2014/09/17

クロノ・モノクローム3巻発売情報


明日、9/18 に週間少年サンデーで連載中の、クロノ・モノクローム3巻が発売します。表紙はクロム、ケンペレンに引き続き、オーストリアの音楽家、モーツァルトですね。私が担当したコラムも載っており、彼にちなんで、音楽とチェスのことについて書いています。明日以降、本屋で見かけたチェスファンの方は、是非お手に取ってみてください。私の手元にもまだ献本が届いていませんが、中身をチェックできることを楽しみにしています。

2014/09/16

ABLE2014 AUTUMN 生涯かけて熟達し続けるための探究トレーニング


K・アンダース・エリクソン教授, ABLE 2014 HP より

11月30日に、慶應義塾大学三田キャンパスで行われる講演会に出席しますので、その告知をさせていただきます。こちらは、私の通っていたSFC 教授陣の企画で、将棋やチェスの競技者が、どのように技術を習得し、熟達していくかということをテーマにしています。私もSFC のOB として、お世話になった先生の一人に声をかけられていました。講演会メインのゲストは、熟達化研究の第一人者である、フロリダ州立大学の K.アンダース エリクソン教授、そしてこのブログでもお馴染み、プロ将棋棋士の羽生善治さん、慶應義塾大学の前塾長、安西祐一郎さんらです。

日時

2014年11月29日(土)10:30~17:30
2014年11月30日(日)13:00~17:45 (羽生さんと私が出席するのは、30日のみです。) 

場所

29日(土)内田洋行 東京ユビキタス協創広場CANVAS
30日(日)慶應義塾大学 三田キャンパス

登壇者

・Anders Ericsson (フロリダ州立大学教授)
・羽生善治    (プロ棋士)
・小島慎也    (プロチェスプレーヤー)
・安西祐一郎   (日本学術振興会理事長・中央教育審議会会長)
・銅谷賢治    (沖縄科学技術大学院大学教授)
・万小紅     (北京師範大学教授)
・加藤貴昭    (慶應義塾大学准教授)
・市川力     (東京コミュ二ティスクール探究プロデューサー ABLE主宰者)
・今井むつみ   (慶應義塾大学教授・ABLE主宰者)

このような面子の中で、200人以上を相手に自分が喋れるのかという不安はありますが、せっかく頂いた機会ですので、頑張ってきます。お世話になった先生たちや、在学中の後輩たちに、チェスの競技者として培ってきたことをお伝えできると良いですね。イベントの詳細は講演会の公式HP や、将棋連盟のHP で確認することができます。

ABLE2014 AUTUMN テーマ 生涯かけて熟達し続けるための探究トレーニング
羽生善治名人 講演のお知らせ

興味のある方は、是非お早めにお申し込みください。それでは、よろしくお願い致します。

2014/09/14

盤上の冒険者たち Event Report


Photo by Hasegawa

今日は神保町の三省堂書店本店で開催された、みすず書房主催の『ボビーフィッシャーを探して』 刊行イベント、盤上の冒険者たちに出席してきました。前半のスケジュール、14時から15時までは、羽生さんと訳者の若島さんの対談です。京都大学の教授で、詰将棋、プロブレム作家としても有名な若島さんとは、今回が初対面でした。

1時間の対談では、本の中身にはほぼ触れず、羽生さんがチェスの局面をどのように考えるかや、若島さんが詰将棋やプロブレムとどのように出会い、どのように局面を作っているかという話が中心でした。羽生さんの「ロジックで考えるだけでなく、パズルのピースのように、ひとまずアイディアを置いて、全体像をなんとなくイメージする」という表現は、私にとってとても印象的でしたね。対談の内容については、これから他の将棋ブログで、詳しく紹介される記事が出ると予測します!


このイベントで司会を務めてくださった赤田さん、ありがとうございました。羽生さんと若島さんに対し、「チェスやプロブレムと出会い、何を感じたか」という最初の投げかけだけで、最後まで2人が喋り続けたのは少し面白かったですね(笑) どこかで赤田さんから、また問いかけが飛ぶかと思いましたが、1時間の対談はあっという間でした。


第1部の対談に引き続き、第2部は15時過ぎから羽生さんと私の対局です。第1部のラストで色を決めて、私が黒と決まりました。写真は対局開始直前に「試合前のお気持ちを」と問われて答えるところ。

「緊張しています(笑) 今回お越しくださった皆さんの中には、チェスの試合をほとんど見たことがない、もしくは初めて見るというかたもいらっしゃると思います。そういった皆さんに、チェスって面白そう!と思ってもらえるように頑張ります。」 少し違いますが、こんな感じですかね。


そして対局スタートです。持ち時間は10分+1手30秒という、かなり珍しいものです。1.d4 がくるような私の予感は見事に外れました。

Habu, Y (FM, JPN, 2415) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Looking for Bobby Fischer Event

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nf3 e6 5. Be2 c5!?



