2015/01/28

福岡県選手権 2015


3月の九州の海

まだ一部の人にしか話をしていませんでしたが、今年の地方選手権は福岡へ行くことを決めました。福岡で行われる福岡県選手権は、3月1日の開催です。航空券と宿の手配は先週済ませ、先程、エントリーも無事に終わらせました。九州は昨年、2回ほど旅行で訪れましたが、チェスクラブへの参加や、公式戦をするのは初めてのことです。私同様、他所からの遠征組もいるとは思いますが、これまでとは違ったメンバーと交流できることを、とても楽しみにしています。参加される皆さんは、よろしくお願い致します。

11th International Solving Contest Tournament Report


報告が2日遅れましたが、日曜日は森下文化センターで開催された、11th International Solving Contest に参加してきました。プロブレムを解く大会への参加は初めてで、どれだけできるか少し緊張気味の朝でした。会場に集まったのは少人数でしたが、それでも桑田くん、塩見さん、龍二さんというIVL メンバーがいたので一安心。2時間で6問のプロブレムを、世界中の愛好家たちがいっせいに解く(時差はありますが、どこも1月25日開催です。)、ISC への初挑戦です。日本の運営責任者である若島さんが問題と解答用紙を配り、スタートの合図で始めるのは、大学の試験のようですね。


White to move
Mate in 3 moves

前半の1R で出た3手メイトがこちらです。怪しげな白のポーンと、ルークが取られそうなところが気になります。私は最初、最も自然な1. Rg5 でメイトになると考えていました。1. Rg5 e3 2. Qd3! (3. Qd5#), 1... axb5 2. Qa7! (3. Qa7#), 1... d6 2. Qxa6! (2... dxe5 3. b7# 2... e3 3. Qc8#) 1... d5 2. Qb3! (2... dxc4 3. Qxc4#, 2... d4 3. c5# 2... e3 3. cxd5#) このように、全て違う形でチェックメイトにできるため、非常によくできた問題だと感心します。

しかし、1... a5! だけに対しては、残り2手でメイトにする方法がありません。私はこれに気づいて焦り、時間をかなり使って考え直しました。上に書いたいくつもの美しいメイトが、たまたまで本筋とは全く関係ないとは思えません。ならばクイーンはb3 に残したままで、ルークを捨ててもメイトになる方法を見つけました。

1. Bg7!


f5 のルークを取らせた際、e5 のポーンまで取られてしまっては、黒キングに逃げられてしまいます。そこでビショップでポーンを守り、d6 のマスや、Kd6-Ke5-Kd4 といった逃走ルートを消しておきます。また、2. Rf7! と次に指せれば、3. Rxe7# を防ぐ方法がありません。

1... gxf5


他のあらゆる手は、上に記した変化ですべてメイトになります。

2. Qh3! fxg4


他の手であれば、全て3. gxf5# となります。

3... Qxg4#



1. Rg5 は、この問題の製作者によるトラップなのでしょう。1... a5 に気づかなければ、正解だと勘違いしてしまいます。しかし、ポーンで攻撃されているルークが逃げるような、実戦的かつ自然な手が、こうしたプロブレムの答えであるはずがありません! こうしたことに気づき、製作者の意図を読み取ることが、プロブレムを解くカギとなります。


そして初参加の私にとって驚きだったのは、参加者の全員がこうして複数のチェスセットを持ってきていたことです。解けないポジションをいつまでも考えているより、他のポジションに切り替えたほうが効率が良いのは、普通の試験と同じでしょう。その際、いちいちポジションを並べ直すのは手間ですし、時間のロスです。そのため、こうして複数のチェスセットを用意するのが当然のことだそうです。しかし、龍二さんが問題と同じ、6つのチェスセットを持ってきたことには驚きました(笑)


Helpmate in 2 moves
3 solutions

私にとって、2手、3手メイト、エンドゲームはなんとかなりましたが、5手、6手メイト、ヘルプメイト、セルフメイトは全く歯が立ちませんでした。ヘルプメイトは、黒から始めて両者が協力し、指定の手数でメイトにする問題です。例えば上の図は2手メイトなので、黒、白、黒、白が指して黒キングをメイトにする手順を3通り答えます。午前のヘルプは3手でしたのでお手上げでしたが、午後のこちらは2手なので、なんとかなるだろうと思いました。思いましたが... 全然だめです。普通のチェスでは、相手もメイトになるために協力するということがありえないので、そこは完全に頭を切り替えないといけません。こちらの問題の答えの分かった方は、コメント欄にどうぞ。(28日追記、前夜の更新では、b4 に黒ポーンを入れるのを忘れていました。すみません。)

私は4時間かけて12問を解き、60点満点で23点、日本の参加者13名のうち、龍二さんに次いで5位でした。初参加で20点を超えるのは上出来だそうですが、私としてはエンドゲームを完答できなかったことに不満が残ります。他の国の結果も含めた順位は、ISC の公式HP で確認ができます。イングランドのGM John Nunn がエンドゲームを間違えているのは意外ですね...


