2014/03/31

Country Roads LO 5th Round - Player in the Dark -


バンコクから一緒だった父が一足早くランタ島を離れたため、私は昨日、部屋を移らなければならなくなりました。新しいルームメイトはチェコ人のお爺さんで、英語はほとんど喋れません。部屋にはエアコンがなかったり、鍵が南京錠でスペアがなかったり、ダブルベッドだったりしますが、なんとか無事に今日の朝日を拝んでいます(笑)


新しい部屋はLanta Vila Resort の一部ですが、少し離れた場所にバンガローが建っています。こちらの受付では、近隣の島でのスキューバダイビングの申し込みができ、今日は隣のピピ島に行くツアーの案内が出ていました。


ランタ島全土の地図。Lanta Vila Resort では、チェス以外のお客さんはほとんどがヨーロッパからの観光客のようです。


試合前のお昼ご飯は鶏肉のタイ風のチャーハン(カオ・パッド) とカレー。タイは仏教中心であるため、イスラム圏と違って鶏、豚、牛のどの肉も食べるうえ、エビ、カニなどのシーフードもよく食されます。カオ・パッドにはこの5種類のいずれかの具を選ぶことができ、エビ、カニだと少し料金が高くなるというのが、一般的なタイのレストランのスタイルだと思います。

さてLanta Open もそろそろ後半戦。今日は3/5/4 のトップ対決です。タイの青年、Poompong とは長い付き合いで、昨夜はタイと日本のチェスについて、多少語り合いました。そんな彼と、優勝の行方をうらなう重要なゲームのスタートです。

Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Wiwatanadate, P (THA, 2062)
Lanta Open (5)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. Nc3 e5 4. e3!?



少しこういったEnglish Opening も指せると良いかなと思って試しましたが、慣れていない形は全然だめです...

4... Nf6 5. a3 g6 6. d4 e4 7. Ng5 Qe7 8. d5 h6 9. Nxf7?!


この手は黒の展開を助けるだけで、形を崩したことは何も白にとってプラスに働きません。代わりに9. dxc6 hxg5 10. cxb7 Bxb7 と指すべきだったでしょう。

9... Kxf7 10. dxc6 dxc6 11. Be2 Bg7 12. O-O Rd8 13. Qc2 Bf5 14. b4 h5 15. b5 Nh7!?



Nh7-Ng5-Nf3+ というナイトのマヌーバリングはノーチェックで、意外と厄介であることにこの時点で気づきました。薄いキング周りのディフェンスを必死で探します。

16. Bb2 Ng5 17. Rfe1!?


ここはもう、何を指してもf3 に飛び込まれてしまうので、決死でこのアイディアで対抗しようとします。

17... Nf3+ 18. Bxf3 exf3 19. e4 Qg5 20. g3 Rd2 21. Qc1 Bh6?!



試合後に私が指摘したのは21... h4!! で、hファイルを開いてもう1つのルークをアタックに使えば、白はディフェンスがなかったでしょう。しかし、本譜はあまりに予想外でした。

22. exf5?


22. Na4! Bg4= ならば白問題なしというのが、無慈悲なコンピュータの評価です... Qc1-Qc3 がf6 を狙いつつ、f3 のポーンをアタックするアイディアになっていることを見落としていました。

22... Qxf5 23. Re4 Qh3?!



試合中、指されたらまずいと思っていたのは23... Rad8!! です。白のクイーンサイドのピースがどうしようもないことを利用して、ゆっくり手を作られると、黒が勝てそうに見えます。

24. Qf1 Qxf1+ 25. Kxf1 Rxb2 26. bxc6 bxc6 27. Rd1


ルークをアクティブに使うのが唯一の抵抗だろうと読んでいましたが、1つ痛い見落としたがありました。

27... Rd2 28. Rde1 Rd7?