前回のトレーニングでは、よりソリッドな5... Nd7 を試しましたが、今日は少しリスキーなラインを試してみることにしました。

6. Be3 Qb6 7. Nc3 Nc6 8. O-O Qxb2 9. Qe1 cxd4 10. Bxd4 Nxd4 11. Nxd4 Bb4 12. Rb1


私も試合中に気にしていた12. Ndb5!? は、最近、Caruana も指したということで、ピノーさんのおススメでした。

12... Qxc3 13. Rxb4 Qxe1 14. Rxe1 b6 15. Bb5+ Kf8 16. Nxf5 exf5 17. Ra4!?N



お互い研究通りに進み、黒は1ポーンアップ。しかし、キングサイドのルークの展開をが遅い、やや危険なポジションに到達しました。ここで羽生さんが指した手はなるほどと思いましたが、完全に新手だったようです。aポーンを長期的なターゲットとし、黒のピースを縛ります。

17... a5?!


いくつかの読み抜けがあり、aポーンを進める間違った決断をしてしまいました。17... Ne7 18. Ba6!? Rb8! (検討で羽生さんに指摘された手で、私の頭にはありませんでした。) 19. Rd1 g5!= これならば、黒は不満なく戦えるでしょう。18. Rb1 のつもりだったと羽生さんはおっしゃっていましたが、a7 がすぐに取られないならば、a7-a5 は単に1手かけて、b6 を弱めるのみでした。

18. Rb1! Ne7 19. Bd3 g6?!



この2つ目のミスで、黒は相当厳しくなります。19... Nc6! 20. f4 Rb8 21. Bxf5 Ke7+/= これならば、白がやや指しやすいものの、黒はルークの侵入を許していない分、本譜よりも苦しくはないでしょう。

20. Rxb6 Kg7 21. f4!


冷静な1手だと思います。e5 のポーンを守りつつ、バックランクメイトを消し、ゆっくりとポジションの改善を目指します。

21... Ra7 22. Rb5 Rha8 23. Kf2 Kf8 24. Ke3 Ke8 25. Rb6 Nc8 26. Rc6 Kd7 27. Bb5 Ke7 28. Rd4 Kf8 29. c4 dxc4?



ここまで苦しいながらも粘って指していた分、最後はもったいないミスでした。29... Ne7 30. Rf6 dxc4 31. Bxc4 Ng8 32. Rfd6+/- ならば白優勢ですが、決め手を作り出すのは、まだ時間がかかりそうです。

30. Rd8+ 1-0



対局中、近くではピノーさんによる大盤解説が行われていました。聞き手は、プロブレム作家ながら、ほとんどチェスは指したことはないという若島さんです。ピノーさんは競技からは遠ざかりながらも、アイディアは豊富で、局面を分析する力はまだまだ素晴らしいことを示してくれました。最新のゲームも多く研究しているようで、頭が下がります。


対局後には、羽生さんと私も大盤の前に出て解説を行いました。重要なポジションでタイムアップになってしまったのは残念でしたが、いつもと雰囲気の違う検討戦でとても新鮮でした。さらには、会場となった三省堂さんからは、イベントの記念として花束をいただいています。ありがとうございました!


最後の打ち上げの席では、競技のチェスだけでなく、プロブレムの世界についても、若島さんから色々と話を伺うことができました。若島さんがかつてプロブレムの世界選手権で解いたという問題を、2人で本気を出して考えますが、良いところまで解けている感触は掴みながら、最終的にキングを捕まえるアイディアが分かりません。出題されたのは、以下のポジションです。(関係ないですが、羽生さんはやはり眼光が鋭いですねw)


White to move and win

難しいです! 若島さんいわく、ヒントは若島さん自身は解けたこと、らしいですが、全くヒントになっていません(笑) これは羽生さんと私が、宿題としてお持ち帰りです。もちろん答えが分かった方は、コメント欄へどうぞ。エンジンでのチェックは無しでお願いします。

