聞き手: 藤田綾(女流初段)
通訳: 南條遼介(2010,2012,2014全日本チャンピオン)
電子ボード担当: 中村尚広

このような内容とメンバーでお送りします。急すぎて驚きだと思いますが、明後日金曜日の午前中からスタートです! イベント公式ページでは、私はゲストとなっていますが、1試合目を藤田さんと塩見さんにお願いし、私は2試合から解説役として加わる予定です。イベント内容や、Kasparov と羽生さんのプロフィールなどについては、以下のページをご参照ください。

Denousen Special Chess Match
【電王戦特別企画】ガルリ・カスパロフ vs 羽生善治チェス対局

今回のイベントは一般観戦は無しで、ニコ生での放送のみとなります。ご了承ください。それでは皆さん、急な発表となりましたが、今回のイベントを楽しみましょう! 明後日は3時間、よろしくお願い致します。


発表会の締めは、Kasparov を中心に、電王戦Final のメンバー全員で!

2014/11/25

A Special Shogi Day


ジャパンオープン終了直後の今日は、千駄ヶ谷の将棋会館に足を運んできました。羽生さんの招待を受け、来日中のブラジルのIM James Mann さんたちと一緒に、プロ棋士の対局観戦をするためです。案内された対局室では、森下さんや塚田さんが対局をちょうど始めるところでした。わずかな時間でしたが、プロ棋士が真剣に対局する、緊張感のある空気を感じることができました。


4階の対局室見学の後は地下のスタジオを案内され、さらに実際に将棋を指すこととなりました。私は主にカメラマンに徹し、James Mann さんとポーランドのStanaszek さんが、羽生さん、野月さんと対局する様子を見守ります。野月さんは、昨年の電王戦で解説をしている姿を見かけましたが、実際にお話しするのは初めてのことです。James さんは2人のプロ棋士の平手で挑み、当然2戦とも敗れましたが、非常に高い実力があることが分かりました。

そして羽生さんとは2010年からの付き合いですが、実際に目の前で将棋を指している姿を見るのは初めてでした。私と羽生さんの付き合いや、ブログへの登場頻度を考えれば、これを聞いた読者の皆さんにとって、なにより私自身にとっても、とても意外なことだと思います(笑) 他にも蒲田にお住まいで、以前私のレクチャーに参加してくださったプロ棋士の藤森哲也さんも、顔を見せてくれました。久々の再会、とても嬉しかったです!

対局後は羽生さん、野月さんのお2人とも、とても丁寧に検討と指導を行っていました。プロ棋士による英語と日本語での将棋の指導も、目にするのは初めてのことです。チェスのプレーヤーに対しては、ポーン、ルーク、ビショップ、プロモーションといったチェスの用語を使うんですね。チェスプレーヤーとしては、知らなかったことが少し恥ずかしいです(笑) 私自身も少し将棋を嗜むので、技術的な内容ももちろん面白かったです。

そしてさらに思ったことですが、国際将棋フォーラムの各国代表とは言え、プロ棋士が(特に日本トップの棋士である羽生さん自ら!)、アマチュア相手にこれほど丁寧に指導をするということ自体にも驚きました。例えばトロムソのオリンピアードで、私たち日本代表がカールセンに会えたとして、時間を割いて指導をしてくれるでしょうか。オリンピアードと国際将棋フォーラムでの参加選手の数の違いや、イベント内での羽生さんとカールセンの立場の違いもあるので、完全に同じようには考えられないですが、海外のファンに対するプロの接し方を考える、良いきっかけになったことは間違いありません。今日、将棋会館に足を運んだ最大の成果です。


対局後はピノーさんも駆けつけてくれ、一緒に昼食へ。ここでもブラジルやポーランドでのチェス、将棋の話が中心で、とても面白かったです。私もロンドンで森内さんと一緒に、Kramnik に将棋のルールを教えたことを、懐かしみながら話したりしました。James Mann さんとは、ジャパンオープン中はゆっくり話ができませんでしたので、この日、時間を取れて良かったです。今日お世話になった皆さん、本当にありがとうございました!

