2016/08/16

Japan League 2016 Day4 Tournament Report


優勝したGM Lu Shanglei (中央)と、入賞者たち Photo by Hasegawa

4日間のJapan League は、今日最終日を迎え、無事に閉会となりました。GM同士のドロー以外、6戦全てを勝った中国のGM Lu Shanglei が、6.5/7 で堂々の優勝です。2年前に新潟で試合をした時も思いましたが、とても手が早く、そして強い! World Blitz では、Carlsen を破るなど、世界のトップクラスとも張り合うGM の実力は伊達ではありません。Lu Shanglei を含め、入賞した皆さん、おめでとうございます!

1st Place Lu Shanglei (GM, CHN, 2607) 6.5/7
2nd Place Zhou Jianchao (GM, CHN, 2616) 6/7
3rd Place Aoshima Mirai (JPN, 2207) 5.5/7
4th Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2394) 5.5/7
5th Place Shinoda Taro (JPN, 1955) 5.5/7


最終順位を決める大事な最終戦、青嶋くんは馬場さんに、私は松尾さんに、篠田くんはWang Jue に勝って5.5P を決めました。唯一よろけたのはGM Zhou Jinahcao で、入江さんが2B で苦しい中盤から粘りに粘り、最後はルークエンディングでドローをもぎ取りました。2600台のGM から公式戦でポイントを取った日本人は、これまで数えるほどだと思います。入賞こそ逃しましたが、入江さんもおめでとうございます。

今年の参加メンバーを考えれば、去年に続いての連覇は難しかったですね。それでも、5勝1敗1ドローで、他の入賞者にしかポイントを落としていないというのは、十分な戦績だと思います。レイティングは+4 で、試合の内容もまずまずでしょう。最後の松尾さんとの試合では、非常に面白いタクティクスが決まったので、そちらをご紹介します。

Kojima, S (IM, JPN, 2394) - Matsuo, T (JPN, 2245)
Japan League 2016 (7)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 g6 4. d4 cxd4 5. Nxd4 Bg7 6. e4 Nc6 7. Be3 Ng4!?



この変化は10年ぶりくらいに指されました。当時は何も知らずに指していましたが、今回は松尾さんが指すような予感がして、前夜にある程度調べてきました。

8. Qxg4 Nxd4 9. Qd1 Ne6 10. Qd2 O-O


私が調べた変化では、10... Qa5 11. Rc1 b6 12. Be2 Bb7 13. f3 g5!? と指すのが面白いようです。黒はキャスリングをあきらめ、f4 のマスを抑えつつ、キングサイドから攻撃を仕掛けます。

11. Be2 b6 12. O-O Bb7 13. f3 d6 14. Rfd1 Rc8 15. Rac1 Kh8



このような展開は7... 0-0 の一般的なMaroczy Bind の変化で指しなれています。ここからは、黒のf7-f5 を警戒しつつ、プレッシャーをかけられるポイントを探します。

16. Bf1 Qe8 17. Nb5!?


黒のb7-b6 の弱点は、a7-a6 をついていないために、b5 のマスへの白ピースの侵入を許してしまうことです。それを防ごうとa7-a6 を突けば、今度はb6 のポーンが弱くなります。白はa7 のポーンを一時的にでも攻撃しておくことで、黒のピースを守りに縛らせます。

17... Ra8 18. b3 Rg8 19. g3!



ここは迷いましたが、Bf1-Bh3 とビショップを組み直し、e6 のナイトを狙うことにします。それを防ぐためには、黒はf7-f5 をここで指すしかありませんが、そうなればe6 のナイトが浮くことになるため、白にとってのチャンスとなります。

19... f5 20. Bh3! Qf7 21. Rf1! fxe4?


私はe4 のポーンを取られないよう、あらかじめfファイルにルークを回しておきました。それに対して松尾さんは、fファイルを開く危険を過小評価し、白の狙いに乗ってしまいます。21... Rgf8 と指していれば、黒はやや劣勢ながらも試合を続けられたでしょう。

22. fxe4 Bf6 23. Rxf6!!



