2014/04/16

Country Roads BCCO 5th round - A Dynamic Seesaw Game -


昨晩は食事前のブログ更新でしたので、続きの夕食レポートからです。宿泊しているトンローから隣のエカマイまで南條くんと歩き、縁日のようなものを発見。この日の夕食はここに決めました。


食事の屋台だけでなく、おもちゃの販売やちょっとしたアトラクションもあります。こちらはヤギと触れ合えるコーナー。チェコでも見かけました。


ペット用のウサギも販売されています。


こちらは私の好物、ソムタムの屋台です。各種調味料と野菜、そして生のパパイヤを和えたサラダは辛いですが、とても美味しい!


タイのお好み焼きは、焼くというより揚げているかのよう。具は定番のたっぷりもやしとカキでした。


一夜明けた今日は、南條くんとリフレッシュのため、試合前にアソークのTerminal 21 というショッピングモールへ足を運びます。今日までの3日間はソンクラーン開催期間ということで、グランドフロアではタイ伝統の踊りを見ることができました。


そして昼食はいつも通り、ルンピニ公園の配給をゲット。今日は私も初体験となるカレーをかけた素麺、カノムジーンをいただいてみました。前日同様辛いので、デザートのかき氷も忘れていません。


そして試合へ。対戦相手のインド女子、Kulkarni は、昨年、韓国で開催されたAIMAG の女子個人戦銅メダリスト。その際に敗れたチームメイト、長谷川さんの敵を討つべく、気合いを入れて勝ちを目指します。

Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Kulkarni, B (WGM, IND, 2246)
Bangkok Chess Club Open 2014 (5)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. g3 Bg7 4. Bg2 O-O 5. d4 d6 6. O-O c6 7. Nc3 Qa5 8. e4 e5 9. h3 Nbd7 10. Re1 exd4 11. Nxd4 Ne5 12. Bf1 Re8 13. Be3!



昨年の百傑戦で尚広くんと指したラインです。その際は13. Nb3!? と指しましたが、わざわざナイトを退いてまで、クイーンをa5 から追い払う理由はありません。

13... a6!? 14. f4 Ned7 15. Bf2 Qc7 16. Bg2 Rb8 17. Qc2?!


次の黒の1手を過小評価しており、いつも通りのマスにクイーンを置いてしまいました。17. Qd2! c5!? 18. Nc2 (このマスにナイトを退けるのが本譜との違いです。) 18... b5 19. cxb5 axb5 20. a4! bxa4 21. Ne3+/=

17... c5!



こうしてセンターのナイトを追い払ってからb7-b5 を突くアイディアは、Gallagher Variation でお馴染みのはずですが、すっかりゲーム中に忘れていました。黒はd5 のマスとd6 のポーンを弱めますが、クイーンサイドからのカウンタープレーは、それを十分に補う力を持っています。

18. Nd5!? Qd8


18... Nxd5 19. cxd5 Qd8 20. Nf3 b5 21. Rad1 とBenoni ポーンストラクチャーにするのも1つの選択肢です。その場合、形勢はアンクリアーでしょう。

19. Nf3 b5 20. Nxf6+ Qxf6 21. e5!?



ここで勝負を仕掛けます。しかし、私にとって予想外だったのは、21. cxb5 Qxb2 22. Qxb2 Bxb2 23. Rad1 axb5 24. Rxd6+/= が白良しであるということ。黒のcファイルのパスポーンを警戒していましたが、c1 のマスは抑えていますし、黒はまだ展開できていないピースがあります。こうしたパスポーンの評価が苦手であることは、自分の弱点の1つだと自覚しています。

21... dxe5 22. fxe5?!


22. cxb5! Rxb5 23. Rad1 ならば、白は十分にポーンの代償があるでしょう。e8 のルークが浮いているため、黒はe5 のポーンを逃がすことができません。

22... Qf5?!