Japan Open 2014 Day3


Photo by Hiebert

私にとって今年最後の国内公式戦、ジャパンオープンが終わりました。結果は5勝3ドローの6.5/8 で、無事に優勝することができました! ハンガリーに戻る直前の公式戦で、こうして結果を出すことができたことは、素直に嬉しいですね。

1st Place 小島慎也 (FM, JPN, 2441) 6.5/8
2nd Place Averbukh Alexander (JPN, 2294) 6/8
3rd Place 小林厚彦 (JPN, 2182) 6/8
4th Place 中村龍二 (JPN, 2140) 5.5/8


他には南條くん、James Mann さん、杉本さんの3人が、5.5P で賞金を獲得しています。入賞者の皆さん、おめでとうございます! そして参加者の皆さん、お疲れ様でした。7R の南條くんとの試合を載せておきます。

Kojima, S (FM, JPN, 2441) - Nanjo, R (IM, JPN, 2449)
Japan Open 2014 (7)

1. Nf3 d6 2. d4 Nf6 3. c4 g6 4. g3 Bg7 5. Bg2 O-O 6. O-O Nbd7 7. Nc3 e5 8. e4 c6



南條くんとは初のKing's Indian です。このクラシカルなラインは、ハンガリーでの多くの実戦を経て、ある程度の自信をつけています。

9. h3 exd4 10. Nxd4 Nc5 11. Be3 Re8 12. Qc2 Qe7 13. Rfe1 Ne6 14. Rad1 Nxd4 15. Bxd4


白はナイトを1組交換してしまっても、スペースとセンターのコントロール、長期的なd6 へのプレッシャーなどでアドバンテージを保ち続けることができるでしょう。そして、ここからの南條くんのプランは不正確なものでした。

15... Be6 16. b3 a6 17. f4 Nh5 18. Bf2 b5?



a7-a6 を見たときはまさかと思いましたが、やはり突いてきました。しかし、h1-a8 のダイアゴナルが危険な状況では、このポーン突きは早すぎます。

19. c5!


白は一時的にポーンを捨てますが、その後でe4-e5 とポーンを進めると、以下のようなアドバンテージを得ることができます。

h1-a8 のダイアゴナルを開いて、c6 のポーンをアタックできる。
② d6 のマスをコントロールし、Rd1-Rd6 や、Nc3-Ne4-Nd6 を狙うことができる。
③ 黒の黒マスビショップの利きを遮断できる。
④ 黒のナイトの行き場を奪い、将来的にg3-g4 のスレットを作ることができる。

これが分かっていても、d6 を取られるわけにはいかないため、黒はこのポーンサクリファイスを受け入れるしかありません。

19... dxc5 20. e5 c4 21. bxc4 Bxc4 22. Bxc6 Rac8 23. Bxe8 Qxe8+-



ビショップがc4 に行き、h3 が当たらなくなったため、白は安心してエクスチェンジを取ることができます。黒は黒マスビショップとナイトの働きが大いに不満であるため、十分な反撃を作ることも難しいでしょう。

24. Qd2 Be6 25. Kh2 f5 26. Nd5 Qf7 27. Nb6 Re8 28. a4 bxa4 29. Nxa4 Bb3 30. Ra1 g5


唯一、おやっと思った反撃ですが、gファイルを開けばルークを持っている白もアタックのチャンスが増えるので、f4 のポーンの弱さはさほど気にせず、攻撃中心でプランを考えます。

31. Nc5 Bc4 32. Rac1 gxf4 33. gxf4 Bh6 34. e6!



これを読み切っての32. Rac1 でした。白はポーンを返してしまうことでf4 への反撃を遅らせ、その隙に決定的な攻撃のチャンスを得ます。

34... Bxe6 35. Nxe6 Rxe6 36. Rc8+ Bf8 37. Bc5 Rxe1 38. Qxe1 Qa2+ 39. Kg1 Nxf4 40. Rxf8+ Kg7 41. Qe5+ Kg6 42. Qxf5+ 1-0


この試合の後、最終戦は危ない内容ながら、Alex 相手に黒でドローを取り、単独優勝を決めることができました。2000オーバー、2200オーバーも多かった今大会、きっちりと勝つことができたことは、今後の良い自信になりそうです。私はこれで今年の公式戦は終わりですので、後日、戦績をまとめた記事もアップしようと思います。