他にも候補手はありますが、少し考えてエクスチェンジを捨てることにしました。最初に考えたのは、e4-e5 を押し込んでからクイーンを突入させるアイディアで、そちらも白が有利になります。23. e5!? dxe5 24. Qd7 Nd8 (24... Bc8 25. Qd5 Ng5 26. Qxf7 Nxf7 27. Bg2 Rb8 28. Nxa7+/-) 25. Nd6 exd6 26. Qxf7 Nxf7 27. Rxf6+/-

23... Qxf6


23... exf6 24. Nxd6 Qd7 25. Nxb7+- ならば、白はすぐに駒得で分かりやすく勝勢です。

24. Rf1 Qe5 25. Bxe6 Qxe6 26. Bd4+ Rg7 27. Qh6 Qg8



エクスチェンジを取りかえせることを確定させた白は、間髪入れずに黒キングを追い詰めにいきます。27... Rag8 28. Rf8!+- (28. Rf4! もOK) ならば、黒はメイトを防ぐためにクイーンを捨てるしかありません。

28. e5!


この手まで読んで勝ちを確信しました。もう一つ、g7 のルークを攻撃できれば白の勝ちですが、28. Nc7? e5! は失敗です。黒のe7-e5 を防ぎ、g7 のルークへの攻撃を続いけるためには、先にe4-e5 と白からポーンを押し込む必要があります。

28... Rf8


28... dxe5 29. Bxe5+- と進めば、黒はここから何もできず、Nb5-Nc7-Ne6 を待つだけとなります。黒ルークが8段目から離れれば、クイーンでg7 のルークを取り、Rf1-Rf8 でメイトです。 本譜ではルーク交換には成功しますが、白勝ちのエンドゲームへと一直線に進みます。

29. Rxf8 Qxf8 30. exd6 exd6 31. Nxd6 Bc6 32. Nc8! Kg8 33. Qxg7+ Qxg7 34. Bxg7 Kxg7 35. Nxa7 Bd7 36. b4 1-0



ナイトで2つのポーンをかすめ取り、最後はcポーンを進めていけば勝負ありです。今年のゲームの中では、全日本の馬場さんとの試合に次いで、お気に入りとなりました。

今年は過去最高の59名の参加者が集まり、Japan League も他と同じような、様々なレベルのプレーヤーが参加するオープントーナメントになりつつあることを感じます。来年以降も、中国のマスターたちとの交流を続けることを願っています。それでは参加者の皆さん、4日間お疲れ様でした!


表彰式後は、Zhou Jianchao とLu Shanglei の2人による同時対局が行われました。私は最後まで残らなかったため、詳しい結果は後日伺おうと思います。

2016/08/15

Japan League 2016 Day3 Tournament Report

写真は撮り損ねてしまいましたが、3日目のレポートです。今日は4連勝同士で、GM Zhou Jianchao と対戦して負け。続いて、同じくGM に負けた青嶋くんと当たり、ドローという結果でした。青嶋くんとのゲームは、少し嫌な序盤を乗り切り、相手のミスで有利なエンドゲームに持ち込めたにもかかわらず、ドローを許してしまって残念です。

Aoshima, M (JPN, 2207) - Kojima, S (IM, JPN, 2394)
Japan League 2016 (6)

1. e4 c6 2. Nf3 d5 3. Nc3 Nf6 4. e5 Ne4 5. Nxe4 dxe4 6. Ng5 Qd5 7. d4 exd3 8. Bxd3 Qxe5+ 9. Be3 h6 10. Nh7 Bf5 11. Nxf8 Rxf8 12. O-O Nd7 13. Re1 Bxd3 14. Qxd3 Qc7 15. Rad1 O-O-O 16. Qa3 a6 17. Qxe7 Nf6



今日もエンドゲームからの解説です。黒は序盤でもらったポーンを返し、クイーンを交換してエンドゲームに持ち込もうとします。

18. Qxc7+ Kxc7 19. c4


試合後、私はビショップでナイトを取りに行くのが良いのではないかと指摘しました。19. Bd4! Rfe8 20. Bxf6 gxf6+/= ならば、白が良いでしょう。ポーンのある列が全て同じで、ルークも交換してしまえば、ビショップナイトの差はあまり出ないと思います。ならば、ビショップはポーンストラクチャーを乱すために消して勝負するのが良いでしょう。

19... Rfe8 20. Kf1 Kc8!?



ここは20... b5 と悩みましたが、まずは黒キングを退いてビショップチェックを外し、様子を見ることにします。

21. a4?! Rxd1 22. Rxd1 Ng4!