会場にはチェスプロブレムを扱った機関誌や書籍が置いてありました。指定のポジションがどのような手順で現れたのかを答える、Proof Game の問題集は、製作者の橋本さんから購入させていただきました。Proof Game については、また後日記事を書くかもしれません。


打ち上げはにゃんこのいる中華料理屋で、6時間ほど飲みながら、様々な話しをしていました。昨年の9月以来となる若島さんだけでなく、数年ぶりにお会いする元日本チャンピオン、鈴木知道との再会も嬉しかったです。そして今回、普段とは違うチェスの世界を垣間見ることができたことは、非常に興味深く、チェスには様々な楽しみ方があることが分かりました。日本ではマイナーなチェスの中でも、さらにマニアックなチェスプロブレムの世界ですが、また機会を見て関わっていきたいですね。

2015/01/26

Cappelle la Grande 2015 Participants


今年のカペルは参加するんですか? と最近よく聞かれますが、私はパスします。先程、尚広くんからメールがあり、日本からカペルに行くメンバーが発表されました。公式HP のエントリーリストでも確認できる通り、今年は以下の6名が参加します。

Nanjo Ryosuke (IM, JPN, 2348)
Noguchi Koji (JPN, 2072)
Tang Tang (JPN, 2023)
Shioguchi Tatsuya (JPN, 1999)
Shinoda Taro (JPN, 1931)

Akagiri Yuma (JPN)


常連となった南條くんたち5名の招待選手に加え、慶應チェスクラブの赤桐くんが一般枠で参加します。カペル初参加となる唐堂くんや、海外大会自体が初めての汐口くんも、ヨーロッパでのチェスが良い体験になることを願っています。6名の皆さん、頑張ってきてください!

公式HP のエントリーリストを見ると、例年と似たメンバーの名前が揃っていることをが確認できます。私がかつて対戦したことがあるのは、ロシアのGM Kharitonov, クロアチアのGM Lalic (ともに、南條くんもカペルで対戦しています。)、フランスのIM Payen、ポーランドのWIM Iwanow ぐらいでしょうか。個人的な注目は、昨年のカペル優勝者であるパラグアイのGM Bachmann、そして昨年末のLondon Chess Classic Open の優勝者である、中国のIM Bai Jinshi の2人です。リストから気になるプレーヤーを見つけた方は、カペルのスタート後、結果もチェックしてみてください。今年のカペルは、2月28日の土曜日スタートです!

Cappelle la Grande Official HP

2015/01/24

The Highest Level Training in Japan in January 2015


昨日は今年初めてとなる、羽生さんとのトレーニングでした。羽生さんとお会いするのは、11月のABLE 講演会以来です。互いにハンガリーとスウェーデンでの大会から帰国し、2か月ぶりに顔を合わせて、いつもと同じラピッド2試合を行います。

Habu, Y (FM, JPN, 2415) - Kojima, S (FM, JPN, 2397)
Training (1)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nf3 e6 5. Be2 Ne7 6. O-O c5 7. c4 Nbc6 8. dxc5 dxc4 9. Qa4 Nd5 10. Nd4 Bd3 11. Bxd3 cxd3 12. Nxc6 Qd7 13. Qb3 Qxc6 14. Qxd3 Nb4 15. Qb3 Bxc5 16. a3 Nd5 17. Qg3 O-O-O 18. Nd2 Kb8 19. Ne4 Bd4 20. Bg5 Rd7 21. Rac1 Qb6 22. b4 h6 23. Bd2 g5 24. Nc5 Bxc5 25. Rxc5 Rhd8 26. Qf3 Qa6 27. Rfc1 Ne7 28. Be3 Qxa3 29. h3 Nf5?