今回のイベントを開催するにあたり、主催のみすず書房を始め、会場となった三省堂書店、司会を務めてくださった赤田さん、大盤解説を務めてくださったピノーさん、電子ボードの管理や、イベント全体へのアドバイスをくれた尚広くん、電子ボードを快く貸して下さった田畑さん、カメラウーマンを務めてくれた長谷川さん、そしてメインゲストの羽生さん、若島さんたちには、深く感謝致します。そしてもちろん、本日会場にお越しくださった80名以上の将棋、チェスファンの皆さん、ありがとうございました。今回のイベントを楽しんでいただき、今後、なんらかの形で、チェスと関わるきっかけとしていただければ幸いです。本当にお疲れ様でした!

2014/09/13

第1回クラブ選手権 Tournament Preview Vol.2


会場は2日間、池上会館ですのでお間違えなく!

クラブ選手権まであと1日と迫り、エントリーされているチームも24チームまで増えました。100名を超えるプレーヤーが集まる国内公式戦は、1年でこのクラブ選手権のみでしょう。上位のチームを紹介しておきます。

東京大学チェスサークルOB

1 松尾朋彦 2243
2 塩見亮 2233
3 中村龍二 2124
4 吉村謙治 1894
Average 2124

IVL メンバーの3名に、大阪から松尾さんが合流した東京大学チェスサークルOBが、今大会の優勝候補大本命、リスト1 です。もともとは吉村先輩の代わりに、田中優毅さんを入れるという計画もあったそうな(笑) 2200台がいるのはこのチームだけですので、上の2人がどれだけ他チームの1B、2B を退けるかが、優勝争いのカギとなりそうです。

松戸チェスサークルA

1 中村尚広 2145
2 三ツ矢直人 2107
3 真鍋浩 2017
4 杉本公一 2014
5 國府大介 1939
Average 2071

毎年、優勝候補として名前が上がり、優勝経験もあるのは松戸A チームは、今年も2000台の常連メンバーを連れての参戦です。尚広くんは私と神保町のイベントに参加するため、2日目の15日のみの参加となりますが、彼なしでも十分に心強い面子ですので、初日を乗り切った2日目が、上位同士の直接対決になると予想します。

麻布学園チェスサークルOB

1 桑田晋 2199
2 汐口達也 2014
3 東芝輝臣 2006
4 篠田太郎 1961
Average 2045


麻布OB チームは南條、小島抜きでも十分優勝を狙える面子です。桑田くんは2年前のチーム選手権で1B 全勝、汐口くんも3B で5.5/6 でしたかね。IVL 初参加で上位勢を2人破った篠田くんも、すでに2000台の実力はあるはずです。私の出身サークルとして、皆さんの好ゲームを期待しています。

慶應義塾大学チェスサークルC

1 小林厚彦 2187
2 三阪晋 2122
3 大澤哲也 1937
4 石原達馬 1912
5 山田真明 1781
Average 1988

4つ目は厚彦くんの率いる慶應チーム、日吉での活動に参加するメンバーを集めていますね。2-4B の3名は昨年の優勝メンバーですし、今年もやる気十分でしょう。今年好調の厚彦くんが、このチームをどうやって束ねて牽引するのか、楽しみにしています。

それでは皆さん、明日から2日間、楽しんできてください。私は明日、神保町でボビーフィッシャーを探してのイベントに出席し、そちらで羽生さんとの対局をしてきます。そちらのレポートも、お楽しみに!

2014/09/08

第1回クラブ選手権 Tournament Preview Vol.1


2年前の優勝チーム

今週末、日曜と祝日の月曜は、池上で第1回クラブ選手権が開催されます。この大会は、昨年まではチーム選手権という名称でしたが、今年からチェス協会の公認クラブの中で日本一を決める大会である、という名目から、クラブ選手権へと変更されました。個人的にはクラブに関係なく(もちろん、クラブの正規メンバーだけで組むのもありで)、自由にメンバーやチーム名を決められるほうが、チーム戦としては面白いと思います。

そんな私の思惑はさておき、今年もすでに15チーム、70名以上がエントリーを済ませています。これは他の大会と比較しても参加人数が多く、大いに盛り上がることでしょう。(エントリーリストは、こちらから確認することができます。) エントリーリストを見るに、2100台が2人、2000台が2人いる松戸A が現時点でリストトップですが、さらに強いチームがこれからエントリーしてくるという情報も入っています。そうなると、優勝争いもなかなか白熱しそうですね。