これはありがたいと思いました。Re8-Re4 があるため、Be3-Bf4 とは避けることができません。次もビショップをあきらめ、23. Ke2 のほうが良いですが、青嶋くんはさらに痛いミスをしてしまいます。

23. Bd4? Nxh2+! 24. Kg1 Rd8!



彼が見落としていたのはこの手で、黒はナイトを捨ててもピンを利用してビショップを取りかえすことができます。これは黒勝ちのエンドゲームになったかと思いましたが、ここから私も判断ミスが出ます。

25. Kxh2 c5 26. Kg3 cxd4?!


単純なポーンエンディングのルールは基本的に理解しているつもりですが、ここでルークを交換したポーンエンディングが黒勝ちであるとは読めませんでした。26... Rxd4! 27. Rxd4 cxd4 28. a5 (28. Kf3 Kc7 29. Ke4 Kb6 30. Kxd4 Ka5 31. Kc5 Kxa4 32. Kb6 Kb4 33. Kxb7 Kxc4 34. Kxa6 h5-+ これは分かりやすく黒勝ちですが、試合中はKc7-Kb6-Ka5 と上がるルートが見えていませんでした。) 28... g5! 29. Kf3 f5 30. Ke2 h5 31. Kd3 h4 32. Kxd4 g4 33. Ke3 h3 34. gxh3 gxh3 35. Kf3 f4!-+


この形は覚えておくべきですが、ここまで読み切るのは相当大変です。白はツークツワンクになっており、黒の勝ちがはっきりとわかります。36. b4 Kd7 37. b5 Kd6-+

27. Kf4 Rd6



検討では、b2-b4 を防いで黒勝ちなのではないかと意見が出ましたが、27... a5 28. Ke4 Kc7 29. Kd3! (29. Rxd4 Rxd4+ 30. Kxd4 Kc6-+ このポーンエンディングはhファイルにパスポーンを作るチャンスのある黒が勝つでしょう。) 白はこのように本譜と同じように、ポーンをキングでブロックすれば粘れそうです。

28. b4 Kc7


私はa7-a5 をどこかでやりたかったのですが、ここは1つ良いタイミングでした。28... a5! 29. bxa5 Rf6+ 30. Kg3 Ra6 31. Rxd4 Rxa5 32. Rf4 f6-/+ と進めば、次にcポーンを取って、再び黒のポーンアップです。

29. Ke4 Re6+?!



このチェックは完全に余計でした。d3 にキングをよらせてから、なにか手が作れるかと思っていましたが、実際にはあまり有効なアイディアはありません。

30. Kd3 Rf6 31. Rd2 Rf4 32. g3 Rf3+ 33. Kxd4 Rb3 34. b5 Ra3 35. Kc5!


時間切迫で、まさかの負けもあるかと思いましたが、キングの位置が良いだけでは、白はポーンダウンを跳ね返して勝つところまではいけません。

35... Rxa4 36. b6+ Kc8 37. Re2 1/2-1/2



最後はルークがe,d ファイルを往復してドローです。

この日もZhou Jianchao とLu Shanglei が止まらず、直接対決での短手数ドローのみで、2人が5.5/6 でリードしています。続く5/6 で3位につけているのは、青嶋くんに敗れたものの、唐堂くん、古谷くん、馬場さんに勝ったNi Shiqun です。私たち4.5/6 を含め、最終戦のペアリングは以下のようになっています。

Lu Shangeil(5.5) - Ni Shiqun(5)
入江(4.5) - Zhou Jianchao(5.5)
小島(4.5) - 松尾(4.5)
篠田(4.5) - Wang Jue(4.5)
馬場(4) - 青嶋(4.5)


それでは皆さん、最後まで悔いの残らないように頑張りましょう。私も入賞圏内に入れるよう、最終戦頑張ってきます!

2016/08/14

Japan League 2016 Day2 Tournament Report


1Bでプレーを続けるGM Zhou Jianchao

Japan League は2日目から、上位同士のぶつかり合いが多くなります。私は初日に続き、なんとか連勝を果たし、GM 2人と同じ4連勝となっています。簡単にですが、4R のゲームをご紹介したいと思います。