私は来週の火曜日、12/2 の夜にハンガリーに戻ります。今日が年内最後に会う機会になった人も多いかと思いますので、少し早いですが、皆さん良いお年をお迎えください。あと1週間、もう少し細々とした仕事やイベントをこなしてから日本を発ちますので、まだ会う機会のある方は、引き続きそちらでもよろしくお願いします。

2014/11/24

Japan Open 2014 Day2


Photo by Uesugi

ジャパンオープン2日目のレポートは、時間がないのでさっくりいきます。私はSimon とドローの後、来月ともにハンガリーで試合をする酒井くんに勝ち。彼は初日に南條くん、2日目にJames Mann と2人のIM を破っており、最近の好調ぶりが伺えます。私も酒井くんとの試合では、勝勢の中盤から粘られ、最後は怪しくされてしまいました。そして3R は龍二さんに黒を持っての勝負です。

Nakamura, R (JPN, 2140) - Kojima, S (FM, JPN, 2441)
Japan Open 2014 (6)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. Nf3 d5 5. e3 O-O 6. Bd3 c5 7. O-O dxc4 8. Bxc4 Nbd7



黒で勝ちにいくつもりだったこの試合、Nimzo-Indian をチョイスします。以前、吉村先輩と指した形を研究し直し、新しいRubinstein Variation 対策を投入しました。

9. a3 Ba5 10. Qe2 cxd4 11. exd4 Bxc3 12. bxc3 Qc7 13. Bb2!?


ここは13. Bd2 と指す形がよりポピュラーですが、指されてみてb2 も嫌な位置だと感じました。c3-c4 から、d4-d5 と仕掛けるブレイクに黒は常に注意しなければいけません。

13... b6 14. Bd3 Bb7 15. c4 Rac8 16. Rac1 Rfe8 17. Rfe1 Nh5?!



h7 のサクリファイスはできないと読んで、Nf6-Nh5-Nf4 というスタンダードなマヌーバリングで仕掛けますが、これが有効ではありませんでした。

18. Ng5 Nf4?! 19. Bxh7+ Kf8 20. Qg4?


ここは、20. Qd2! Nxg2 21. Qb4+ Re7 22. Rxe6!+- という変化を互いに見落としていました... 本譜では白は良くなりません。

20... Nf6 21. Qg3 Nxg2 22. Re5 Nh5 23. Qg4 Nf6 24. Qg3 Nh5 25. Qg4 Nf6 26. Qg3 1/2-1/2



最後はお互いどうしようもありません。3回同一を避けて勝負をするのは、リスクが高いでしょう。早い段階で勝ちにいけなくなってしまったのは残念ですが、新しい発見があったので良しとします。

明日は1B で南條くんに白を持ち、再び勝負のラウンドを迎えます。対戦相手はAlex だとばかり思っていたので、少し意外でしたが、半年ぶりの南條くんとの公式戦、楽しんでこようと思います。


Photo by Okabe

そして今日は試合後、慶應チェスクラブの後輩である古谷くん、時田さんとともにニコ生に出演してきました。私が担当したのは、一昨日リリースされたCHESS HEROZ の宣伝コーナーです。生放送で多くの読者が見守る中、チェスのルール説明をしながら後輩と指すのはとても緊張しましたが、終わってみればとても楽しかったです。現役の2人からは、明日まで開催されている、三田祭のチェスカフェの宣伝もしてもらいました。最終日の明日、放送を見て足を運んでくれるお客さんがいると良いですね。ドワンゴ、HEROZ、そして視聴者の皆さん、今日はありがとうございました!

2014/11/22

Japan Open 2014 Day1


Photo by Yumiko Hiebert

今日からの3連休、私はジャパンオープンに参加します。東京での公式戦は、7月のサマーオープン以来4か月ぶりとなります。事前のエントリーに加え、南條くんや小林くんも参加することとなり、上位の厚さは相当なものになっています。

私は初戦で蒔田くん、2戦目で東芝さんに勝ち。3試合目では初めて松尾さんに白を持っての対戦です。

Kojima, S (FM, JPN, 2441) - Matsuo, T (CM, JPN, 2247)
Japan Open 2014 (3)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 g6 4. d4 Bg7 5. e4 cxd4 6. Nxd4 Nc6 7. Nc2 d6 8. Be2 O-O 9. O-O Nd7 10. Bd2 a5!?