2局目が長いので、1局目は簡単に紹介しておきます。ここで黒は29... b6! と指しておけば、a7 を狙われることなく、駒得によるアドバンテージを維持できたでしょう。本譜のように進むことは私の希望通りではありませんでしたが、時間切迫により正確なディフェンスが思いつきませんでした。

30. Ra5! Qxc1+ 31. Bxc1 Rd1+ 32. Kh2 Rxc1 33. g4 Nd4 34. Qxf7 Rc2 35. Ra1 Ne2 36. Qe7 Rdc8 37. Qd6+ Ka8 38. b5 b6 39. Qxb6 R8c7 40. Qe3 Nf4 41. b6 R7c3 42. Qe4+ Kb8 43. Qxc2 1-0



お昼は恒例となっている、近くの焼肉屋さんへ。お互いに海外でのトーナメントから戻ってきたところですので、ご飯を食べながら色々と情報を交換しました。羽生さんはスウェーデンのRilton Cup 出場後、現在開催されている世界トップクラスのトーナメント、Tata Steel 見学のために、オランダまで足を運びました。私もTwitter でそのことを知り、こちらのインタビュー動画をチェックしていました。

羽生さんはオランダでは、世界トップレベルの試合を見学できただけでなく、Aronian、Giri、Ding Liren らと話をしてきたそうです。これだけでも、日本への帰国前にオランダに寄った甲斐はあると思いますし、なにより、そうした羽生さんの積極性は私も見習いたいところです。

Kojima, S (FM, JPN, 2397) - Habu, Y (FM, JPN, 2415)
Training (2)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. d4 d5 4. Bg5!?



午後の試合は私が白です。羽生さんとはSemi-Slav の試合をたくさん指していますが、たまにはこうして手を変えてみます。

4... h6 5. Bxf6 Qxf6 6. Nc3 c6 7. Qb3!?


これでSemi-Slav Moscow Variation の一変化となります。私もハンガリーでこれを黒で指す可能性があったため、少し調べていました。羽生さんがどういったラインをチョイスするかに興味があり、この日は試してみることにします。

7... dxc4 8. Qxc4 Nd7 9. Rd1 Qe7!? 10. e4 Qb4



黒のクイーンはf6 では特に働きがないため、クイーンサイドに位置を戻します。白はクイーンを交換を避け、センターポーンとスペースで勝負します。

11. Qe2 Be7 12. g3 O-O 13. Bg2 Rd8 14. a3 Qb6 15. O-O Nf6 16. Rfe1


白は仕掛けるタイミングを見計らい、準備を進めます。こうした将来的にプラスになる手を積み重ねてチャンスを作る指し方は、私の今のチェスのベースになっていると思います。

16... Bd7 17. Ne5 Be8 18. d5!?



18. Nc4 Qc7 19. e5 Nd5 20. Ne4+/= という指し方もあると思いますが、私はポジションを開くことを望みました。黒はe8 のビショップがパッシヴであり、ルークもまだ片方しかセンターに回っていません。ならば、ポジションを開いてチャンスを作りやすいのは、間違いなく白です。

18... Qc7! 19. Nc4 e5 20. dxc6?!


検討で話をしていて、これはミスなのではないかと2人で考えました。白は...cxd5 と取られるのは問題ないため、ここでのポーンのぶつかり合いは、しばらく残しておくべきです。あまり早めにポーンを取ってしまうと、d4 が分かりやすいアウトポストとなり、黒にはナイトをNf6-Nd7-Nf8-Ne6-Nd4 とまわすプランが生まれます。

20... bxc6 21. b4 Rxd1 22. Rxd1 Rd8 23. Rxd8 Qxd8 24. Qe3 Qd4 25. Bf1 Nd7 26. Qd3 Nb6 27. Ne3 g6 28. Nc2 Qxd3 29. Bxd3



お互いのルークとクイーンが消えますが、この試合はここからが本番です。ポーンストラクチャーの良い白と、ダブルビショップを持つ黒は、互いに長所を持ち合い、難しいエンドゲームでしょう。

29... c5 30. b5 c4 31. Be2 Bc5 32. a4 Bd4 33. a5 Nc8!


お互いにナイトを交換し、ポーンの位置がすべて同じファイルになるエンドゲームはドローだと思っていましたが、羽生さんはもう少し自身のチャンスを求めます。私はこれでポーンが落ちてまずいかと思いましたが、そのポーンはなんとか回収できそうです。

34. Nd5 Bxb5 35. Nc7


ここは35. Na3! のほうが簡単です。なぜこう指さなかったのか、今落ち着いて見返してみると不思議ですね...