28... Rd4! 29. Re7+ Kf8!-+ はお互いに見落としていた変化です。次にc4 取りだけでなく、Bh6-Bd2 がスレットになるので、白はいよいよ苦しい展開でした。

29. Na4 Rad8 30. Nxc5 Rd1 31. Re7+ Kf6 32. R7e6+ Kf5 33. R6e5+ Kf6 34. Re6+ Kf5 35. R6e5+ Kf6 36. Re6+ 1/2-1/2


この試合中、何度も停電になって時計をストップしましたが、明かりがなく全く周りが見えない状況は、試合中の私の心境を表しているようでした(笑) レイティングは痛いですが、なんとか負けのゲームをドローにしたということで、気持ちを切り替えて残りの2試合を戦おうと思います。

Lanta Open Schedule and Results

03/27 17:00 R1 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Solaroli, R (ITA, 1907) 1-0
03/28 17:00 R2 Hasler, U (SUI, 1987) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
03/29 17:00 R3 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Mojzis, J (CZE, 2138) 1/2-1/2
03/30 17:00 R4 Paldus, P (CZE, 2033) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
03/31 17:00 R5 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Wiwatanadate, P (THA, 2062) 1/2-1/2
04/01 17:00 R6
04/02 17:00 R7

2014/03/30

Country Roads LO 4th Round - Reliable Caro-Kann -


昨夜は全勝を逃して少し落ち込んでいましたが、近くのレストランで素晴らしいものを見つけました。それが写真右のマッサマンカレーです。分かりますか、マッサマンカレーですよ!

マッサマンカレーはタイ南部の料理でしたが、2011年に世界で一番おいしい料理と称されて、一気に話題を集めました。私もこれまでどこかで無意識に食べていたかもしれませんが、自分で注文して食べるのは初めてです。ココナッツベースに具は鶏肉とナッツ、ジャガイモ、タマネギなど。見た目に反してまったく辛くなく、マイルドで食べやすかったです。都内でも食べられる店があるそうなので、帰国したら行ってみようと思います。


そして、ハンガリーやチェコでもお世話になった、MAGNUM アイスとも再会しました。ヨーロッパでは見かけなかった数種類の味があるようです。バンコクでもチェックしてみないと分からないですが、MAGNUM はタイでもポピュラーのようですね。なぜ日本では見かけないのか...


会場にはこうした貝の風鈴がたくさんぶら下がっています。目の前の浜で拾って、ホテルのスタッフが作ったんでしょうかね。

今日の対戦相手はチェコのPaldus Petr。皆さん覚えていないと思いますが、昨年のPilsen Open 2R で対戦したプレーヤーです。この少人数の大会であれば当たると思っていましたが、チェコで対戦した相手と4か月後にタイで再戦することになるとは(笑) チェスの世界は広いようで狭いです。

Paldus, P (CZE, 2033) - Kojima, S (FM, JPN, 2361)
Lanta Open (4)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. Nf3 Nd7 7. h4 h6 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bf4 Qa5+ 12. Bd2 Bb4 13. Ne4 Ngf6 14. Nd6+ Ke7 15. Nc4 Bxd2+ 16. Nfxd2 Qc7



ここまでは、かつて寿樹くんとの実戦で指したことがあり、私はノータイム。対する相手は1時間を使っていました。オープニングの知識で勝負が決まるわけではないですが、このアドバンテージは結構大きいと思います。

17. Qa3+ c5 18. O-O-O Rhd8 19. Rh4 Kf8!


19... b5!? も考えられそうですが、私はドイツのDautov らの解説を読み込み、早めのキングエスケープが安全なアイディアであると学びました。

20. Ne4 Nxe4 21. Rxe4 b5!



ナイトを一枚交換してから、c4 のナイトを消しつつ、b5-b4 からクイーンも追い払えるようにします。22. dxc5? Nf6!-+ は少し見落としがちな狙いかもしれません。

22. Ne5 Nf6 23. Rf4 23... Rac8!


私はこれまでのCaro-Kann Classical で、dファイルにこだわりすぎて、cファイルをうまく使えずに勝ちを逃すことが多々ありました。ここでも、23... Rd5!? は考えられそうですが、c2 へのメイトスレットのほうが強力だと判断します。

24. g4?!



ここからは、ストレートに黒が駒得と大きなイニシアチブを握ります。24. Qxc5+ Qxc5 25. dxc5 Rxd1+ 26. Kxd1 Rxc5-/+ でも次にh5 が落ちて黒勝勢ですが、こちらのほうがまだ頑張れるのかもしれません。

24... b4! 25. Qf3 cxd4 26. Qe2 Rd5!