今日は気分を変えてNd4-Nc2 と退く変化を指してみます。かつてアメリカで、FM Shahade(先日来日したGreg Shahade の父親)に、10... Nc5 と指さされたことがありますが、松尾さんはb2-b4 を止める本譜の手を選びました。c5 のマスを抑える代わりに、b5 が弱くなるので、白はそれを利用します。

11. Na3 Nc5 12. Nab5 Be6


私がかつて勉強したBologan の試合は、12... Nd4 13. Nxd4 Bxd4 14. Bh6 Bg7 15. Bxg7 Kxg7 16. Bg4!? と進むものでした。本譜ではd4 にナイトが跳びこんでこなかったため、ビショップでそのマスを抑えてしまい、b5 に強いナイトを残すことにします。

13. Be3! Ne5 14. b3 f5 15. exf5 Bxf5 16. f4 Nc6 17. Rc1 Nb4 18. g4!



f7-f5 から手を作るアイディアは、野口さんや岸川くんと指したときに学びました。白はd3 へのピースの侵入をうまく捌けば、b6, d5, e6 といった重要なマスのコントロールと、e7 へのプレッシャーで、優位に試合を進めることができます。

18... Bd3 19. a3! Bxe2 20. Qxe2 Nc6 21. Rb1+/=


私の持っている最新ではにエンジンは曖昧な評価を続けていましたが、ここではっきりと白の優勢を示しました。次にNc3-Nd5 と跳びこむプランは白にとって明確で、黒が困るものでしょう。

21... Rf7 22. Nd5 e6 23. Bxc5!



少し悩みましたが、ここはマテリアルを取りにいって問題ないと判断しました。d5 のナイトは厄介な存在ですが、e7-e6 とポーンを進めれば、d6 のポーンが弱くなってしまいます。

23... exd5 24. Nxd6 Re7 25. Qf3! dxc4 26. Qd5+ Kh8 27. bxc4+-


1ポーンアップでナイトが理想的な位置に居座り、b7 にもプレッシャーをかけているので、これでゲームオーバーです。

27... Qd7 28. h3 Rd8 29. Rxb7 Qxb7 30. Nxb7 Rxd5 31. cxd5 Bd4+ 32. Kh1 Bxc5 33. Nxc5 Nd4 34. Rd1 1-0



最後は34... Nf3 35. Kg2 ぐらいで終わりでしょう。35. d6?? ならば大逆転で黒勝ちですね(笑) Maroczy Bind は、長年指し続けていて好感触ですので、余裕ができ次第、何か連載を書くかもしれません。


ブラジルのIM James Mann さんは、3R で塩見さんとドロー。最近は将棋の活動がもっぱらで、チェスの公式戦は久々とのことです。

他の上位勢は、Simon と龍二さんが3連勝で、4R はSimon - 小島、塩見 - 中村(龍) というペアリングになっています。突如参加を決めた南條くんは、2R で酒井くんに負け。リガ以降、なかなかぱっとしないですね。


初日の夕飯は、ゆみさんとケンジくんの行きつけである蒲田のインドレストラン、エベレストへ。ゆみさんにはこの日、素敵な誕生日プレゼントもいただきました。ありがとうございます!

2014/11/21

A New Chess Application Released - CHESS HEROZ -


本日、Google Play で新しいチェスアプリ、CHESS HEROZ が公開されました。将棋ウォーズで有名なHEROZ が開発したこちらのアプリは、私が春から監修をしており、ようやく皆さんのお手元に届けられることとなりました! 是非、インストールをして遊んでみてください。

CHESS HEROZ

CHESS HEROZ では、将棋ウォーズ開発のノウハウを生かして、定跡の確定や駒の捕獲時、チェックメイトの際などに特別なエフェクトがかかるようになっており、従来のオンラインチェス対戦サービスよりも、ゲーム中のビジュアルが楽しめるようになっています。また、将棋ウォーズでいう棋神の機能もあり、好きなタイミングでコンピュータに3手連続で手を指してもらうことができます。この機能はチェスの女神の名前を取り、Caissa と名付けられています。対戦中の画面や、Caissa については、上記リンク先の動画をご参照ください。