35... Ba4 36. Nxd4 exd4



私も羽生さんも、ビショップを取られたのであれば取り返すのが当然だと思っていましたが、ここは36... c3! が成立します。37. Nc2 Bxc2 38. Nd5 Bxe4 39. Nxc3 と指すしかありませんが、本譜に比べて黒はe5 にポーンを残したままでポーンアップになっており、明らかに有利になっています。

37. Bxc4 Bc2


これでポーンが落ちて焦りますが、上記と違って黒のポーンはd4 にあるので、白はキングを寄せていけば問題ないでしょう。

38. Kf1 Bxe4 39. Nb5 Kf8 40. Nxd4 Nd6 41. Bb3?! Ke7?!



イコールになったことで気が抜けたか、2人揃ってミスが出ます。41... Nb7! と指していれば、白はaポーンを守ることができません。Be4-Bd3+ を見落としていました... 白はa5 を守るためには、41. Ba6! と指さなければいけませんでした。

42. Ke2 f5 43. Ke3 g5 44. f3 Bb7 45. f4


この辺りで私はおやっ?と思い始めます。互いに白マスビショップを持つ同色ビショップエンディングであるため、f5 に黒のポーンを固定してしまえば、わずかに白にチャンスが出てきます。

45... Kf6 46. Ne6 Ba6 47. Nc5 Bf1 48. Bd5 Bc4 49. Kd4+/=



白のキングは素早く4段目に到達し、はっきりチャンスがあることが分かってきました。黒はh2 のポーンやa5 のポーンを狙うのが難しく、ディフェンスに集中しなくてはいけません。

49... Bf1 50. Nd7+ Ke7 51. Ne5 gxf4 52. gxf4 Bb5 53. Kc5 Ba4 54. Ng6+ Kd7 55. Nf8+ Ke7 56. Ng6+ Kd7 57. Ne5+ Kc7 58. Be6 Bc2 59. Nf7 Nxf7 60. Bxf7


白はナイト交換を仕掛け、純粋な同色ビショップだけのエンドゲームに持ち込みます。f5 がターゲットになっている以上、白が良いのは間違いありませんが、a5 を取られた際にポーンを進める速度を計算しなければいけないため、時間切迫ではさほど簡単なポジションではありません。

60... Be4 61. Be6 h5?



この手は私も目を疑いました。f5 を取った際にターゲットなるポーンが近くなりますし、なによりビショップと同じ同色ですので、明らかなターゲットとなります。

62. h4 Kb7 63. Bd5+?!


ビショップを交換して勝ちのポーンエンディングに持ち込むのは、白の正しいアイディアです。しかし、タイミングが少し早く、不正確でした。63. Bc4! (a6 のマスを抑えてしまい、黒キングがa5 のポーンを取りに来るのを防ぎます。) 63... Bc2 (63... Bf3 64. Kd6+-, 63... Kc7 64. Bd5!+- これならば、本譜よりも黒はa5 を取りにいくが遅く、白の勝ちです。) 64. Be2!+- 恥ずかしながら、f7 以外でh5 のポーンを取りにいくルートが見えておらず、焦ってビショップの交換を仕掛けてしまいました。

63... Bxd5 64. Kxd5 Ka6 65. Ke5 Kxa5 66. Kxf5


こうなった以上、ポーンレースからの新たなクイーンエンディングがお互いを待っています。

66... Kb6 67. Kg6 a5 68. f5 a4 69. f6 a3 70. f7 a2 71. f8=Q a1=Q 72. Qf6+?



この試合の反省点は多々あれど、このクイーン交換からのポーンエンディングを勝てると勘違いしたことは、ひどいミスでした。白が勝ちを狙うためには、72. Qd8+ などでクイーンを残し、h5 を取ってパスポーンを進めるしかありません。端のポーンのクイーンエンディングはディフェンス側が正確に指せばおそらくドローですが、そのためのアイディアを考えることも、この試合では検討戦で時間を割いたポイントでした。

72... Qxf6+ 73. Kxf6 Kc6 74. Kg6 Kd6 75. Kxh5 Ke7 76. Kg6 Kf8!


端ポーンのエンドゲームで、ディフェンス側がドローに持ち込むアイディアは2つあり、1つは自分のキングをプロモーションのマスに運んでステールメイトにするか、もう1つは相手のキングをプロモーションのマスに閉じ込めて、ステールメイトにするかです!

