2016/05/05

Japan Chess Championship 2016 Day5


全日本選手権もいよいよ大詰め。9R,10R が行われる5日目を迎えました。この日の午前中は、上位3ボードが優勝に関わる重要なペアリングとなり、白熱の試合が行われました。私はトップを走る、南條くんとの対戦です。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Nanjo, R( IM, JPN, 2330)
Japan Chess Championship 2016 (9)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 c6 6. O-O d5



前日の権田さんとの試合に続き、またもやGrunfeld です!

7. Qb3 Qb6 8. Nc3 Rd8 9. Qa3 dxc4 10. Qxe7 Re8 11. Qa3 Na6 12. Bf4!?


ここは12. Qa4 Qb4 13. Qd1 と退く実戦例がありますが、d1 に戻ったクイーンをこの後どうすれば良いのかは少し疑問です。

12... Qb4 13. Qxb4 Nxb4 14. Be5 Nbd5 15. Rfc1 Bh6 16. e3 Be6 17. Nd2 Nd7 18. Nxc4 Nxc3 19. Rxc3 Bxc4 20. Rxc4 Nxe5 21. dxe5 Rxe5



ここでドローオファーされましたが、どちらを持ちたいかと言えば、オープンファイルを取れる白です。勝ちを望む状況である以上、プレーを続けるのは当然です。

22. Rb4 Re7 23. Rd1 Bg7 24. a4 Kf8 25. h4 h5 26. Rd3


bファイルにルークを回すアイディアを見せておきます。白にとって難しいのは、残っているビショップが異色であるため、ポーンを取れてもルークを完全に消してしまえば、ドローになる可能性が高いことでしょう。なんとかルークを残しつつ、ポーンを掠め取れる状況を模索します。

26... Rc8 27. a5 a6 28. Bh3 Rcc7 29. f4 Re8 30. Kf2 c5 31. Rb6 c4 32. Rd7 Re7 33. Rd8+ Re8 34. Rd7 Re7 35. Rd8+ Re8 36. Rxe8+ Kxe8 37. f5!?



単にb7 を取りにいくだけでは、キングサイドに4対3のポーンが残るルークエンディングか異色ビショップエンディングにしかならず、それらはどちらもドローです。ルークエンディングになった際、h5 が孤立していれば勝つチャンスがあると思い、ここでのブレイクを仕掛けました。しかし実際には、37. Bg2 c3 38. bxc3 Bxc3 39. Bxb7 Bxa5 40. Bc6+! Ke7 41. Rxa6+/= こちらのほうがチャンスがあったかもしれません。40. Bc6+ が見えておらず、ビショップは消しあうしかないと思っていました。

37... gxf5 38. Bg2 Rc5!


上記の変化にあるような、38... c3 ばかりを考えていました。ルークエンディングではなく、異色ビショップエンディングを目指すのは、黒として正しい方針です。

39. Bxb7 Rxa5 40. Bxa6 Ra2 41. Bb5+ Ke7 42. Rb7+ Kd6 43. Bxc4 Rxb2+ 44. Rxb2 Bxb2 45. Bxf7 Bg7 46. Bxh5



41. Bb5+ を見つけられたため、こうして2つのポーンを掠め取ることができました。それでも、この異色は勝つことができません。

46... Ke5 47. Bg6 Kf6 48. Bh7 Bf8 49. Kf3 Bg7 50. Bxf5!?


ここでビショップを消し、3ポーンvs. ビショップの勝負にします。代わりに、eポーンとfポーンを交換すれば、黒はビショップでg5 にきたポーンを取ってドロー(h8 が黒マスで、白に残るビショップは白マスであるため)、gポーンとfポーンを交換すれば、ビショップでeポーンを取ってドロー(理由は同じく、h8 が黒マスであるため)となります。

50... Kxf5 51. g4+ Ke5 52. g5 Kf5 53. e4+ Ke6 54. Kg4 Bd4 55. h5 Bc3 56. h6 Bd4 57. Kh5 Kf7 58. g6+ Ke6



正直に言えば、この辺りまでは白に勝つチャンスがあるのではないかと勘違いしていました。黒のビショップはしっかり、a1-h8 のダイアゴナルで白の3ポーンを抑えているため、ドローにしかなりません。

59. Kg4 Kf6 60. Kh5 Ke6 61. Kg4 Kf6 62. g7 Kf7 63. Kh5 Bc3 64. Kg4 Bd2 65. Kh5 Bf4 66. g8=Q+ Kxg8 67. Kg6 Kh8 68. h7 1/2-1/2


こうして今大会3回目となる異色ビショップエンディングは、ビショップを捨ててみたもののドローに終わりました。色々と勉強になるゲームでした。

この日、トップを入っていたAndrew は悲劇の連敗で上位から陥落。代わりにTu さんが連勝で、単独トップに立っています。この重要なラウンドで連勝できるとは、彼の力強さを感じますね!

8P Tu
7.5P 南條、馬場
7P 小島、塩見


現在の上位はこのようになっています。塩見さんが連勝で上がってきており、明日は逆転優勝をかけてTuさんに挑みます!

塩見-Tu
小島-馬場
南條-Simon


最終戦のペアリングはこのようになりました。泣いても笑っても最後の一戦、悔いの無いようにプレーしてきたいと思います!


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