Yamada, K (CM, JPN, 2082) - Kojima, S (IM, JPN, 2394)
Japan League 2016 (4)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Bb4 5. cxd5 exd5 6. Bg5 h6 7. Bh4 c5 8. dxc5 Nbd7 9. e3 Qa5 10. Qd4 O-O 11. a3 Bxc3+ 12. Qxc3 Qxc3+ 13. bxc3 Ne4 14. c4 dxc4 15. Bxc4 Ndxc5 16. O-O g5 17. Bg3 Nxg3 18. hxg3 Be6 19. Rac1 Rac8 20. Nd4 Bxc4 21. Rxc4 Nd3 22. Ra4 a6 23. Nf5 Kh7 24. Rb1 Rc6 25. Rd4 Nc5 26. g4 Re8 27. f3 Ree6 28. Rd5 Rc7 29. Rc1 Rec6 30. Nd4 Nb3 31. Rxc6 bxc6 32. Re5 Nxd4 33. exd4 Rd7 34. Rc5?!



苦しい中盤を乗り切った黒は、なんとか駒を捌いてドローに持ち込めそうな状況までもってくることができました。そんな中での白の緩手は、私を少し勝負する気にさせます。試合後に山田くんに指摘したのは、34. Ra5 からaポーンとdポーンを交換し、確実にドローにするアイディアです。

34... Rxd4 35. Rxc6 a5 36. Rc5 Ra4 37. Rc3


このルークエンディングもドローですが、白はa3 のポーンの守りにルークを使わなければいけない分、駒の働きが制限されています。ここからはキングを上げて、ポジションの改善を図ります。

37... Kg7 38. Kf2 Kf6 39. Ke3 Ke5 40. Kd3?



時間が増える40手目で、白は負けになるブランダーを指してしまいました。私も最初はオポジションを取り続けるつもりでしたが、よく見れば黒キングはキングサイドに侵入し、g2 のポーンを狙うチャンスになっています。代わりに40. g3 であれば、黒も勝つことはできなかったでしょう。

40... Kf4! 41. Kc2 Kg3 42. Kb3 Rf4 43. Rc2 Rd4 44. Re2 Rf4 45. Rd2 f5!


ルークが1段目からg1 に回り、g2 をアタックするようであれば、白もポーンを守るのをあきらめ、f7 への反撃でドローチャンスを作るでしょう。黒が確実に勝つためには、fポーンをついて、hポーンを伸ばせるようにする必要があります。

46. gxf5 Rxf5 47. a4 h5 48. Kc4 h4 49. Re2 h3 50. gxh3 Kxh3 51. Rb2 Rxf3 52. Rb5 Rf4+!-+



この手が勝つために、とても重要なアイディアです。お互いにパスポーンを進めあうルークエンディングとなりますが、白がルークを捨ててgポーンを取りに来た場合でも、勝てるかどうかを黒は考えなければいけません。白のaポーンを黒がルーク1つで取りに行けるようにするためには、4段目でのカットオフが必要です。

53. Kb3 g4 54. Rh5+ Kg2 55. Rxa5 g3 56. Rg5


56. Rc5 Kh3 57. Rh5+ Rh4 58. Rg5 g2 でも、黒はルークをもらってから、1ポーンを取りに行って勝ちとなります。

56... Kf2 57. a5 g2 58. a6 g1=Q 59. Rxg1 Kxg1



このような状況になった際に、黒のルークが4段目でカットオフをしているため、白はキングを上げられないのがポイントです。もし、白キングと黒キングがもう1段進んでいる形であれば、白キングは1ポーンの守りに間に合うため、ドローになります。

60. a7 Rf8 0-1


このゲームを勝ったのは大きく、4連勝でGM Zhou Jinachao, GM Lu Shanglei に食らいついてトップを保っています。明日はいよいよ、私と青嶋くんが1,2B に上がり、GM 戦に臨みます!

小島(4) - Zhou Jianchao(4)
Lu Shanglei(4) - 青嶋(4)
古谷(3) - Ni Shiqun(3)
小林(3) - Wang Jue(3)
馬場(3) - 大山(3)
Alex(3) - 山田(3)


この5R が私と青嶋くんにとっての正念場になると思います。久々の2600台との対戦ですので、しっかりと勉強させてもらおうと思います。皆さん、3日目もよろしくお願い致します!