77. Kh7 Kf7 78. h5 Kf8 79. h6 Kf7 80. Kh8 Kf8 81. h7 Kf7 1/2-1/2



こうして羽生さんとの過去最長ゲームは、ドローに終わりました。今年最初のトレーニングは1敗1ドローでしたが、いつも通りとても勉強になっています。また今年も羽生さんには、トレーニングやイベントでお世話になりそうです。帰国後、まだお会いしていない日本の皆さんとも、近いうちにお会いする機会を設けたいですね。


自由ヶ丘駅前はこの時期、バレンタイン仕様になっています。私は2/14、池上でレクチャーですが...(笑)

2015/01/21

11th International Solving Contest Event Information


White to Move and Draw
Leonid Kubbel 314 Chess Studies より

この週末、25日の日曜日は、これまでとはちょっと違ったチェスイベントに参加するつもりです。それが、清澄白河で開催される、第11回 International Solving Contest です。Solving Contest とは、いわゆるチェスプロブレムを解く競技会のことで、出題された局面の問題を考え、適した手を答えます。これまでも、日本で大会が行われていることは聞いていましたが、私自身は参加したことはありませんでした。今週末は時間があることと、たまたま塩見さんから誘いを受けたことで、参加を決断しました。

チェスプロブレムは実際のチェスプレーと比べれば、私にとって苦手な分野ではありますが、初めてのことですので、普段の試合よりもリラックスして競技に臨めればと思っています。昨年の9月に、みすず書房のイベントでは、若島さんが「チェスプロブレムを解いても、チェスは強くならない」とおっしゃっていましたが、チェスの違った楽しみ方であることは間違いありません。これから、こうした世界も覗いていきたいですね。

私の手元には、上のポジションのようなプロブレムを出題する、Leonid Kubbel 314 Chess Studies がありましたので、これを週末まで解いて、チェスプロブレムの練習をしておこうと思います。このイベントは私も、応募締切である18日ぎりぎりまで、参加するかどうか迷っていたので、こちらのブログでは告知をしませんでした。日曜日にはイベントのレポートも公開するつもりですので、今回参加されない皆さんは、そちらでこの競技の雰囲気を感じていただければと思います。参加される皆さんは、当日、会場でお会いしましょう!

第11回 International Solving Contest 詳細

2015/01/20

Japan Chess Championship 2015 Preliminary Tournaments


3年前の兵庫選手権にて

毎年、年が明けたこの時期に、5月の全日本選手権の出場権利がかかった、地方予選の情報が出そろいます。今年も東京以外の8か所で予選が行われることが発表され、各地のプレーヤーや、遠征を計画するプレーヤーは、準備を始めているでしょう。現在、発表されている8か所の地方予選スケジュールは、以下の通りです。

2/01(日) 愛知県選手権(名古屋)
2/08(日) 兵庫県選手権(神戸)、広島県選手権(広島)
2/11(祝) 静岡県選手権(浜松)
3/01(日) 福岡県選手権(福岡)
3/28(土) 東北選手権(仙台)
3/29(日) 大阪府選手権(大阪)
3/28(土)-29(日) 北海道選手権(札幌)

札幌のみ、例年通りの2日かけての開催で、他は1日で終わる日程です。その他の参加費、連絡先などの情報については、日本チェス協会のHP をチェックしてみてください。

そして、この2年は各地で後輩が活躍するのを静観していた私も、今年はIM を取った記念に、どこかの地方予選に足を運んでみようと考えています。これまで、名古屋、仙台、神戸、浜松には顔を出しましたが、今年はどこになるでしょうかね。どこに行くか確定したら、こちらのブログで発表しようと思います。地方の皆さん、遠征予定の皆さん、よろしくお願い致します。

2015/01/19

Saturday Lecture in January Lecture Report


Photo by Kawanaka

先月はハンガリーにいたために、お休みさせていただいた池上でのレクチャーですが、今月から再開することができました。11月のKasparov と羽生さんのイベントを見たことをきっかけに、チェスを始めたとい初参加のかたもいらっしゃり、去年8月以来の大人数でしたね。参加してくださった皆さん、ありがとうございました。

土曜日は4ゲームをご紹介するつもりでしたが、時間の都合で3ゲームになってしまったので、飛ばした1ゲームの簡単な解説を出しておきます。2004年はKramnik とLeko が世界チャンピオンの座を争った、私にとっては思い出深い年です。このゲームはチャンピオンマッチからではないですが、Leko - Kramnik の中では、有名なものだと思います。

Leko, P (GM, HUN, 2722) - Kramnik, V (GM, RUS, 2777)
Linares 2004 (14)

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e5 6. Ndb5 d6 7. Bg5 a6 8. Na3 b5 9. Bxf6 gxf6 10. Nd5 f5 11. Bd3 Be6 12. O-O Bxd5 13. exd5 Ne7 14. Qh5 e4 15. Be2 Bg7 16. c3 Rc8!?