1ポーンアップした黒は、白の要のピースであるナイトを下げさせて完全に反撃を断ちます。

27. Nd3 a5!? 28. Rd2 e5! 29. Rf5 e4!



こうして駒をさらに捌いてしまえば、完全に勝負は決まりです。

30. Rxd5 exd3 31. Qe5 Nxd5 32. Qxd5 Qf4! 33. Qb3


33. Qd7 Rxc2+ 34. Kb1 g6-+ d8 でのメイトの狙いも、冷静にg7 にマスを作れば、捌くことができて黒勝ちです。

33... Rxc2+ 0-1



1番ボードはドローだったため、Poompong と並んでトップに戻りました。明日、彼との直接対決で、単独トップを狙います!


今日は砂浜で小さな蟹たちを発見。


3番ボードの女子対決は4時間を超えそうな熱戦です!

Lanta Open Schedule and Results

03/27 17:00 R1 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Solaroli, R (ITA, 1907) 1-0
03/28 17:00 R2 Hasler, U (SUI, 1987) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
03/29 17:00 R3 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Mojzis, J (CZE, 2138) 1/2-1/2
03/30 17:00 R4 Paldus, P (CZE, 2033) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
03/31 17:00 R5
04/01 17:00 R6
04/02 17:00 R7

2014/03/29

Country Roads LO 3rd Round - A Fighting Draw -


前日の宣言通り、午後の早い時間にプールへ。昔はよく泳いだものですが今は体力がなさ過ぎて、少しの距離でバテバテになります(笑) 泳いだ時間は短かったですが、こうしてタイのプールに兄と連れてこられ、泳ぎを覚えた幼少期を少しだけ思い出しました。カエルの軍団と泳いだこともあります。


プールをあがった後はビーチへ。膝ぐらいの深さをひたすら歩き続けました。小説の入った手提げを置いてこなかったことを後悔し、撮影中のiPhone とともにひたすら波から守り続けました。写真は海の中から砂浜を撮影したもの。


波が砂浜に残す模様と、海と空のコントラスト。ビーチに出てきた甲斐がありました。(歩いて30秒ですがw)

さて、3R はリスト2 のチェコ人、Mojzis Jan との直接対決です。彼とタイの青年、Poompong を退ければ、今大会の優勝は堅いでしょう。Mojzis は現在レイティングを2100台まで落としていますが、かつては2300 を超えており、決して油断のできない相手です。

Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Mojzis, J (CZE, 2138)
Lanta Open (3)

1. Nf3 d5 2. d4 c5 3. c4 e6 4. cxd5 exd5 5. Nc3 Nc6 6. g3 Nf6 7. Bg2 Be7 8. O-O O-O 9. Bg5 cxd4 10. Nxd4 h6 11. Be3 Re8 12. Qa4 Bd7 13. Rad1 Nb4 14. Qb3 a5 15. a4 Rc8 16. Nc2!



QGD Tarrasch は予想の通り。以前、塩見さんと指したポジションに近くなりました。白はb4 にナイトをけし、d5 のポーンを攻撃しにいきます。

16... Be6!? 17. Nxb4 d4 18. Nbd5 dxe3 19. fxe3 Bc5!


黒はb7 のポーンを捨てても、e3 に早めに圧力をかけます。私は一時的に2ポーンアップなら十分に白良しだと考えましたが...

20. Qxb7 Nxd5 21. Nxd5



ここは思い返せば、相手のダブルビショップを消し、f7 を攻撃するチャンスを作るべきだったかもしれません。21. Bxd5 Rb8 22. Qc6

21... Qg5 22. Rd3 Rb8 23. Qc7 Rec8 24. Qxa5 Rxb2 25. Bf3


黒は7段目に入ったルークが、カウンターのキーピース。さすがにe2 まで取らせるわけにはいきません。

25... Bxe3+ 26. Rxe3 Bxd5 27. Rc3



これで少しはまだチャンスがあるかと思いましたが、相手の受けは正確でした。

27... Rxc3 28. Qxc3 Ra2! 29. Rf2!? Be6 30. Bc6 Qh5 31. Bf3 Qg5 32. Bc6 Qh5 33. Bb5 Qd5 34. Qf3? Ra1+?