私も今日、早速無料アカウントの1日のリミットである、10試合を指しています。明日からも少しずつ指していくつもりですので、CHESS HEROZ 上で私とマッチングした人は、よろしくお願いします! 今日はコンピュータとの対戦ばかりで少し寂しかったです... さらに明後日の23日21時からは、ニコ生にも出演して宣伝させていただきますので、よろしければそちらもご覧ください。

2014/11/20

Japan Open Tournament Preview Vol.2

秋のチェス界のビッグイベント、ジャパンオープンまであと2日と迫りました。エントリーリストを見ると、上位のメンバーは以下の通りでしょうか。

小島慎也 2441
Del Toledo, James Mann (IM FIDE 2388)
Averbukh, Alex 2294
Bibby Simon 2264
塩見亮 2215


前に伝えた通り、ブラジルのIM James Mannさんはジャパンオープンに参加します。星野さんからの連絡によれば、彼は明日日本に到着するとのこと。時差の影響なく、思い切りプレーできると良いですね。ブラジルの代表GM たちとも渡り合う彼と、試合ができることを楽しみにしています。

Diamant, A (FM, BRA, 2376) - de Toledo, J (IM, BRA, 2396)
73 Campeonato Brasileiro - Final 2006 (9)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. Re1 b5 7. Bb3 d6 8. c3 O-O 9. h3 Nb8 10. d4 Nbd7 11. Nbd2 Bb7 12. d5 c6 13. dxc6 Bxc6 14. Bc2 Qc7 15.
Nf1 Rfe8 16. Ng3 Bf8 17. Bb3 Nc5 18. Bc2 Qb7 19. Qe2 d5!=/+


20. exd5 Bxd5 21. Bg5 Nfd7 22. Rad1 h6 23. Be3 Rad8 24. Bb1 g6 25. Nh4 Nf6 26. Qc2 Ne6 27. Qc1 g5 28. Rxd5 Qxd5 29. Nhf5 Nf4 30. f3 Re6 31. Qc2 h5 32. Kh2 h4 33. Bxf4 hxg3+ 34. Bxg3 Qd2 35. Qb3 Nh5 36. Re4 Nf4 37. Bxf4 gxf4 38. a4 Qf2 39. Ne3 Rd2 40. Ba2 Rxb2 41. Qd5 Rxa2 42. axb5 Rg6 0-1


他にも、中部快速は残念ながらキャンセルとなったSimon や、トロムソのチームメイトであるAlex の名前も確認できます。南條くんや羽生さんは不参加ですが、今年も上位勢のメンツは厚そうですね。現在のエントリーは35名だそうですので、もう少し伸びてもらえればと思います。

ジャパンオープンエントリーリスト

そして、明日からは三田祭がスタートします。土曜から月曜日はジャパンオープンであるため、私は明日の13時頃に顔を出すつもりです。また、明日の夜には1つ、発表できることがありますので、そちらの記事もお楽しみに! それでは明日、三田祭にに行く人は慶應三田キャンパスでお会いしましょう。後輩たちは4日間、頑張って下さいね。

2014/11/17

A Birthday Weekend


Photo by Kawanaka

先週土曜日、11月15日には池上のチェスセンターで、Kasparov のゲームを扱ったレクチャーを行ってきました。Kasparov の見せる攻撃的なピースのプレーは、多くのチェスファンを魅了しているでしょう。レクチャーで扱わなかったゲームを1つ載せておきます。


Kasparov,G - Leko,P/ Linares 2001(6)
Position After 20... Qxa4

21. c5!


Kasparov はまず、閉じた白マスビショップのラインをこじ開け、ディスカバードアタックを狙います。

21... Qb4?! 22. Ne4!



ビショップの次に意識を向けるのはナイトです。このナイトは、白のセンタポーンと合わせて芸術的なコンビネーションを生み出します。

22... Qxb2 23. cxd6 Bf8 24. c3! f5 25. d7 Red8 26. d6+ Kh8 27. Nc5 Bc6 28. Nd3!