お互いの読みに、ここはミスがあったようです。22... Nxe5 23. Nxe5 Rxe5 24. Rxe5 Qxe5 25. Re1 Bf5 26. Rxe5 Bxc2 27. Rxc5 bxc4 28. Rxc4 Bb1! (28... Bd3?! 29. Rc7 Bxb2 30. Bd5= これでf7 を取り返し、ドローで満足するしかないというのが私のアイディアでした。) 29. Rc6 Bxa2 30. Rxa6 Be6=/+ a2 のポーンを取られるのは完全に読み落としです。それでも、お互いにa,bポーンを取り合えば、キングサイドでポーンが1つ足りずとも、白はドローにできると思います。

23. Qxf5 gxf5 24. cxb5 Rxb5 25. b3! Rb4


難しいのは、25... Nxe5 26. Nxe5 Rxe5 27. Bf1 Rb6 28. Rad1! というポジションですが、白は1ポーンを捨てていてもピースのアクティビティーと、c5 の弱点を狙うことで、十分に指しやすそうです。

26. Rac1?!



26. Nd2! Rxe5 27. Nc4 Re6 28. Rxe6 fxe6 29. Re1+/- 一時的にe5 を取らせることを許し、もっと強気にプレーすべきでした。

26... Re4! 27. Nh4 Rxe1+ 28. Rxe1 Nxe5 29. Bxc5+/=


ひとまずポジションは落ち着き、ポーンストラクチャーの良さでやや白良しになりました。あとはf5 をどのように攻め、有利なエンドゲームを戦うかを考えます。

29... Bf6 30. Bd6! Bd7 31. Bd5 Kg7 32. Kg2 Bxh4 33. Rxe5?!



ここは指した直後にしまったと思いました。帰りの電車内で考えてみましたが、33. Bxe5+ Bf6 34. Bxf6+ Kxf6 35. Rxe8 Bxe8 36. b4+/- とシンプルな同色ビショップエンディングにしてしまうことが、白のベストチャンスでしょう。なぜこれに踏み込めなかったのか、今でも悔やまれます。

33... Bd8 34. Kf3 Kg6 35. a4 h5 36. h4 Bb6 37. Kf4 Be6!?


ルーク交換を避けることは、黒として正しいディフェンスだと思います。白はもっと早く、ルークを消しておくべきだったでしょう。

38. b4 Bd4 39. Re2 Kf6!= 40. b5?



時間の増える40手目、自分はまだ白が優勢だと考えていました。そして勝負にいった手が悪手です。時間が増えて少し考える余裕ができ、自分の思い違いに気が付きました! 代わりに40. Bc5!? Bxc5 41. bxc5 Rc8 42. Bb7 Rxc5 43. Bxa6= ならばイコールでしょう。

40... axb5 41. axb5 Rd8! 42. Bxe6 fxe6!


40手目前、なぜか黒マスビショップを取られる手ばかりを考えていました。黒はポーンストラクチャーを回復させ、白のパスポーンを後ろから攻撃しにいきます。

43. Bc7 Rd5 44. b6 Rb5?!



しかし、この緩手で救われました。44... e5+ 45. Kf3 Rb5 46. Rc2 Ke6!-/+ ならば、白キングは本譜のようなカウンターを作ることができず、完全に黒勝ちだったでしょう。

45. Bd8+! Kf7 46. Kg5


こうして白キングは黒陣に侵入し、ポーンを取り返すことができます。これでドローになると安堵したのがまたもやミスで、まだまだ試合はとんでもない展開が続きます。

46... Bxb6 47. Bxb6 Rxb6 48. Kxh5?!



考えてみれば、白がすぐにh5 を取らなければいけない理由は、何一つとしてありません! 48. Rc2! Ke7 49. Rc7+ Kd6 50. Rc3 Rb4 51. Kxh5 Rg4 ならば本譜と似た展開ですが、すでにルークの位置も改善していますし、なにより黒キングを遠ざけています。

48... Rb4!


この手を指され、ようやく自分がまだ危機を脱していないことを悟りました。白はポーンを取り返したものの、g4 のマスを抑えられ、キングが非常にパッシブかつ、メイトにされる危険もあるポジションです。

49. Kh6 Rg4 50. Re3 Kf6 51. h5 Rg8!?



51... Rc4! 52. Re1 Rc8 53. Kh7 e5 54. Ra1 Kg5 55. Ra5 e4-+ 本譜と似たアイディアですが、これでも完全に黒勝ちでした。

52. Kh7 Rg7+?!


52... Re8! ならば、下記のディフェンスはあり得ませんでした。

53. Kh6 Re7 54. Rf3?



この手しかないと思ったディフェンスですが、これもダメ... 正しくは54. g4! fxg4 55. Rf3+! (なんと、このルークを取るとステールメイトです!) 55... Ke5 56. Rf8 Ra7 57. Kg5 Rg7+ 58. Kh4 g3 59. h6 Rg4+ 60. Kxg4! g2 61. h7 g1=Q+ 62. Kh5 Qh1+ 63. Kg6 Qg2+ 64. Kh6= 白は先にクイーンを作らせますが、h8 のマスを抑えている以上、黒に勝つ方法はありません。

54... Re8 55. Kh7 Kg5!