ここで私たちが見落としていたのは、34... Bh3! 35. Rf1 (35. e4 Ra1+ 36. Bf1 Qd4-+) 35... Qc5+ 36. Qf2 Qxf2+ 37. Kxf2 Bxf1 38. Kxf1 Kf8-/+ という変化です。ドローにしかならないのに、勝ちを求めて無茶をしすぎました。相手が気付かなかったのはラッキーです。

35. Rf1 Qd4+ 36. e3 Rxf1+ 37. Kxf1 Qd2 38. Qe2 1/2-1/2



最後はポジションの進展のしようがないのでドロー。もう少し丁寧に見直す必要のありそうなゲームです。今大会、全勝を狙っていましたがそう簡単ではなかったですね。2B では、Poompong が勝っていたので、全勝の彼を2人で追う。展開となります

Lanta Open Schedule and Results

03/27 17:00 R1 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Solaroli, R (ITA, 1907) 1-0
03/28 17:00 R2 Hasler, U (SUI, 1987) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
03/29 17:00 R3 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Mojzis, J (CZE, 2138) 1/2-1/2
03/30 17:00 R4
03/31 17:00 R5
04/01 17:00 R6
04/02 17:00 R7

2014/03/28

Country Roads LO 2nd Round - Diagonal Domination -


昨晩の試合後は、ホテルのレストランで夕食にしました。こちらに2人分のドリンクをつけても、合計2000円を下回る安さです。タイ自体、日本に比べて物価はかなり安いですが、今回、会場となっているLanta Vila Resort が、さほど高級ホテルでないことも幸いしています。(バンコクの会場は全く違います!)


さらに夕飯後は、オーガナイザーのPetr がプレーヤーたちに声をかけ、ビーチでパーティーを催すとのこと。21時半頃に足を運んでみると、パーティーというよりもただの気楽な飲み会でした。私は唯一Facebook 友達になっていた、タイのPoompong と隣り合い、すでにブログで1R のゲームを更新したことや、次のラウンドの相手、そしてこのLanta Open 後の予定などについて話をしました。彼はハードスケジュールながら、Lanta Open 翌日にマレーシアに向かい、新たなFIDE トーナメントに挑戦するそうです。


ビーチの夜の目玉は、こちらのファイヤーダンス。私が見ていた限り4人のタイ人が、端が燃え盛る縄や棒を巧みに操り、時には空中に投げてキャッチするというようなパフォーマンスを見せて、観客を沸かせていました。(時々、キャッチに失敗して地面に落としていましたがw) 私の覚えている限り、こうしたショー見学の体験は初めてで、大変面白かったです。

一夜明けた今日は特に何をするでもなく、まったりと前日の検討や、日本の友人と電話、試合の準備などをしていました。この日の対戦相手のスイス人は、前夜に仕入れた情報によれば、このランタ島に移り住んで日の長いプレーヤーだそうです。


Hasler, U (SUI, 1987) - Kojima, S (FM, JPN, 2361)
Lanta Open (2)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nc3 a6!?



セルビアでは4... e6 でキングサイドの攻撃を許すシャープなラインを指しましたが、今日は少し違った組み方をしようと思いました。先日調べたところ、この変化はBotvinnik の時代からあるようです。

5. g4 Bd7! 6. f4 e6 7. Nf3 c5 8. Be3 h5 9. gxh5


g4-f4 のフォーメーションは、h7-h5 から崩すのが基本です。このポーンを取ってくれれば、黒は将来的にf5 のマスを使うチャンスが復活します。

9... cxd4 10. Bxd4 Nc6 11. Bf2 Nge7 12. Be2 Rxh5 13. Nd4?!



ここでのピース交換は、白に何もプラスに働きません。13. Qd2 からキャスリングを急げば、まだまだ難しい形勢です。

13... Rh8 14. Qd2 Nxd4 15. Bxd4 Nf5 16. Bf2 Bb4?!


この手はさほど悪くはないですが、もはや黒の優位を完璧なものにするアイディアがここではありました。16... Bc6! 17. Bd3 d4! 18. Ne4 Qd5!-+ 最後の一手が見えなかったことと、本当にこの変化が黒にとってベストなのか確信が持てず、指すのをためらいました。冷静に考えれば、黒が完全にポジションを支配し、白が何もできないことは明らかです。e4 のナイトを過剰に恐れすぎてしまいました。

17. a3 Ba5 18. b4 Bb6 19. Bd3 Nd4 20. Be2 Nf5?!