ナイトは忙しく飛び回り、ポーンを回収してさらなるマスを目指します。

28... Qxc3 29. Nxe5 Be4 30. Nf7+ Kh7 31. Ng5+ Kh8 32. Nxe4 fxe4 33. Qd5+-



最終的にナイトはディフェンスのかなめであるビショップを消し去り、勝負ありです。

33... Kh7 34. Qg8+ Kg6 35. Bf7+ Kf6 36. Bd5 1-0



Photo by Makita

そして、この日は私の26歳の誕生日でした。この2年、ブダペストで誕生日を迎えてきましたので、日本で皆さんに直接お祝いの言葉をいただくのは3年ぶりです。Facebook やメールでも、多くのメッセージをありがとうございました! これからも頑張ってチェスを続けていきますので、あらためてよろしくお願いします。プレゼントもジャパンオープンで受け取りますので、ご自由にどうぞ(笑)


さらに翌16日は、上野公園でチェスの対局、撮影を行ってきました。こちらは東京芸術大学の学生さんの依頼で、空間作りをテーマとした卒業制作のお手伝いです。私が依頼されたチェスのレッスンや対局はその一部で、他にはバンドやカフェ、相撲や占いなどをやっている日もあります。そしてそれら全ての道具が残っているため、非常に不可思議な空間でのチェスとなりました(笑) 依頼者の卒業制作発表は1月末だそうですので、それまでに私も帰国して、見に行きたいですね。

それでは皆さん、次は今週末のジャパンオープンか三田祭でお会いしましょう。私は三田祭には、初日の21日(金)、午後の早い時間に顔を出すつもりです。

2014/11/14

Sochi 2014 Carlsen vs. Anand Vol.1


世界チャンピオンのタイトルを争う2人、Chess News より

現在、ロシアのソチで世界チャンピオンの座をかけたマッチが行われています。Carlsen とAnand によるマッチは2回目ですが、今年は昨年とは立場が逆で、Anand が挑戦者です。2戦目でCarlsen が見事な勝利を収めたことで、今回も何事もなくCarlsen が勝つかと思ったファンも多いでしょう。ところがインドの虎は3戦目で牙をむきます。

Anand, V (GM, IND, 2792) - Carlsen, M (GM, NOR, 2863)
Sochi (3)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. e3 Nbd7 7. c5 c6 8. Bd3!?



Queen's Gambit Bf4 Variation は、私も白で愛用する変化です。黒の6... Nbd7 に対してクイーンサイドのポーンを固めるのは、古くからある白のプランですが、8手目は私にとって少し意外でした。ここで8. h3 と指せば、黒のBc8-Ba6 のアイディアに対して、白は1テンポ得でビショップを交換できるためです。

8... b6 9. b4 a5 10. a3 Ba6


使いづらいc8 のビショップを、このように交換しにいくのは黒としてロジカルなアイディアです。

11. Bxa6 Rxa6 12. b5!? cxb5 13. c6 Qc8!



13... Nb8? 14. c7+- はダメなので、黒はこの手以外にありえません。この変化は研究がだいぶ進み、黒もなんとかさせることが分かっていますが、それでもc7 に刺さった白のポーンは、実戦的には黒にとって嫌な存在であることは間違いないと思います。

14. c7 b4 15. Nb5 a4! 16. Rc1 Ne4 17. Ng5!?


最初、棋譜を並べていては、この手は何事かと目を疑いましたがよく考えてみれば、e4 のナイトとe7 のビショップが消えれば、Nb5-Nd6 が決定的になることが分かります。ナイトを交換するだけならば、17. Nd2 もありますが、それには17... Nc3!? とポーンを返す手で、黒は大きな問題がなさそうです。

17... Ndf6 18. Nxe4 Nxe4 19. f3 Ra5?



上記と同じく、19... Nc3 20. Nxc3 bxc3 21. Rxc3 b5 と指し、ポーンを返してしまうのが安全策だったでしょう。この変化はストレートに白が良くなります。

20. fxe4 Rxb5 21. Qxa4 Ra5 22. Qc6 bxa3 23. exd5 Rxd5 24. Qxb6 Qd7 25. O-O Rc8 26. Rc6!