3R では青嶋くんがWGM Ni Shiqun を破り、初めて中国勢に土を付けました。


お昼ご飯は奮発して、こんな大盛の刺し身定食にしたのが良かったかもしれません(笑)

2016/08/13

Japan League 2016 Day1 Tournament Report


今日から4日間、夏の祭典、ジャパンリーグが蒲田で開催されています。中国からGM2人、WGM2人がゲストとして参加しており、昨年を上回る59名の参加者が集まっています。私は初日の今日、初対戦となる東北の本田くんと、麻布の先輩である坂井さんに勝ち。13人いる連勝グループに入っています。

Sakai, E (JPN, 2019) - Kojima, S (IM, JPN, 2394)
Japan League 2016 (2)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3 O-O 5. Nge2 c6!?



サマーオープンに続いて指された、Nimzo-Indian Rubinstein 5. Nge2 には、新しい変化を試してみようと思っていました。現在進行中のWorld Junior では、アメリカのXiong, Jeffery がこの変化で黒勝ちとなっています。アイディアは、メインラインのようにBb4-Be7 と退くのではなく、Bb4-Ba5-Bc7 と退いて、ビショップをゲームに戻すことです。

6. a3 Ba5 7. Qc2 d5 8. Ng3 Nbd7 9. b4 Bc7 10. Bd3 dxc4 11. Bxc4 e5=


私はすでにこのポジションで満足しています。形はSemi-Slav Anti-Meran に似ていますが、2手かけて到達したg3 のマスが、f3 よりもナイトにとって良いのかはやや疑問です。

12. O-O exd4 13. exd4 Nb6 14. Bd3 Re8!?



私はここではd4 を取らず、あえて弱点として残してプレーします。14... Qxd4 15. Bg5 h6 16. Rad1 Qe5 17. Be3 と進めば、白はピースの展開の早さと黒キングへの攻撃のチャンスで、ポーンの代償があるでしょう。

15. Bb2 Be6 16. Nce4 Nxe4 17. Bxe4 Qh4


IQP を持たせている黒にとって、マイナーピースの交換は望むところです。d5 のコントロールは多少気にしつつも、h2 への攻撃を見せて、g3 のナイトをの動きを制限します。

18. Bd3 Nd5 19. b5?!



b2-b4 と伸ばした以上、こうして仕掛けたくなる気持ちはわかりますが、開いたcファイルを使いやすいのは黒です。19. Rae1 のような手のほうが良かったでしょう。

19... cxb5 20. Bxb5 Rec8 21. Qd2 Bf4 22. Qd3 Nf6!?


最初の作戦は、22... Bd6 と退き、cファイルを開いておいてからNd5-Nf4 とするつもりでした。しかし、少し気が変わってダイレクトにNd5-Nf6-Ng4 を狙ってみることに。気になるh2 へのアタックをどのように受けるべきか、白はしっかりと読まなくてはいけません。

23. d5?!



ポーンを捨ててb2 のビショップの利きを開くよりも、23. Rfe1 で堅実に守るほうがよかったでしょう。23. Rfe1 Ng4?! 24. h3 Nxf2 25. Kxf2 ならば白は大丈夫です。Rc8-Rc2 に対して、eファイルでルークを挟むディフェンスをできるのが、23手目のポイントです。

23... Nxd5 24. Rad1 Nf6 25. Bxf6?! Qxf6 26. Nh5 Bxh2+!


これでさらに駒得を拡大し、勝負ありです。初めて指すこの変化は、Semi-Slav に似ていて、自分にはとても指しやすそうだという感触をつかむことができました。

27. Kxh2 Qh4+ 28. Kg1 Qxh5 29. Ba4? Bc4 0-1



まだまだJapan League は始まったばかり。明日は中国のマスターたちに、日本の2200台たちが挑む注目の2日目です! 3R のペアリングは、以下のように発表されています。

Alex - Zhou Jianchao
Lu Shanglei - 松尾
青嶋 - Ni Shiqun
小島 - 大山
阿部 - Wang Jue
馬場 - Gary
山田 - 塩見


私は明日、イングランドのU17チャンピオン、大山彰人くんとの対戦です。出会った4年前よりも、はるかに実力は上がっているでしょう。初めての公式戦での対戦、とても楽しみにしています。

2016/08/12

Weekly Chess Puzzle Vol.28


Kalista, K (CZE, 1886) - Kojima, S (FM, JPN, 2364)
Pilsen Open 2013 (1)
Black to move


Al Modiahki, M (GM, QAT, 2559) - Kojima, S (JPN, 2272)
Dresden Olympiad 2008 (3)
Black to move