20... Nxe2! 21. Bxb6 Qxb6 22. Nxe2 Rh3 23. c3 Rc8!-/+ ルークを2つのオープンファイルからアクティブに使えば、白のNe2-Nd4 は恐るるに足らず。 ここもしっかり形勢判断ができなかったのは反省点です。

21. Bg4?! Bxf2+?!


21... Be3! 22. Bxe3 Qh4+ 23. Bf2 Qxg4-+ 異色ビショップにしても、h2 やf4 を弱点にしていれば、黒が指しやすいことは明らかです。この変化も読みましたが、なぜか踏み込めませんでした。

22. Qxf2 Qc7 23. Qd2 Bc6?



さらに黒のアドバンテージを失う大きなミス。一旦e4 のマスを抑えてから、h1-a8 のダイアゴナルを開こうとしたのが大失敗でした。23... d4! 24. Ne4 Ne3 25. Bd1 Bc6 26. Nd6+ Kf8 27. Rg1 Qe7-/+ この変化も当然読みましたが、黒良しと確信が持てず...

24. Bxf5 exf5


24... d4 25. Ne4 exf5 26. Nd6+ Kf8 27. Rf1 Be4 は非常に形勢判断の難しいポジションで、私は好みではないので避けました。

25. Ne2?



目を疑った一手です。d5-d4 を許してくれるのであれば、これほど黒にとってありがたいことはありません。25. Qd4! Rh3!? と進んだ場合、長期的に白がd4 にナイトを組み替えられれば、白が少し指しやすくなるのではないかと呼んでいました。

25... d4! 26. O-O O-O-O 27. Nxd4 Qd7 28. Rad1?


この先は完全に読み切って勝負を決めました。白が粘るのであれば、ナイトはポーンで守らなければいけません。28. c3 Rh4 29. Qe3 Rdh8!? (29... Rg4+ 30. Kf2 Rg2+ 31. Ke1 Rxh2-/+) 30. Rf2 Qd5 31. Nxc6 Rg4+ 32. Kf1 Qh1+ 33. Ke2 Qxa1-+ やはりd4 のポーンよりも、h1-a8 のダイアゴナルのほうが価値が高いです!

28... Qd5 29. Rf3 Qe4 30. Qe3 Rxd4! 0-1



最後はちょっとしたタクティクスでピースアップとなり、勝負ありです。やはりd4 のポーンを取っても、h1-a8 のダイアゴナルのコントロールにはかないませんでしたね。途中かなり怪しいところもあったので、なんとか胸をなでおろして次の試合に備えようと思います。


こうしたバンガローの1つ1つが客室になっています。


明日こそプールへ(笑)

Lanta Open Schedule and Results

03/27 17:00 R1 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Solaroli, R (ITA, 1907) 1-0
03/28 17:00 R2 Hasler, U (SUI, 1987) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
03/29 17:00 R3
03/30 17:00 R4
03/31 17:00 R5
04/01 17:00 R6
04/02 17:00 R7

2014/03/27

Country Roads LO 1st round - Arrival Game -


午前6時のバンコク

昨夜は梅酒を飲んでぶっ倒れ、4時半に自然と目を覚ましました。シャワーと朝食を済ませ、8時のフライトのために、再びスワナプーム国際空港へと戻ります。


朝食はパッタイクン。炒めたもやしと生のもやしの両方が入っており、食感の違いを楽しめるのが本場のスタイルです。


スワナプームからクラビまでは、2時間弱のフライトでした。ここからランタ島までは、迎えの車に乗って2時間半ほどと聞いていました。ランタ島には橋が架かっていないため、途中でフェリーに乗りこみます。


しかし、フェリーと呼ぶにはあまりに質素な船でした(笑) 客席はなく、狭い甲板のみで、私たちと同じように島に渡る車を詰め、一杯になったら出港します。左手に見えるクレーン車のような操舵室が気になるところ...


フェリー(?) を降りてからもしばらく走り、到着したのが会場となるホテル、Lanta Vila Resort です。受け付けは吹き抜けの大きなコテージのような場所で、どうやら試合もここで行うとのこと。常夏のタイにおいて屋外に近い環境で試合をするためには、多少涼しくなった夕方から以外ありえません。ようやく毎日17時からという、一風変わったスケジュールの意味を把握しました。


ホテルからビーチまでは徒歩で30秒ほど。12月のマヨルカには、さすがに海水浴客はいませんでしたが、タイであれば話は別。タイでは年中海に入ることができ、特に3月から4月にかけては一番暑い時期です。2009年に上原くんと参加したパタヤのBCCO では、すぐそばのビーチに一度も降り立たず、Short の対局ばかり見ていたことを、なぜか思い出しました(笑)


ビーチの近くでチェスボード柄の机を発見。暑さを我慢すれば、ここでもチェスができそうですね(笑)

ちなみに、別ルートでランタ島に到着していた芝入さん、そしてブルノ、ピルゼンでお世話になったオーガナイザーとは、このタイミングで再会します。すぐにエントリーを済ませ、リスト1が私、リスト2は2100台のチェコ人であることを知りました。これは優勝しなくては...