Kramnik は現在でこそ、Berlin やPetroff といった堅い1.e4 対策を好みますが、Classical とSveshnikov というSicilian 2本柱を武器に、黒番でも勝ちにいくスタイルをとっていたこともありました。Sveshnikov はセンターのアウトポストとバックワードポーンという、分かりやすい弱点を黒が抱えますが、その分、両サイドでのカウンタープレーに期待することができる面白いオープニングです。

17. Nc2 Rc5 18. Ne3 f4 19. Nf5 O-O


初めてこの手を見たときは、かなり驚きました。黒はg7 のビショップを取らせてしまっても、Ne7-Ng6 からキングをカバーし、満足に戦うことができるでしょう。

20. a4!+/=



LekoはSveshnikov でスタンダードな作戦通り、クイーンサイドを突破してルークをアクティブに使い、わずかなアドバンテージを得ます。

20... Nxf5 21. Qxf5 Qe7 22. axb5 axb5 23. Qxf4 Rxd5 24. Rfd1 Re5


マテリアルはイコールですが、d6 に弱点を抱えているため、白はわずかに指しやすいでしょう。黒は丁寧に耐える展開を選ぶことも考えられますが、この試合ではKramnik はポーンを捨て、キングサイドのアタックに期待します。

25. Qe3 f5 26. Qb6 f4 27. Qxd6 Qg5! 28. f3 e3



こういったパスポーンは、きっちりブロックしていれば大丈夫だと理解はできるものの、実際に相手に持たせるのは嫌なものです。ミスが出た際に、e3 のポーンはいきなり強力な武器になるためです。

29. Ra7 Kh8 30. Qd7?


ここは30. Rd7! と指し、オープンファイルのコントロールを強めておき、黒のカウンターに備えておくべきでした。

30... Rg8 31. Qh3? Qg6!



白はg2 を守りにいきますが、このようにクイーンをパッシヴなディフェンスに使ってしまえば、黒に大きなチャンスが出てきます。Kramnik はクイーンの利きを切り替え、Qg5-Qg6-Qc2 を狙い、引き続きg2、さらにはe2 のビショップを攻撃します。この時、e3 に刺さったポーンは、f2 のマスをコントロールする、黒の重要な武器となります。

32. Rad7 Rh5! 33. R7d6 Bf6! 34. Rxf6 Qc2!


黒は一時的にビショップとルークを捨てますが、g2 とd1 のルークを同時に狙うことで、決定的なアタックを作ります。

35. Qxh5 Qxe2 36. g4 Qf2+ 0-1



私がSveshnikov を指していた時期に研究した、思い入れのあるラインのゲームでもありました。オープンになったgファイルからのアタックは、Sveshnikov の魅力の1つではありますが、それに巧みなクイーンのマヌーバリングを組み合わせた名局でした。

2月のレクチャー予定日は14日の土曜日、テーマはAnand にしようと思っています。そろそろ世界チャンピオンシリーズも終わりですかね。皆さん、引き続き、よろしくお願い致します。

2015/01/14

London Holidays


今日の夕方、無事に日本に帰ってきました。最後の4日間は1日だけ試合があったものの、基本的にロンドンでは、ゆっくりと過ごすことができました。大会以外にロンドンでどんなことがあったか、写真を交えて振り返ってみようと思います。

ロンドンに到着した初日の金曜日、私はスタンステッド空港からバスでベーカーストリートへと向かいました。空港での両替レートが悪すぎたため、ほとんどイギリスのポンドを持たずに町中に出て、伊藤さんとの待ち合わせまでぶらぶらします。金曜日のロンドンは割と天気が良く、氷点下のブダペストと比べれば、遥かに暖かくて快適でした。


ベーカーストリートに来たからには、シャーロックホームズ... も良いですが、チェスプレーヤーとしては、ロンドンチェスセンターへも足を運びたいところです。良質で様々なチェスセットの他、最新のチェス書籍をチェックすることができます。


こちらの棚は、全てFrench Defence です! 最新本のコーナーにも、French は2冊、知らない本があったので、早速チェックしてみました。French Defence の独特さが持つ魅力は、いつの時代もマニアを惹きつけますね。


食事の写真も少しだけ。イギリスの料理はあまり評判がよろしくないですが、ロンドンで食べるならば中華かインド料理が安全だとよく聞きますね。金曜日は初めて伊藤家の皆さんとお会いし、中華をご馳走になりました。


