2016/09/03

Baku Chess Olympiad R1 Hungary - Japan


試合会場のクリスタルホール

いよいよバクーでのオリンピアードがスタートしました。日本のオープンチームは初戦、前回3位のハンガリーとの対戦です。ハンガリーはトップのRapport を休ませ、Berkes, Almasi, Balogh, Gledula というメンバーで臨んできました。私はBerkes に黒を持ちます。

Berkes, F (GM, HUN, 2640) - Kojima, S (IM, JPN, 2398)
Baku Chess Olympiad (1)

1. d4 Nf6 2. Nf3 d5 3. Bf4 c5 4. e3 Nc6 5. Nbd2 cxd4 6. exd4 Bf5 7. c3 e6 8. Qb3 Qc8 9. Be2!?



London System は今年、Carlsen も採用するなど、注目が高まっているオープニングですが、私はc7-c5 でこれまで、高い勝率を上げています。Berkes は今年の試合で、9. Nh4 と指し、ダブルビショップを得て勝っています。私はこれに対し、9... Be4 10. Nxe4 Nxe4 11. Nf3 Bd6 を用意していました。

9... Be7 10. O-O O-O 11. Rae1!?


Berkes はこの手をノータイムで指してきたため、私は驚きました。バランスを考えれば、11. Rfe1 もしくは、11. Rac1 と指すべきだと思います。11. Rae1 を生かすのであれば、将来的にeファイルにルークを重ねるか、f2-f4 と突くかでしょう。白の攻撃的なセットアップに対し、私はピースを交換して、白の攻撃のチャンスを減らしにいきます。

11... Ne4 12. Nxe4 Bxe4 13. Qd1 a6



ここは黒の作戦の分岐点で、クイーンをd7 にすぐ戻し、Be7-Bd6 と黒マスビショップの交換を狙うか、b7-b5 を突いてマイノリティーアタックを狙うか、どちらかでしょう。

14. Bd3 Bxd3 15. Qxd3 Qd7


コンピュータの評価は悪くないですが、先述の通り、マイノリティーアタックをすると決めたのであれば、bポーンを伸ばすべきです。15... b5 16. Re3 (16. a3 Qb7) 16... b4 と進む展開は、黒の反撃や防御が遅く、キングサイドが潰されてしまうのではないかと思いましたが、Misha との検討では、黒はタフに守り切ることができそうです。

16. Re3 Rfe8 17. Rfe1 Rac8 18. h4 Bd6



私がここまで指してきたマイナーピース交換のアイディアは、全て白の攻撃チャンスを減らす、正しいものです。しかし、それが大丈夫なのか確認をするために時間を使いすぎ、この時点ですでに残り時間が少なすぎました。

19. Bxd6 Qxd6 20. Ng5 g6 21. h5 Rc7 22. Rh3 e5 23. hxg6?!


私が最も恐れていたのは、h7 のサクリファイスです。Rc8-Rc7, e6-e5 の2つの手は、それを防ぐために指したのですが、それでも白はサクリファイスを実行できました。23. Nxh7! Kxh7 24. hxg6+ Kg8 25. Rh6! Qf8 26. Qh3 Qg7 27. Qh5+- これで黒は守り切ることができません。Rh3-Rh6 が少し見つけづらいアイディアでしょう。

23... fxg6 24. dxe5 Nxe5 25. Qd4 Rce7



ここまで進めて、d5 は弱くなったものの、ダイレクトなキングサイドアタックが消えたために、何とかなりそうだと思いました。d5 が落ちないように気をつけつつ、ルークの交換も狙います。

26. Rhe3 Nc6 27. Qh4 h5 28. Rxe7 Rxe7 29. Rd1 Re2


こういったポジションでは、普段であれば積極的に7段目に入って反撃をすると即決しますが、残り30秒前後で見落としがないかを確認しつつであると、手がスムーズに出ないものです。

30. Qh3 Ne7??



時間切迫とはいえ、ひどいブランダーでした。30... Qf4! 31. Qc8+ Qf8 32. Qxf8+ Kxf8 33. Rb1 d4 34. cxd4 Nxd4= ならば、黒は全く問題なかったでしょう。

31. Qf3 1-0


私自身はもったいない負けでしたが、隣のボードでは南條くんがAlmasi からドローを取り、日本チーム唯一のポイントとなりました。ハンティマンシスクから3大会連続、オリンピーアド初戦は各上に4連敗スタートの日本オープンチームでしたが、南條くんがそれにストップをかけたことになります。

Hungary - Japan 3.5-0.5

Berkes, F (GM, HUN, 2640) - Kojima, S (IM, JPN, 2398) 1-0
Almasi, Z (GM, HUN, 2684) - Nanjo, R (IM, JPN, 2340) 1/2-1/2
Balogh, C (GM, HUN, 2614) - Averbukh, A (JPN, 2223) 1-0
Gledula, B (IM, HUN, 2585) - Yamada, K (CM, JPN, 2100) 1-0


女子チームは強豪、アゼルバイジャン2に4連敗です。ポイントを取れそうなボードもあっただけに残念ですが、またR2 で初ポイントを狙ってほしいですね。

Japan - Azerbaijan 2 0-4

Ishizuka, M (JPN, 1778) - Mamedjarova, T (WGM, AZE, 2304) 0-1
Hoshino, K (WCM, JPN, 1802) - Abdulla, K (WGM, AZE, 2214) 0-1
Sakai, A (JPN, 1703) - Fataliyeva, U (WIM, AZE, 2234) 1-0
Shibata, M (JPN, 1638) - Umudova, N (WGM, AZE, 2247) 1-0


そして2R の今日、対戦相手はオープンがスリランカ、女子がフィンランドです。スリランカは日本からすれば格下のチームですが、3,4B はレイティングが近く、そこがマッチの結果を分けることになるかもしれません。(もちろん、私も油断せずに試合に臨みます。)フィンランドも各上とはいえ、オープンのレベルに比べれば女子はぐっと落ちるので、勝つチャンスは十分にあると思います。それでは、R2に行ってきます! 私は3年前、ドローだった2100のIM との対戦です。

Open

Japan - Sri Lanka

Women

Finland - Japan


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