ちなみに、私は2年連続で参加をパスします。南條くんも、マレーシアの大会に参加するために、今年は出場しません。私は2日目の15日(祝)に会場に顔を出すつもりですので、そこで皆さんの熱戦を見届けさせてもらいます。うまい具合にチームが散りつつある、私の生徒たちも頑張って下さい。なるべく同門対決がありませんように(笑)

2014/09/06

9th IVL Tournament Report


告知していませんでしたが、今日は第9回 IVL が開催されました。私は午前中の2試合のみで、午後は初参加の篠田くんにバトンタッチです。最終的に三竦みのタイブレークを制したのは、IM タイトルを獲得したばかりの南條くん。IVL は今回が初優勝です。おめでとう!

1st Place Nanjo R (IM, JPN, 2400)
2nd Place Noguchi, K (JPN, 2109)
3rd Place Kojima, S & Shinoda, T (JPN, Average 2144)


Yoshimura, K (JPN, 1861) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
9th IVL (1)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3 c5 5. Nf3 cxd4 6. exd4 d5 7. Bd3 dxc4 8. Bxc4 O-O 9. O-O b6 10. Bg5 Bb7 11. Rc1 Nbd7 12. Qe2 Rc8 13. Bd3 Bxc3 14. bxc3 Qc7 15. c4 Rfe8 16. Rfe1 h6 17. Bh4 Nh5 18. Qe3 Qf4 19. Qxf4 Nxf4 20. Bf1 Bxf3 21. gxf3 e5?!



Nimzo-Indian Rubinstein Variation のIQP 変化は、Panov Botvinnik からも派生するため、去年からしっかりと指し方を勉強しています。ここまで黒は、ダブルビショップを放棄しても、白のポーンに反撃を作れる不満の無い形を築いてきましたが、本譜の手はイマイチでした。代わりに21... g5! 22. Bg3 Red8 であれば、黒としては面白いポジションです。

22. Bg3! g5 23. Bxf4 exf4 24. Bh3 Rxe1+ 25. Rxe1 Rd8 26. Re7 Nf6?!


ナイトが避ける位置は当然f6 だと思い、もう1つの選択肢を真剣に考慮していませんでした。26... Nf8! 27. d5 Ng6 28. Rxa7 Ne5= ならば、黒はポーンを取り返して、大きな問題はありません。

27. Rxa7?



試合後の検討で、吉村先輩にはこの手がおかしいと指摘しています。27. d5! a6 28. Ra7! a5 (28... b5 29. Rxa6 で、f6 のナイトがアタックされることを失念していました!) 29. Rb7 Rd6 30. Kf1+/- こうなると、白はビショップナイトの差と、アクティブなルーク、そしてセンターのパスポーンによって、優勢なエンドゲームを戦うことができます

27... Rxd4 28. Ra6 Rxc4 29. Rxb6 Kg7 30. Bf5 Ra4 31. Rb2


ここは細かいですが、ルークを引かずにf7 を狙うほうが良いと思います。31. Rb7 Rxa2 32. Be6 Ra1+ 33. Kg2= 本譜では、白のaポーンは完全に抑え込まれているために武器とならず、ルークの働きの差で黒が指しやすくなるでしょう。

31... Ra3 32. Kg2 Nd5 33. Bc2 Ne7 34. Bb3?! Ng6! 35. Rc2 Nh4+ 36. Kf1 Nxf3



b1-g8 のダイアゴナルからビショップが離れてくれたため、黒はナイトをg6-h4-f3 と回すことができました。さらにaポーンを落としてしまった白は、絶望的なエンドゲームとなります。

37. Rc7 Nd2+ 38. Kg2 Nxb3 39. axb3 Rxb3 40. Rc6 g4 41. Rc4 Rf3 42. h3 Rxh3 43. Rxf4 h5 44. Rf5 Kg6 45. Rf4 f5 46. Ra4 Rb3 47. Ra5 Kg5 48. Ra8 h4 49. Rg8+ Kf4 50. Rf8 Rb2 51. Rh8 h3+ 52. Kg1 Rb1+ 53. Kh2 Rf1 54. Rf8 Rxf2+ 55. Kg1 Kg3 0-1



リストの関係から、2R で早々に南條くんとのペアリングです。先日まではチームメイトでしたが、オリンピアードが終われば平常通り、ライバルに戻ります。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Nanjo, R (IM, JPN, 2400)
9th IVL (2)