大会前夜ですが、久々にパズルを出題しておきます。1つ目はいくつか答えがあると思いますが、黒で確実に勝てそうなタクティクスを見つけてみてください。2つ目は懐かしい、ドイツのオリンピアードでのGM戦ですね。2008年以降、オリンピアードでGM からポイントを取っていないので、今年こそという思いがあります。いつも通り、答えが分かった方はコメント欄へどうぞ。

2016/08/11

Japan League 2016 Tournament Information


昨年のJapan League での、GM Zhao Xue との対戦

明後日の土曜日から4日間、8/13-16 の日程で、お盆の時期恒例のJapan League が蒲田の大田区産業プラザで開催されます。オリンピアードと同じ長い持ち時間で、7試合を戦うJapan League は、東京で最大の賞金トーナメント、そして日本で貴重なFIDE 公式戦です。そんなJapan League に今年は、中国からマスターが4名参加します。

昨年は、中国女子のリーダーともいえるGM Zhao Xue、そしてオリンピアードオープン優勝メンバーのGM Ni Hua が来日し、Zhao Xue のみがJapan League に参加しました。それが今年は、来日する4名のマスター全員が参加するとのことで、とても驚いています! 中国から来日するメンバーは以下の通りです。

Zhou Jianchao (GM, CHN, 2616)
Lu Shanglei (GM, CHN, 2607)
Ni Shiqun (WGM, CHB, 2398)
Wang Jue (WGM, CHN, 2369)


いずれも若く、これから中国代表に上り詰める可能性もあるプレーヤーたちです。3名は私よりもレイティングが高く、今大会の上位を独占される可能性も十分にあります。そうならないよう、私もしっかりとプレーをして、入賞に食い込みたいですね。私自身、Lu Shanglei、Wang Jue とは、2年前の新潟の大会で対戦しているため、再戦を楽しみにしています。

2016/08/09

Azabu Summer Training 2016


8月6日、7日の2日間、群馬県の草津で行われた麻布学園チェス部の夏合宿に、コーチとして同行してきました。当日は朝8時半に上野駅に集合し、草津へと北上します。特急で上野から長野原草津口までは2時間半ほど。そこからバスで20分ほどかけ、草津の温泉街へと向かいます。


温泉の町として有名な草津は、中心地から離れた駅にも、こうしてリラックスできる足湯がありました。今回は見るだけでしたが、ゆっくりと時間のある際には、何か所か足湯もめぐってみたいですね。


ホテルに13時前に到着し、チェックインと昼食をすばせれば、そこからはチェスの時間です。慎重に読むべきタクティクス、ピースの働きとそれを生かすアイディア、優劣を判断するポジションの要素などについて、いくつかのゲームを見せながらレクチャーを行いました。以下のようなポジションで、いくつかのグループに分かれた後輩たちに、黒の次の手とそのアイディアを考えてもらいます。少し早い17時の夕飯までは、あっという間に時間が過ぎていきました。


Andriasian, Z (GM, ARM, 2523) - Nepomniachtchi, I (GM, RUS, 2602)
World Youth Stars 5th 2007
Black to move


夕飯後は、15名の後輩たちに私が加わり、8B での1R ラピッドと検討を行いました。自分の試合をしながら、残りの7B 全てに目を通し、試合後の検討を8試合分行うのは大変でしたが、子供たちの思い切ったプレーを見ることができ、とても楽しかったです。みんな、まだまだ勉強しなければいけないことが多いですが、自分の課題を見つけるためにも、こうした試合と検討の繰り返しは大切ですね。


9時半に全ての検討を終え、この日は解散となりました。時間ができた私は1人、宿から歩いて10分程の湯畑へと向かいます。草津のシンボルである湯畑は、毎分4000リットルのお湯が湧き出ており、夜の時間帯はきれいにライトアップされています。上段から流れ落ちる温泉と夜景、足湯などを目当てにした観光客が、23時近くになっても、たくさん詰めかけていました。


翌朝は8時半から、レクチャーの再開です。春合宿ではポーンをテーマにしたエンドゲームが多かったですが、今回はほぼルークに絞りました。最初はあるポジションを見せて、白黒どちらをも持ちたいかを選んでもらい、8B に分かれて実際に指してもらいます。指してみると、思ったほど良くない、悪くないという感触が分かり、3種類のどの結果にもなっていたのが面白かったです。エンドゲームの強化というよりも、ルークというピースの特性について、考えてもらうのがメインのレクチャーで、他にも実戦的なアイディアを伝えることができたと思っています。