このポジションは2008年に指されたTomashevsky - Riazantsev とほぼ同じ形です。(その試合では、8. h3 と指したため、白のポーンがh3 にあります。) この試合での白の勝ち筋をAnand は研究していたのでしょう。Carlsen がNe4-Nc3 からのポーンの返しを見落としたのか、指さなくても大丈夫だと読んだのかは分かりませんが、この試合はAnand の研究が生きたゲームでした。

26... g5 27. Bg3 Bb4 28. Ra1 Ba5 29. Qa6 Bxc7 30. Qc4 e5 31. Bxe5 Rxe5 32. dxe5 Qe7 33. e6 Kf8 34. Rc1 1-0



Carlsen とAnand のマッチは、2-2 のスコアで全体の1/3 である4戦を終え、今日が5戦目です。Anand が再び白を持つ今夜の試合も、なかなか面白い展開になっているので、是非チェックしてみてください!

Sochi 2014

2014/11/12

The Highest Level Training in Japan in November 2014


今日は4か月ぶりとなる、羽生さんとのトレーニング日でした。みすずのイベントやIVL での対戦、そしてGreg との交流会もあったので、そんなに間が空いた気はしていませんでした。しかし考えてみれば、8月は半月、オリンピアードもありましたし、羽生さんもお忙しいですからね。私が先に黒を持ち、いつも通りラピッド 2局のスタートです。

Habu, Y (FM, JPN, 2415) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Training (1)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. Nf3 e6 5. Bg5 dxc4 6. e4 b5 7. e5 h6 8. Bh4 g5 9. Nxg5 hxg5 10. Bxg5 Nbd7 11. exf6 Bb7 12. g3 c5 13. d5 Nxf6!?



羽生さんとの2回目のSemi-Slav Botvinnik Variation ですが、今度は私が黒です。5年ほど前に見つけたこのラインは、黒が十分に戦えると信じています。もちろん、メインの13... Qb613... Bh6 も有望な手です。

14. Bg2 Be7 15. O-O Nxd5 16. Bxe7 Kxe7 17. Nxb5 Qb6 18. Na3 Rh4 19. Qf3!?


これは私にとって予期せぬ手でしたが、実戦例もあるようです。最もポピュラーな変化は、19. Qd2 Nf4! 20. Nxc4 Qa6 21. Rfc1 と進むもので、これまでうろ覚えではありましたが、今日の羽生さんとの検討の中で、お互いばっちりと理解できました。ちなみに私は最初、19... Nf4 からRh4-Rxh2+ で勝ちだと思っていましたが、クイーンにb7 のビショップを取られる手は、チェックなのでした(笑)

19... Rg8! 20. Rac1 Qa6 21. Rfd1 c3! 22. Rxd5!



羽生さんは「ここはもうエクスチェンジサクリファイスをするしかないでしょう」とおっしゃっていましたが、そうしなければ黒が大きく優勢であるということを瞬時に見抜くのはさすがだと思います。とは言え、ここは黒も21... c3 以外にうまい手がないため、このサクリファイスを受け入れなければなりません。

22... Bxd5 23. Qxc3 Bxg2 24. Qxc5+ Kf6!?


ここは時間のない中、キングが上がる決断をしました。2ポーンエクスチェンジのマテリアルのエンドゲームでの正確な形勢判断は、私の苦手とするところです。24... Qd6 25. Qxd6+ Kxd6 26. Kxg2 このポジションはこのゲームの検討戦でのメインでしたが、なかなかこの先の変化は難しくなりそうです。

25. Qc3+ Ke7 26. Kxg2 Qb7+



ここでは、黒はドローで満足すべきだったでしょう。しかし、シンプルな手順が分かりませんでした。26... Qe2! 27. Qc5+ Kf6 28. Qc3+= 黒からQe2-Qg4-Qh3+ がある以上、ドローを避けることはできないでしょう。

27. Kg1 Rb4?


この試合、お互いにとって初めてといえる悪手で大きく形勢は傾きました。27... Qd5! ならば、まだ勝負はわかりません。

28. b3 Rd8 29. Nc4+/- Rd5 30. Ne3 Rd6 31. Qe5 Kd7 32. Qf6 Ke8 33. Nf5 exf5 34. Qxd6 Re4 35. Rd1 1-0