1. Nf3 d5 2. d4 c6 3. c4 e6 4. e3 Nf6 5. Nc3 Nbd7 6. Qc2 b6 7. Bd3 Bb7 8. O-O Be7 9. b3 O-O 10. Bb2 Rc8 11. Rad1 Qc7 12. Ne5!



e5 にナイトを置いて抑え込むのは、この変化で白がアドバンテージを握る重要なアイディアだと考えています。Nc3-Nd5 のディスカバードアタックがあるため、黒はe5 でポーンを取ることができません。

12... dxc4 13. bxc4 Nxe5 14. dxe5 Ng4


南條くんはここで勝負を仕掛けてきますが、これは白が大きなチャンスを得ることとなります。

15. Bxh7+ Kh8 16. Qe2! f5 17. h3 Kxh7 18. hxg4 a6 19. gxf5! Rxf5 20. Ne4



ダブルビショップを放棄しならがらも、1ポーンアップになった白は、ナイトを強力なアウトポストであるd6 まで運ぶことで、さらに優位を拡大しようとします。

20... c5 21. Nd6 Rg5 22. e4 Rf8 23. Rd3


e3-e4 と突いたことで、3段目が開いたことに着目し、ルークをhファイルに振ります。これでほぼ試合は決まったと思いました。

23... Bc6 24. Rh3+ Kg8 25. f4 Rg6 26. Qh5 Rh6 27. Qg4



こうしてe6 のポーン取りを確定させます。後は丁寧に指すのみです。

27... Kh7 28. Rxh6+ gxh6 29. Qxe6 Bxd6 30. exd6 Qf7 31. f5 Qh5 32. Qe5 Qg4 33. Qe7+ Kg8 34. Rf4 Qg3 35. Rf3 Qg4 36. Kh2 Re8 37. Qf6 Kh7 38. Qf7+ 1-0


全日本以来となる南條くんとのゲームを、非常に満足な内容で勝つことができました。名古屋では2日目に崩れこそしたものの、調子は悪くないと言えそうです。そしてこの6年間の研究と、ハンガリーや羽生さんとのトレーニングの経験から言えば、まだ1. d4 d5 型については、南條くんよりも詳しく、しっかり指せるという自負があります。

私と交代で入ってくれた篠田くんも、野口さんには敗れたものの、唐堂くん、汐口くんに勝ち、2人で4勝1敗です。最近の結果やプレーの内容を見るに、篠田くんもすでに2000台の実力があるでしょう。今後の成長が楽しみな、IVL 新メンバーです。

それでは、参加者の皆さん、お疲れ様でした。私がハンガリーに戻る前に、また開催したいので、また次回もよろしくお願い致します。


午後の仕事前、少しだけ日本橋三越の英国フェアを覗いてきました。久々に見る大量のテディベアは、2年前に参加したLondon Chess Classic を思い起こさせます。礼二さんが部屋で儀式をしてましたしね(笑)

2014/09/03

FIDE Rating September 2014


9月1日に発表された新しいFIDE レイティングは、なかなか面白い変動になっています。8月はTromso Olympiad、Japan League、ポーランドの大学生世界選手権など、日本のプレーヤーが試合をした大会が多かったですからね。まずは、日本のトップ10から発表します。

1 Habu, Yoshiharu JPN 2415
2 Nanjo, Ryosuke JPN 2400
3 Kojima, Shinya JPN 2356
4 Watanabe, Akira JPN 2284
5 Matsuo, Tomohiko JPN 2245
6 Ramos, Domingo JPN 2222
7 Averbukh, Alex JPN 2198
8 Nakamura, Ryuji JPN 2151
9 Abe, Mahiro JPN 2146
10 Shiomi, Ryo JPN 2138


私だけレイティングがマイナスですが、それはさておき(笑)、まず注目は南條くんでしょう。トロムソ、リガとあわせてレイティング+56 は試算通り。日本から2人目の2400台誕生です! IM ノーム3つのチェックとIM タイトル授与はこれからですが、それも時間の問題でしょう。

Japan League で安定した戦績を残して優勝した龍二さんが、2100台半ばに戻ってきてくれたことも、私としては嬉しい限りです。塩見さんも含めたIVL 年長組メンバーには、これからもまだまだ活躍してもらいたいたいですね。

そしてランキングを見て一番驚いたのは、アメリカでチェスをしている真大くん。18歳未満のレイティング2300未満は係数40という好条件を生かし、1回の更新で+53 と大きく数字を伸ばしてきました。今後、日本の代表を背負う可能性の高い彼らの世代にも、これから期待していきたいと思います。