この手が見えておらず、いよいよ負けかと思いました。それでお勝負を諦めず、何か指すしかありません。

56. Re3 Kxh5?



これは私の目の前に一筋の光が差し込みました。56... e5! 57. Kg7 e4 58. Kf7 Rh8-+ ならばeポーンへの反撃もなく、ゆっくりとh5 を取って黒勝勢です。それにしても、8手前に白が指した悪手と全く同じ悪手を、今度は黒が指すとはなんとも皮肉なものです!

57. Kg7! Kg4


57... Kg5 58. Kf7 Ra8 59. Re5!! (これは検討でアイディアを出してくれた友人のIM Lodhi も気づかなかった手です。白はルークを近づけ、キングでポーンを取れるようにします。) 59... Ra6 60. Ke7!! (60. Rxe6 Ra7+ 61. Re7 Ra3-+ これがLodhi の指摘したアイディアで、一度チェックを挟めば、黒はg3 のポーンをうまくルークで掠め取ることができます。) 60... Rb6 61. Kf7 Rc6 62. Ke7=


Analysis Diagram

なんと、こうしたキングで待つアイディアを使えば、黒はポジションを進展させることができず、ドローになります。このルークエンディングのアイディアは、どこかのレクチャーで取り上げたいところです。

58. Kf6!



残り時間は7分ほど。この手は自信を持って指すことができました。58. Kf7? Rh8! 59. Kf6 Rh3 60. Kxe6 f4-+ は黒の勝ちです。白はRh8-Rh3 の反撃を許すことなく、素早くe6 を取った後にf5 も取れる形を作らなくてはいけません。

58... Rf8+ 59. Kg7!


ここもポイントです。59. Ke7? Rh8! は再び負けの形です。

59... Re8 60. Kf6 Rf8+ 61. Kg7 Ra8 62. Kf6 Rf8+ 1/2-1/2



ここで私が次に63. Kg7 で3回同一局面が成立することを指摘し、ドローになりました。途中、勝ちたいポジションもありましたが、最後は負けなくて本当に良かったと思える形。ルークエンディングがエンドゲームの中で最も難しいということが分かる1局で、お互い大変勉強になりました。

南條くんはこの日、隣のボードでわずか1時間半ほどで負け。中国のジュニアを相手に苦戦が続いています。明日こそお互いに勝って、上からポイントを取るチャンスを作りたいところですね。


ソンクラーンは今日が最終日。このシーロム通りの混雑も、今夜で見納めです。

Bangkok Chess Club Open 2014 Schedule and Results

04/12 15:30 R1 Holming, P (SWE, 2002) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/13 09:00 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Peng, X (CHN, 2193) 1-0
04/13 15:30 R3 Shukin, A (RUS, 2174) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/14 14:00 R4 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Atalik, S (GM, TUR, 2562) 0-1
04/15 14:00 R5 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Kulkarni, B (WGM, IND, 2246) 1/2-1/2
04/16 14:00 R6 Diaz, C (PHI, 2246) - Kojima, S (FM, JPN, 2361)
04/17 14:00 R7
04/18 14:00 R8
04/19 09:00 R9

04/12 15:30 R1 Vinay, K (IND, 1980) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/13 09:00 R2 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Shukin, A (RUS, 2175) 0-1
04/13 15:30 R3 Swati, M (WFM, IND, 2046) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/14 14:00 R4 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Peng, X (CHN, 2193) 1/2-1/2
04/15 14:00 R5 Xu X (CHN, 2101) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 1-0
04/16 14:00 R6 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Lam D (HKG, 2111)
04/17 14:00 R7
04/18 14:00 R8
04/19 09:00 R9

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