私は11時には、次の仕事に向かうために草津を後にしました。最後に少しだけですが、昼の湯畑も見ることができたのはラッキーでした。夜に見るのも良いですが、昼だと温泉の鮮やかさがより分かりますね! 草津は私にとって今回が初めてでしたので、今度はゆっくりと観光で訪れてみたいです。15人の後輩と顧問の先生たち、短い時間でしたがお世話になりました。明日、気を付けて東京に帰ってきてください。

2016/08/01

Chess Events Schedule on August 2016

今日で7月も終わり、明日からは8月が始まります。8月は私にとって、各地のチェスイベントに飛ぶことになる、最も忙しい月かもしれません。簡単にですが、8月のイベントをまとめておきます。

8/6-7 麻布学園チェス部夏合宿 at 草津


去年の夏、春に続き、今年も麻布チェス部の夏合宿にコーチとして同行することになりました。今年は8月頭、場所は群馬県の草津です。1泊2日で、2日目の夕方には都内に戻ってくる弾丸スケジュールですが、今年も後輩たちとの交流を楽しんでこようと思います。草津のような観光地も、こうしたイベントでなければなかなか行くことはないですからね。

8/13-16 Japan League at 蒲田



8月2つ目のイベントは、お盆の時期恒例の、Japan League です。昨年は中国からGM Ni Hua とZhao Xue が来日し、Zhao がこの大会に参加しました。今年も中国から、WGM Ni Shiqun を含め、マスターが参加するという情報が入っており、とても楽しみですね。私は昨年同様、フルでの参加予定ですので、オリンピアード前の調整として、今年もしっかりとプレーをしてきたいと思います。

8/22-23 暁星学園チェス部夏合宿 at 三ツ峠



Japan League 明けには、暁星学園チェス部の合宿で、昨年と同じ山梨県の三ツ峠を訪れます。こちらも麻布の合宿と同じ、1泊2日の慌ただしいスケジュールではありますが、都会の喧騒を離れ、チェスに触れてきたいと思います。せっかくですので、登山ファンが集まるという三ツ峠の登山コースを、少しだけでも体験してきたいですね。


8/27-28 名古屋オープン at 名古屋



オリンピアード前最後のイベントは、名古屋オープンです。こちらもすでにエントリーや宿の手配を済ませ、行く準備は万端です。昨年聞いた話では、名古屋のホテルは早めに埋まる傾向にあるそうですので、参加を検討されている方は早めに動いてみると良いでしょう。普段試合をしたり、顔を合わせられないメンバーとの再会も、とても待ち遠しいです。

名古屋から戻り、31日夜にバクーへと出発します。オリンピアードの日程などについては、また別の記事でご紹介したいと思います。この記事で取り上げていない、新潟でのチェスイベントなども盛り上がることを期待しています。8月も多くのチェスイベントに足を運びながら、暑い夏を乗り切りましょう!

2016/07/28

辺獄のシュヴェスタ チェスシーン


先日、クロノモノクロームでお世話になった小学館から依頼を受け、新しい漫画のチェスシーンの監修を行いました。今回はこれまで連続していた、クロノモノクローム、盤上のポラリスのような、チェスを主軸にした漫画ではなく、1話のみ単発の監修となります。その作品は、月刊!スピリッツで連載中の、辺獄のシュヴェスタです。

竹良実さんによる辺獄のシュヴェスタは、魔女狩りが行われていた中世ヨーロッパを舞台に、数人の少女たちの生き様を描いた物語です。詳しいストーリーや試し読みなどは、こちらからチェックできます。私は今回、月刊!スピリッツ最新号である9月号に掲載されている、辺獄のシュヴェスタ最新話のチェスシーンを監修させていただきました。9月号の発売は、本日7/27 です!(すでに日付が変わってしまいましたが...) 月刊!スピリッツを見かけた方は、ぜひ中身もチェックしていただけると嬉しいです。


2016/07/26

Summer Open 2016 Day2 Tournament Report


最終戦、難しいエンドゲームを指すMisha

一週間遅れですが、サマーオープン2日目のレポートです。日本チームのコーチであるセルビアのGM Mihajlo Stojanovic さんは、2日目も他を寄せ付けぬ強さを見せ、全勝でサマーオープン優勝を決めました。私を含め、3日目に敗れた3人は、いずれもエンドゲームで敗れています。GM とそれ以外のプレーヤーの一番大きな部分は、やはりエンドゲームのテクニックですね。

Stojanovic, M (GM, SRB, 2519) - Kojima, S (IM, JPN, 2396)
Summer Open 2016 (5)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 Be7 5. Bg5 O-O 6. Rc1 c6 7. e3 h6 8. Bxf6!?