続いて、新規レイティング獲得者も発表しておきます。今回の更新での大会戦績のみで、レイティングがついたプレーヤーもいるようなので、初期レイティングが付くための条件も、多少甘くなっているように感じます。

Osaka, Takuma JPN 1775
Numata, Takeshi JPN 1770
Karasawa, Yuta JPN 1757
Yamada, Shinmei JPN 1755
Amamiya, Anna JPN 1746
Kishikawa, Kazuma JPN 1739
Fukuya, Natsumi JPN 1629
Nakamura, Masaki JPN 1595
Arai, Yuki JPN 1507
Shibairi Megumi JPN 1374


以上の10名ですかね。(漏れがあったら申し訳ないです。) 皆さん、新規レイティング獲得、おめでとうございます! ポーランド組は全員レイティングがつきましたし、全体的に私より若いメンバーが多いのが印象的でした。次回、FIDE 公式戦の機会がいつになるかは分かりませんが、引き続き頑張って下さい。

2014/08/31

Nagoya Open 2014 Day2


名古屋オープン入賞者たち Photo by Yumiko Hiebert

2日間の名古屋オープンが終わりました。私は2日目で1勝1敗1ドローと崩れ、残念ながら2位止まり。私に勝って、今大会唯一負けなしで6試合を乗り切った、ベトナムのWCM Phan さんは、終始安定した指しまわしを見せていました。

1st Place Phan, Nguyen Mai Chi (WCM, VIE, 2173)
2nd Place Kojima Shinya (FM, JPN, 2447)
3rd Place Sakai So (JPN, 1898)
4th Place Kinoshita Akira (JPN, 1888)


酒井くんと木下さんは、私には敗れたものの、優勝したPhan さんからドローを取り、他の2000台をことごとく退けました。2人とも今大会だけで、50近くはレイティングが上がるのではないかと思います。こうした古い付き合いのプレーヤーが活躍してくれることは、私としてもとても嬉しいですね。東京から遠征してきた、ケンジくんと松本くんの若いコンビも、Aクラスでの入賞、おめでとう!


Kitagami, T - Kojima, S
Position After 29. Bc2

29... g4 30. h4


試合後、私はh2-h3 のほうが良いのではないかと指摘しましたが、これにも30. h3 d1=Q+ 31. Bxd1 Rxd1+ 32. Kg2 Bf1+ 33. Kh2 gxh3 34. Re3 Kg7-+ という手順があり、黒勝ちとなります。

30... d1=Q+ 31. Bxd1 Rxd1+ 32. Kg2 Bf3+?!



これはひどく軽率な手でした。f3 からh1 のマスを抑えるよりも、別のマスから抑えたほうがgポーンが残るため、黒にとって良いに決まっています! 32... Bc4! 33. Ra5 Bd5+ 34. Rxd5 Rxd5-+ これならば本譜と比較しても、ずっと黒が楽になっているのは明らかです。

33. Rxf3 gxf3+ 34. Kxf3 Ra1 35. Kg4 Bd4 36. Ra8+ Kg7 37. f3 Bf2 38. Kh3 Ra3 39. Kg2 Ra2 40. Kh3 Bd4 41. g4?


見た瞬間、目を疑いました。これはポーンが落ちるので、なんとか勝てると思いましたが...

41... Be5! 42. g5 Kg6 43. f4 Bd6?



43... Bxf4? 44. Kg4! はメイトスレットを作られて駄目ですが、ルークのチェックを1回入れることで、無事にポーンを取ることができます。43... Ra3+! 44. Kg2 (44. Kg4?? f5+! 45. gxf6 h5# このメイトが見えないようでは、どうしようもありません!) 44... Bxf4-+

44. Kg4 Rg2+ 45. Kf3 Ra2 46. Kg4 h5+


パぺを蹴って勝負にいきますが、黒にはもはや勝ち筋はありません。

47. gxh6 Kxh6 48. a7! Kg7 49. Rd8! Rxa7 50. Rxd6



まさかビショップが落ちるような展開になるとは思いませんでしたが、このルークエンディングはドローにできます。

50... Ra1 51. Rd3 Ra5 52. h5 Ra6 53. Rd5 Ra1 54. Rg5+ Kf6 55. Rf5+ Kg7 56. Rb5 Rh1 57. Rb6 Rg1+ 58. Kf5 Rh1 59. h6+ Rxh6 60. Rxh6 Kxh6 61. Kf6 Kh5 62. Kf5 Kh4 63. Kf6 Kg4 64. Kxf7 Kxf4 1/2-1/2