2ポーンエクスチェンジというマテリアルであっても、ナイトが安定したマスを確保したうえで、不安定なキングを攻めて白はチャンスを得ました。クイーン交換からのエンドゲームに思い切って跳びこめなかったことと、確実なクイーンでのカウンタープレーでドローチャンスを逃したことは、このゲームの反省点です。



お昼ご飯は近くでオムライス。先日ブログで情報を出した、国際将棋フォーラムのことや年末の大会のことを話していました。やはり静岡には私も行きたいですね(笑) チェス界の誰か、現地に行ってレポートをよろしくお願いします! それでは続いて、午後の試合へ。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Habu, Y (FM, JPN, 2415)
Training (2)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. d4 O-O 6. Be2 e5 7. O-O Nc6 8. d5 Ne7 9. b4 Nh5 10. Re1 f5 11. Ng5 Nf6 12. f3



今日は気分を変えてBayonet を指してみました。現在はFianchetto を採用していますが、私はBayonet をかつてメインのKing's Indian 対策としており、高い勝率を残していました。日本でBayonet を指すプレーヤーは、不思議と12. Bf3 からのエクスチェンジサクリファイスラインが好きなようですが、私はこちらの12. f3 を愛用しています。

12... c6 13. Be3 Bh6


この変化は3年前、チーム選手権で国府さんと指したことがあり、その時にしっかり勉強しました。私としては、Bg7-Bh6 のラインは白がやや良くなるため、12... Kh8!? のラインが、黒としては楽しみがあるのではと、試合後に羽生さんと話をしています。

14. h4 Nh5?



ここは黒としては、cポーンを先に交換しておかなければいけません。c4-c5 はBayonet において最も警戒すべき白の攻めであり、センターと白マスビショップの利きを同時に開かれは厳しい展開となります。14... cxd5 15. cxd5 f4 16. Bf2 Bxg5 17. hxg5 Nh5

15. c5!+/- dxc5 16. bxc5


羽生さんはナイトを捨てるつもりで本譜の手を指したそうですが、16. d6 cxb4 17. Qb3+ Kg7 18. Qxb4! Ng8 19. exf5 gxf5 20. Rad1+- 白にはこうしてナイトを無視し、ポジションを完全に抑え込む選択肢もありました。ルークに支えられたセンターのパスポーンは強力で、白のポジショナルアドバンテージが決定的であることは明らかです。

16... fxe4 17. fxe4 cxd5 18. Nxd5 Nxd5 19. Qxd5+ Qxd5 20. exd5+/-



私は、白のアドバンテージはこれで十分だと思いました。dファイルのパスポーンは白にとって強力な武器なので、これを脅しに使いつつ、他のポイントでも手を作りにいきます。

20... Nf4 21. Bc4 Bxg5 22. hxg5 Rf5 23. Rab1!+-


白はg5 を落としても、b,e ファイルを支配したルークの力で勝負を決めにいくことができます。黒はクイーンサイドのピースが出せないことが、ここにきて響きます。

23... Rxg5 24. Bxf4 exf4 25. Re8+ Kg7 26. Kf2!



白としては何を指すか迷うところではありますが、焦らずにキングが上がってf3 のマスを抑えれば、黒は何もできないと判断しました。

26... b6 27. c6 Kf7 28. Rbe1 1-0


白はすっきりと勝てて一安心。羽生さんとのラピッドは、ここまで完全に五分の勝率で、今年のトレーニングを終えています。羽生さんとの次のトレーニングは、私がハンガリーから帰国する来年以降になりそうですね。羽生さん、今年も1年、ありがとうございました!


そして今日は、羽生さんからNew In Chess Yearbook 78をお借りしました。8年前の号ですが、羽生さんとPeter Wells のゲーム解説が載っています。日本のプレーヤーならば、一度は並べたことがあるかもしれませんね。


最後はおまけ。羽生さんが「最近、ここ並んでるんだよね」と紹介してくれた自由ヶ丘駅前の店は、私も噂に聞いていたチーズタルトの専門店でした。20分ほど並んで6個購入。そのままでも美味しいですが、冷凍庫で凍らせるのもおススメのようです。

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