土曜日は試合一色だったので、それは飛ばして日曜日へ。知希くんとは、チェスだけでなく、将棋や番犬ガオガオ、スライムレースといったゲームを楽しみました。スライムレースとは、ドラクエでお馴染みのスライムというモンスターを各自で進ませ、自分の予想した順位でゴールさせて、ポイントを獲得するゲームです。初めてプレーしましたが、とても白熱して楽しむことができました。


日曜の夜は、昨年からロンドンでの生活をスタートさせた、佐野ご夫妻の家にお邪魔してきました。私はチェスを始めて14年目になりますが、それは中高の先輩たちとも、14年の付き合いになるということです! 3代上の部長として、中学時代お世話になった佐野さんと、こうしてロンドンで会うことになるとは、チェスを始めた頃には想像もできなかったでしょう。お二人とも、暖かく迎えてくださって、ありがとうございました!


楽しい時間はあっという間に過ぎ、月曜日にはもう日本に帰らなくてはいけません。この日は一人でロンドンの町をぶらついてみることにします。ロンドンではミュージカルが人気で、日本でもおなじみのライオンキング、マンマミーアなどのポスターが、地下鉄のエスカレーターに所狭しと張られています。次回ロンドンに行く際は、ミュージカルを見に行く時間も作りたいですね。


この日は1日券を買って、ボンドストリートで降り、ロンドン一だというショッピングストリート、オックスフォードストリートを抜けて、ピカデリーサーカスまで歩いてみることにします。ピカデリーサーカスの広場は思ったよりも狭く、目印のエロスの像も、「これなの?」という印象でした。3年前に訪れたナショナルギャラリー前の、トラファルガー広場のほうが賑やかでしたね。


飛行機の時間まであまり余裕がなかったので、見る場所はかなり絞らなければいけません。結局、いくことに決めたのは自然史博物館でした。ここが個人的には大当たりで、久々に見る恐竜の化石たちを楽しむことができました。自分がこれほど恐竜好きだったとは、意外な発見です(笑)


これはイルカの仲間でしょうかね。恐竜もそうですが、こうした生物たちがウヨウヨしている時代に生まれなくて、本当に良かったと思います。もしそうであれば、チェスを楽しむ余裕などないでしょう!


こうした燃え盛る地球に飲み込まれると、そこは地震と火山についての展示スペースでした。自然史博物館はロンドンの子供たちに大人気で、この日も学校の社会科見学でしょうか、小学生か中学生の団体が目立っていました。彼らははしゃいだ様子でこのエスカレーターを上っていきますが、私は結構怖かったです...


Japan という文字は発見できませんでしたが、これは日本の絵で間違いありません。大きなナマズが地震を起こしているとは、昔の人も面白いことを考え、そして信じていたものです。最も科学的なメカニズムが分からない時代というのは、そういうものかもしれませんね。


他にも虫、魚、鳥、哺乳類、鉱石といった分類で展示スペースが作られていましたが、一番人気はやはり恐竜のようです。そんな恐竜の代表と言えば、こちらのT-rex でしょうかね。ジュラシックパークのような、恐竜映画でもお馴染みです。


そして、ここにもチェスセットがありました! イングランドやスコットランドは、主に著作業でプロとして活動するGM が多く、チェスは人気のゲームなのでしょう。また、ロンドンでのトーナメントに参加できる日を楽しみにしています。

他にも紹介したい写真は多くありますが、きりがないのでこれぐらいにしておきましょう。これで私の1ヶ月のヨーロッパ遠征は終わりですので、これからは日本で、皆さん、よろしくお願い致します!

2015/01/11

NCC New Year Rapid Play


ロンドンは、遠征最後の休暇のつもりで訪れましたが、ロンドン郊外のサリー州で行われたラピッド大会に、私の生徒である伊藤知希くんと参加してきました。知希くんには、去年からオンラインでのレッスンを行っていましたが、一緒に試合をするのはもちろん、会うのも今回が初めてです。サリー州までは車で1時間ほどで、参加者は上下クラスで27名でした。

Kojima, S (FM, JPN, 2384) - Varley, D (ENG, UR)
NCC New Year Rapid Play (7)

1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nd2 Nf6 4. e5 Nfd7 5. Bd3 c5 6. c3 Nc6 7. Ne2 Qb6 8. Nf3 cxd4 9. cxd4 f6 10. exf6 Nxf6 11. O-O Bd6 12. b3 O-O 13. Bb2 Bd7 14. Ng3 Bf4
15. Ne5 Qc7 16. Re1 Rad8 17. Qc2 Qd6 18. Qe2 Rde8 19. Rad1 Nb4 20. Ba3 a5 21. Bb1 Qb6 22. Nxd7 Nxd7 23. Nh5 Bb8 24. Qg4 Rf7 25. Bc1 Nf6 26. Nxf6+ Rxf6 27. Bxh7+!+-