初対戦の北神さんとは、こうしてドローとなり、Phan さんに一歩追いつくことができませんでした。結果は残念でしたが、とても勉強になったゲームだったので良しとしましょう。

地元の方も、関東からの遠征組も、名古屋オープンに参加した皆さん、2日間お疲れ様でした。また次の大会でお会いできることを楽しみにしています。私はもう1泊、名古屋の旅館に泊まり、明日の朝、仕事で山梨県の河口湖へと向かいます。


現在滞在しているのは、国際センター駅から多少北に向かった、京屋旅館という場所です。こんな庭があり、離れには浴場もあるちゃんとした旅館ですが、部屋は4人共用の和室です。私もヨーロッパやタイで色々なドミトリーの宿を巡りましたが、和室に布団を並べて、他の外国人バックパッカーと過ごすのは初体験です(笑) もちろん、共用じゃない部屋もありますよ。


朝ご飯は、おかげ庵の抹茶シロノワール。デニッシュの上に白いソフトクリームの乗ったシロノワールは、東京のコメダ珈琲で食べられますが、抹茶バージョンは名古屋に8店舗しかない、おかげ庵でしか食べられません。昨日のリベンジで、サービスの良いモーニングを探しても良かったのですが、これはこれで美味しかったです。


お昼ご飯は喫茶コンパルのエビフライサンド。これを買うために、わざわざ会場とは逆方面の名古屋駅まで行き、開店直後の店舗に駆け込んだのでした。名古屋にはいくつか店舗があり、大会後、栄町地下で明日の朝ご飯用にも買ってきました。卵とカツソース&タルタルソース、そしてメインのエビフライのコンビネーションは、何度でも食べたくなるほど感動的な美味しさです!

2014/08/30

Nagoya Open 2014 Day1


この週末、私は名古屋オープンに参加するため、3年ぶりに名古屋に来ています。「小島さん、最近ブログのグルメレポートが大人しいんじゃないですか?」と突っ込まれたため、トップは名古屋のモーニングから(笑) 名古屋の喫茶店では、ドリンクの値段のみで(もしくはプラスわずかな値段で)、トーストを始めとした朝食のセットがついてくるサービスが充実しています。今回、名古屋のモーニングに初挑戦すべく、色々と調べてから乗り込んできたはずでしたが、目当ての店が開いていなかったり、開店時間が違ったりと空振り続き。それでも、トーストとゆで卵がつくセットをゲットできました。


会場へは、ペアリング発表の10分前に到着。4試合のみで仮レイティングのベトナム人(多分)にリスト1 を取られたことには驚きましたが、なにはともあれ、20名で今年の名古屋オープンはスタートしました。私はこちらのメンバー、藤沢さん、木下さんとの再戦を制し、3R で権田さんを迎えます。1R で藤沢さんにSlav Exchange を指されたので、2試合続くのは嫌だと思い、久々にNimzo-Indian を投入します。

Gonda, G (JPN, 2152) - Kojima, S (FM, JPN, 2447)
Nagoya Open 2014 (3)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3 O-O 5. Bd3 d5 6. Nge2 dxc4 7. Bxc4 e5 8. O-O Nc6 9. d5 Ne7 10. a3 Bd6 11. e4 Ng6 12. Ng3 Bc5 13. Nf5?!



序盤早々に権田さんのミス。ここはダブルビショップよりも、ポーンストラクチャーの良さとピースの早い展開が勝ります。

13... Bxf5 14. exf5 Ne7 15. Qd3 Qd7 16. Bg5 Qxf5 17. Qxf5 Nxf5 18. Bxf6 gxf6 19. Ne4 Be7 20. Bd3 Nd4


1ポーン取ったものの、ポーンストラクチャーを乱され、異色ビショップにされた黒は慎重にゲームを進めなければいけません。20... Rad8 21. Nxf6+ Bxf6 22. Bxf5 Rxd5 23. Rfd1 こうして駒交換を進めてしまうのは、白にドローチャンスを与えてしまうでしょう。

21. Ng3! Rfd8 22. Rac1 c5 23. dxc6 bxc6 24. f4?!



キングを弱めてポジションを怪しくします。24. Nf5! と指して、ナイト交換を目指せば、十分にドローのチャンスはあるでしょう。

24... Ne6! 25. Be4 Nxf4! 26. Rxc6 Rac8 27. Nf5 Bc5+ 28. Kh1 Rxc6 29. Bxc6 Rd2 30. b4 Bb6 31. h4 Nd3 32. Ng3 Be3?!