オリンピアードに向け、Queen's Gambit Declined を研究していた私ですが、Misha がこの変化をチョイスしてくるとは意外でした。かつて私も白で研究したことがありますが、白で十分なアドバンテージがとれるとは思えなかったためです。

8... Bxf6 9. Bd3 Nd7 10. O-O dxc4 11. Bxc4 e5 12. Ne4


d4 をIQP にしない、安全な変化です。ここから一気にクイーンを交換し、エンドゲームにする流れが見えた私は、GM 相手に良い勉強だと考え、思い切って飛び込んでみることにしました。

12... exd4 13. Nxf6+ Nxf6 14. Qxd4 Qxd4!?



試合後、Misha からは、14... Bg4 と指すべきではないかと言われました。私はクイーン交換をした試合を見たことがあり、特に黒が悪いとも思っていませんでしたが、確かにそのようにピースを展開するほうが、白マスビショップの働きは良くなるでしょう。

15. Nxd4 Bd7 16. Rfd1 Rfd8 17. f3 Kf8 18. e4 Ke7 19. g4!?


私が白を持っていたとして、この手はまだ私には確信を持って指すことはできないでしょう。g4-g5 と押し込む狙いを見せつつ、f5 のマスをカバーします。f4 のマスが弱くなるなどの問題も見えますが、黒から特にそれを利用する方法はなさそうです。

19... c5 20. Nf5+ Bxf5 21. gxf5



こうして進めてみると、将来的にg7 を狙われた際にやや守りづらいことや、f7 への攻撃をかわそうとf7-f6 と突けば、g6 とg7 が弱くなることなどが分かります。どのようにその問題をカバーするかに時間を使って考えましたが、なかなか満足する答えは出ませんでした。

21... Rac8 22. Kf2 Nd7


22... Rd4!? 23. Ke3 も考えましたが、あまりルークを上げるメリットが見えてきません。そこでナイトの位置を切り替え、多少様子を見ることにします。

23. Ke3 Nb6 24. Rg1!?



ビショップを避けないという選択肢は、私の頭にありませんでした。しかし考えてみれば、24... Nxc4 25. Rxc4 Kf6 26. Rgc1 ならば、c5 へのプレッシャーがきつく、白が有利でしょう。ここはキングをf6 に上げ、じっとこらえます。

24... Kf6 25. Be2! Rd4 26. f4 Rc7 27. h4!


指された直後は意味の分からない手でしたが、進めてみると白のアドバンテージははっきりとしたものになります。私はこの局面で時間切迫でしたが、時間が豊富でも何をすれば良いか、黒で見つけるのは難しいでしょう。

27... Re7 28. e5+! Kxf5 29. Bg4+ Kg6 30. h5+ Kh7 31. Bf5+ Kg8 32. Rxc5+/-



g8 からf6 に上がってきた黒キングは、あれよあれよとg8 まで押し戻されてしまいました。ここからキングのアクティビティーの差をなんとかするのは、おそらく無理だと思います。

32... Rc4 33. Rc1 Rxc5 34. Rxc5 Kf8 35. Kd4 Re8 36. Rc7 Re7 37. Rxe7 Kxe7 38. Be4+-


時間を落とさないように指すのが精いっぱいで、この手を見落としていました。20手目でのビショップナイト交換がこのように生きてくるとは、チェスは奥深いものですね。

38... f6 39. Bxb7 Ke6 40. b3 Kf5 41. a4 1-0



隣でプレーを見ていても、実際に向き合って指していても、Misha からはたくさんのことを学ぶことができました。Misha がサマーオープンに参加してくれたことで、多くのプレーヤーが刺激をもらえたことと思います。オリンピアード前の重要な大会であるジャパンリーグでも、GM 相手にしっかりと勉強させてもらうつもりです。

サマーオープンを終え、日本を後にしたMisha は現在、スロバキアで開催されているU16 Olympiad のコーチを務めています。こちらはChess24 などでゲームがチェックできますので、日本のユースたちのプレーをしばらく見守ろうと思います。

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