27... Kf8 28. Bg5 Qd6 29. g3 Rf5 30. Bxf5 e5 31. dxe5 Rxe5 32. Bf4 Rxe1+ 33. Rxe1 Qc6 34. Bg6 Ba7 35. Qf5+ Qf6 36. Re8# 1-0


この大会、白を4回引いて、2回は1. e4 を指してみました。帰国後も、多少は1. e4 を試してみたいですね。


最終結果は、私が5勝2ドローでオープンクラス優勝、知希くんは6勝1敗でU1600 クラス優勝でした! 2人ともリスト1 スタートでしたので、優勝は順当な結果ではありますが、ダブル優勝は当然嬉しいですね。


朝8時過ぎのロンドンの日の出です。(室内から撮っているので、電灯が写っていますが...) 今日、日曜日は、ノルウェーで対戦したスコットランドのIM、Andrew Greet から、4NCL というイギリスのチーム戦に誘われていましたが、会場が遠すぎるので、そちらは残念ながらパスすることにしました。今日はもう少しゆっくり知希くんと過ごし、夕方には佐野さんに会いにいきます。

2015/01/10

A Long Way to IM


暮らしなれたブダペストを離れ、昨日、ロンドンに到着しました。ケチケメートではさほどでもありませんでしたが、ブダペストを離れる際は、感慨深いものがありました。2010年の3月に、初めてFirst Saturday に参加するためにブダペストを訪れてから、5年近くの月日が流れています。4回目となる今回の単独遠征で、ようやく目標だったIM を獲得して、ハンガリーでの生活を終えることができます。

FM のタイトルを獲得した2009年、レイティングは順当に2330台まで伸び、このまま順当にいけば、IM ノームの獲得や2400 到達というのは、さはど難しくないのではないかと、20歳の私は考えていました。ところがどっこい、2010年から2011年にかけては、FIDE 公式戦であまり勝つことができず、レイティングを連続で落として2200台に戻ってしまいました。当時はそれが一時的な不調によるものだと思っていましたが、そうしてレイティングをふらふらさせることも含め、まだ経験の浅いFM の腕前だったのだと、今では理解できます。当時はIM, GM との対戦経験も少なく、そうしたマスターたちがどういったものなのか、まだ分かっていなかったでしょう。


2012年最初のFirst Saturday にて

本気でIM へのチャレンジを始めるため、2264 というレイティングで、ブダペストへの長期遠征に踏み切ったのは、2012年5月のことです。周りにはレイティングを140上げ、IM ノームを3つ取るためにブダペストに来たのだと、自分で言葉にして伝えておきながら、それは果てしなく遠い目標のように思えました。それでも、2年半で250試合以上を戦い、それを現実のものにできたのは、私を支えてくれた日本のチェスファン、家族、友人、そしてミーシャのおかげだと思っています。皆さん、本当にありがとうございます。

FIDE 公式戦を多くこなしただけでなく、アンダンテのお客さんや、ブダペストの日本人学校の子供たちにチェスを教えたこと、セーチェニ温泉や西駅でチェスを指したこと、ポルガーのチェスフェスティバルに友人たちと参加したことなども、とても良い思い出です。さらにブダペストやケチケメート、その他の遠征地では、チェスに関係ない多くの人たちとも出会い、そして別れました。そうした経験がこの数年、私を大きく成長させてきたと思っています。ハンガリーを遠征地に選び、思い切って日本を飛び出したこと、本当に良かったと今では思えます。


去り際には、空港のMemories of Hungary というお土産コーナーに、チェス(チェスと言うより、ポルガー関連グッズ?) が並んでいるのも発見しました。こうした光景も、チェスの盛んなハンガリーならではのことでしょう。多くのチェスプレーヤーに愛され、彼らを迎えてきたハンガリーを去ることは寂しいですが、またGM を真剣に目指す段階になった際、戻ってくることになるでしょう。それまでは日本でできることをこなしつつ、IM というタイトルの重さを噛みしめようと思います。

最後に、今回の記事が私のブログ開設から、ちょうど1000回目の更新となります。4年近くに渡って見守って下さった読者の皆さんに、あらためてお礼を申し上げたいと思います。今後とも、よろしくお願い致します。

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