ここは1つ読み違いがあり、これでもなんとか勝つチャンスを作れると思っていました。32... Nf2+! 33. Kh2 Rd4 34. Rxf2 (34. Nf5 Rf4 35. Ne7+ Kf8 36. Nd5 Ng4+ 37. Kg3 Rxf1-+) 34... Rxh4+ 35. Kg1 Rc4 36. Bb5 Rc1+ 37. Bf1 Rc2 38. Ne4 Bxf2+ 39. Nxf2 Ra2-+ というのがコンピュータの指摘で、確かに2ピースルークにしても、a,h ポーンを取れば、黒にチャンスがありそうです。しかし、実際にこれで勝てると読み、このラインに跳びこむのはなかなか難しそうです。

33. Ne4 Nf2+ 34. Kh2?



34. Rxf2! Rxf2 35. Nxf2 Bxf2 36. h5 この異色ビショップのエンドゲームがどうなのか、酒井くんと少し話をしてみましたが、白は問題なくドローにできそうです。

34... Bf4+ 35. Kg1 Nxe4 36. Bxe4 Re2 37. Bd5 f5 38. g3 Be3+ 39. Kh1 f4 40. gxf4 Bxf4


こうしてダブルポーンを解消し、白キングを危険な位置に縛り付けておけば、異色ビショップとは言えども、2コネクテッドパスポーンを持つ黒は勝ち切ることができそうです。

41. Kg1 Kf8 42. Rf3 Rc2 43. a4 Ke7 44. b5 f5 45. Bc6 Ke6 46. Rd3 Rd2!? 47. Rf3



47. Bd5+ Kf6 48. Rxd2 Bxd2 49. Kf2 e4-+ ここまで進んだ2コネクテッドパスポーンがあれば、黒はルークを交換しても勝つことができます。

47... Bh2+ 48. Kf1 e4 49. Rh3 Bc7 50. h5 Bb6 51. Ke1 Ra2 52. Kf1 Ke5 53. Rh4 e3 0-1


全日本選手権では、優勢だったゲームをドローに持ち込まれてしまいましたが(そして結果として、それが南條くんとの優勝争いに大きく影響したのでした...)、今日はなんとか勝ち切って、ここまで単独3連勝です! 明日は実力未知数のベトナム勢との対戦が待っているので、楽しんでプレーしてきたいと思います。


夕飯は酒井くんと2人で、私が調べてきた味噌カツのお店へ。名古屋名物の味噌カツもやはり3年ぶりですが、このようにネギでカツが見えないものは初体験です(笑) 甘い味噌味のカツは、ご飯がとても進みますね!


夕飯後、美味しいかき氷を食べようと、遅くまでやっている店を求めて彷徨いましたが、4軒当たって全滅、全て閉店済みでした。宿泊先の国際センターから、テレビ塔のある栄まで戻ってきたというのに... なんの収穫もなく宿に帰るのは癪なので、テレビ塔の見えるカフェでブログを書いている次第です。2日目の明日も頑張りますので、よろしくお願いします!

2014/08/29

Saturday Lecture on September 13th 2014


Bobby Fischer, Susan Polgar Chess Daily News より

明日は名古屋の記事を出すつもりですので、先に9月のSaturday Lecture の告知です。8月は元世界チャンピオン、Tal のゲームをテーマにレクチャーを行ったところ、過去最多16名の参加者にお集まりいただきました。そこで、世界チャンピオンシリーズを続け、9月はFischer を扱うことに致します。翌日には神保町で「ボビー・フィッシャーを探して」日本語版の、出版記念イベントも開催されますしね。

【日時】 2014年9月13日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Play Like Bobby Fischer
【テーマ詳細】

Fischer は、旧ソ連勢が独占していた世界チャンピオンの座を、アメリカのプレーヤーとして初めて奪取し、世界のチェス界に革命を起こした天才児として知られています。Memorable Games が日本語版でも出版されるなど、日本でも人気の高いFischer が、どういったプレーで旧ソ連のマスターたちと戦い、世界の頂点へと駆け上がっていったかを見ていきましょう。

【参加費】 一律1000円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

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