エントリー後には昼食のために外へ。通り沿いの店を見ながら、レストランを探します。こんなバッグ欲しい(笑)


レストランの猫ちゃんも、暑さでぐったり。


昼食後は王将戦を見たり、対戦相手のイタリア人のゲームを見たりしながら、午後5時の試合開始を待ちます。4時40分ほどに会場に戻ると、ボードがこのように用意されていました。世界広しと言えども、海が見える屋外で波の音を聞きながらFIDE 公式戦を行うトーナメントには、なかなか遭遇しないでしょう(笑) 少し気温も下がり、過ごしやすくなった頃に試合開始の合図が告げられます。

Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Solaroli, R (ITA, 1907)
Lanta Open (1)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. g3 Bg7 4. Bg2 O-O 5. O-O c5 6. d4 cxd4 7. Nxd4 Qb6 8. Nb5!? Nc6 9. N1c3 d6 10. Be3 Qd8 11. h3 a6 12. Nd4



ひとまずオープニングは満足な形になりました。久々のSymmetrical English です。

12... Bd7 13. a4 Nxd4?!


私が試合中に読んでいたのは、13... Qc8!? 14. Kh2! Nxd4 15. Bxd4 Qxc4 16. Bxf6! Bxf6 17. Nd5 Qd4 18. Nxe7+ Kg7 という変化で、ナイトを交換する前にc4 とh3 のダブルアタックを狙えば、形勢は難しいものになっていたでしょう。

14. Bxd4 Qc8 15. Bxf6!



ビショップナイトの交換から、ナイトをセンターのマスに置いて狙うタクティクスは、私の高校時代からの十八番です。h3 よりも、b6 でのナイトフォークに価値があると判断しました。

15... Bxf6 16. Nd5 Qc5?!


16... Bxh3! 17. Nb6 (17. Nxf6+ exf6 18. Bxh3 Qxh3 19. Qxd6 Rae8=) 17... Qd8 18. Nxa8 Bxg2 19. Kxg2 Qxa8 このポジションはコンピュータでは難しい形勢判断ですが、私は白のエクスチェンジが後々生きてくると考えていました。

17. b4 Qa7?


これは何事もなく駒損です。17... Qxc4 18. Rc1 Qd4 19. Qxd4 Bxd4 20. Rfd1 Be5 21. Nb6+/- と指すほうがまだ難しいでしょう。

18. Nxf6+ exf6 19. Qxd6 Be6 20. c5+-



こうして白は1ポーンアップとなり、次にb7, f6 を狙って勝勢です。

20... Rad8 21. Qe7 Rd7 22. Qxf6 Rfd8 23. Rfc1 Bd5 24. b5 Bxg2 25. Kxg2 Rd5 26. c6 axb5 27. c7 Rc8 28. axb5 Qd4 29. Qxd4 Rxd4 30. Ra7 1-0


今回のトーナメント、参加者は20名で、レベルを見ても優勝しなければいけないため、1900が相手と言えど緊張する初戦でした。明日からはビートやプールでリラックスしつつ、ゲームを楽しんでこようと思います。


試合開始前、全体はこんな感じです。


2時間半を超えて続く2番ボードのチェコ対決。

ちなみに今日は私の試合が早く終わったので、棋譜を含めて記事を更新できましたが、明日以降はどうなるか分かりません。ヨーロッパのように7-8時間の時差であれば、ゲーム解説を翌日に回すのが確定なのですが、2時間という時差がなかなか曲者(笑) 無理のない範囲で更新していこうと思いますので、しばらくお付き合いください。

Lanta Open Schedule and Results

03/27 17:00 R1 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Solaroli, R (ITA, 1907) 1-0
03/28 17:00 R2
03/29 17:00 R3
03/30 17:00 R4
03/31 17:00 R5
04/01 17:00 R6
04/02 17:00 R7

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